「columbo87」さんのページ

総レビュー数: 284レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年04月28日

ラストの一コマに誰もが突っ込んだ衝撃作

親子の絆がどうのこうのという売り文句の通り父親としてのバットマン像が描かれたが,それはあまりにも外道だった!
バットマンだけじゃなくていろんな父親像が描かれますよー。邪悪な父親クロスオーバーって感じ。
その1センセイ:子供は世界征服の道具にすぎない!反抗ばっかするラーズは失敗作!
その2ラーズ:子供は自分の所有物!肉体のスペアにすぎない!
その3バットマン:私の子供だというなら命を懸けて悪と戦え!家族?悪と戦うための道具だ!
うう,こんな父親しかいねーのかこの世界は。
今回は特にバットマンが何考えてるかわかんなかった。家庭より仕事を優先したり(まあこれは平常運転か),そのくせタリアと良い雰囲気になってみたり,「私の息子に手を出すな!」とか言っておいて直後にダミアンを死地に向かわせたり…。そんで最後は行方不明になったダミアンを心配するどころか「今は運命を忘れて自由に生きるべきだ」ってアンタなんなのよ。言ってること無茶苦茶だし無責任すぎるわ!
ティム「父親としてそれでいいの?」。駄目です。

そんなこんなで父子関係を巧く描けていたかと聞かれればNOとしか言えないのだが…他の所に見所がありました。平行してテーマになってる死者の復活に纏わる部分ですね。だいたい親を亡くしているのが特徴であるバットマンファミリーですが,そんな中でラーズがティムに「両親の復活」を持ちかけ,その是非を巡ってティムとディックが対立する・・・
死人がポンポン復活するこの世界でなんで俺の両親をよみがえらせてはいけないんだ!というティムの叫びには苦笑してしまう。確かになぁ,キャラに感情移入するとそのくらい許してやれよとか思っちゃう。
対して死人全員復活させる気かよ,というディックのつっこみは読者の代弁に聞こえる。実際死者の復活は興ざめだよー某ナルトとかさー死んだ意味無くなるでしょーキャラ崩壊だよーそれはー。
この対立構造は面白いね,でも平行線な話を先に進めるには第三意見の投入がいつも必要なわけで,それが今回のゲストキャライーチンさんなわけで。
二人の戦いに横やりを入れて「バランスだよ」とかキメちゃうこの人はおそらく出版社の回し者。失った物と得られる物を比較してみろだと…キャラ復活で失う信頼と,得られる金との比較かー!このー!
とか思わず捻くれた物の見方をしてしまう。
まーでもなんか復活の泉は閉鎖しちゃう意向ではあるみたいだし,本当その辺たのみますよ。バランス大分偏ってるよアメコミって。
などと思う

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-05-21 22:56:23] [修正:2012-05-21 23:13:03] [このレビューのURL]

かつてキャプテンアメリカの相棒だったバッキーの復活を描いたエピソード。復活ものが好きだねアメコミも。
このライターエドブルベイカーは子供のころバッキーが好きで,マーベルで仕事するならバッキーを復活させてやろうと思ってたんだとか。こういう話っていいよね,スーパーマンとルーサーの子ども作るという夢を実現させたあの人といいさ・・・。
恐ろしい暗殺者として洗脳を受けたバッキーの復活ちゅう話だけど,作中でさえ結構バンバン人を殺しておるのでこれでどうヒーローに盛り返すねんとか思う。そして相棒との絆が絡むととたんにホモホモしくなるキャップ・・・バットマンもそうだったけどサイドキックってやっぱそういう・・・
なんでもホモホモいう人がホモだと思います!

ここんとこヒーローの復活ものばっかみてたからそれで感じたことを書く。
アメコミの特殊性は過去に遡ってキャラクターや物語をツギハギできるところにあると思う。優れたライターはそうした編集作業を巧みにこなす。シルバーエイジのエピソードを現代風にアレンジしたグラントモリソンや,コミックスをある種の神話にまで昇華させたマークウェイド。或いは堕ちた偶像たち復活させたジェフジョーンズ,世界観の破壊によってあらたな地平を開いてきたアランムーアやニールゲイマンら。そうして彼らはアメコミの世界を伸長させてきた。
彼らの偉業を振り返るときに忘れてはいけないのは,こうした華々しい試みの背後にある虐げられ忘れ去られた存在のことだ。悲しいかな歴史の中から復権を果たすことができるのは選ばれた一握りのヒーローでしかない。
 エド・ブルベイカーは本書でキャプテン・アメリカの相棒,バッキーを復活させた。悲劇的なヒーローとして読者に受け入れられる下地と,キャプテンアメリカによる支援とを与えて。
しかし一方でひっそりと生涯を終えたキャラクター,ノーマッドこと「ジャック・モンロー」がいる。バッキーに殺された彼のエピソードはあまりにも暗く,もの悲しい。あっさりと退場させられた彼のバックボーンを補うべく外伝が挿入されてはいるが,救済というにはあまりに陰惨な物語である。急ごしらえのエピソードという感じで,本編でのセリフといまいち整合性がとれていない点も見られるが,どういう意図でこの物語を書いたのか慮るにあたってはそれなりに相応しいものになっていると思う。
人気商売の上を綱渡りするキャラクターたちの存在の希薄さ,多くのファンに支えられたヒーローの死は(すぐに復活するので)軽く,ノーマッドのようなマイナーヒーローは完全に忘れ去られてしまう。キャラクターの真の死とは記憶からさえも消え去ってしまうことだ。長大な歴史を持つアメリカンコミックスの系譜の中で,幾多のヒーローが生み出されては消えていった。一見はなばしく活躍する彼らは,歴史に組み込まれたが故に埋没し風化していく恐怖にさらされ続けていたとも言えるのではないだろうか。
だからこそノーマッドの死には胸を刺す痛みがある。それは人の死の現実とあまりにも近しいものだからだ。
ノーマッドが歴史の舞台から完全に降りた後に,キャプテン・アメリカが死というイベントによって更なる存在承認を得たことはもはや皮肉でしかなかった。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-05-21 22:55:10] [修正:2012-05-21 22:55:10] [このレビューのURL]

ご新規用アメコミ
映画にあわせて設定を簡素にしたミニシリーズ的存在。その読みやすさたるやファーストクラスやスポーン並み。
ソーって歴戦の勇者って感じで,老成してるだけにどこか人間に対して冷たい「神さま」っていうイメージがあったんだけど,このソーは若くて我儘,人に恋して人と友情を育み,人から学びもする。主人公やってる,この子主人公やってるよーってなもんだ。絵もマイルドで読みやすいし,なにせ爽やか笑顔がステキだ。
映画準拠な設定になっててタイムスリップものみたいに現代の地球に戸惑うソーの姿が笑える。アントマン,サブマリナー,キャプテン・ブリテンとかいろんなヒーローとの絡みもあって見どころは多い。特にキャプテン・ブリテンとのエピソードはGOOD!男くせえ!!

この後も話をふくらませそうではあったが残念ながら打ち切りとなったようで,アメコミもわからんもんだなあとか思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-05-21 22:50:11] [修正:2012-05-21 22:52:36] [このレビューのURL]

キャプテン・アメリカの重荷を背負うのは誰か。見事な復活を果たしたバッキーだったが,レッドスカルの陰謀に翻弄される。
ドクターファウタスによるシャロンの洗脳と誘拐に留まらず,クロノス社を利用してシールドの信頼を失墜させその地位に取って代わり,大統領候補を傀儡として民衆を味方につけた。キャプテンアメリカ無き今スカルによるアメリカ侵略が急速に進行していた。
新たなキャプテンアメリカとしての活動を開始したバッキーだったが民衆のシールドやヒーローに対する不信感を拭うことはできず,その重圧に苦しんでいた。更にはレッドスカルが保存していた50年代の偽キャプテンアメリカ,バーンサイドが姿を現す。
二人のキャプテンアメリカの対決,囚われたシャロン,レッドスカルの陰謀が交差する本格アクショ(略)
という感じで,ウィンターソルジャーからシビルウォー,デスオブドリームズを経ての完結編バーデンオブドリーム。息もつかせぬ展開とハードボイルドな雰囲気がなかなかよかった。メンツは見た目地味なんだけどテンポよくドンチャン騒ぎしてたので飽きずに読むことができた。中身はキャプテンアメリカ万歳みたいなお気楽メリケン展開なんですけどね,エッセンスがやたら暗いので大筋はまあハッピーな感じでいいのかなんて思ったりもします。とにかくハリウッド映画みたいな活劇を楽しめる良作。

ただねー,読み返すとやっぱりバッキーよりもハーンサイドとかの扱いが可哀想で感情移入してしまう。バッキーはなんかブラックウィドウとイチャイチャしてるし,お前そんな場合かよと。
味方サイドのシャロンもスティーブの子供を身籠もってた事が判明したけど即流産させられてて,周りがドン底展開な中バッキーばっかりいい目見てねぇすか?って感じちゃう。
あとはアメリカンな演出もちょっと合わない。最後は一般市民もキャップ万歳みたいなこと言ってるけど,僕の中でキャップはシビルウォーで馬鹿みたいにヒートアップして自滅した人ってイメージがつきすぎてしまっていまいちピンとこない。身を挺して他人の命を救ってたけどそれだってそういう演出だからなーって思っちゃう。すぐ復活してるし,そんでいまAvXでシビルウォーと同じようなことやってるしで…なんかモニョる。
そういうわけで単独作品としての面白さは申し分ないんだが,やっぱ前後の活動を見るとなんか釈然としないものがある。アメリカの理想の体現者だからこそのキャプテンアメリカだといいますが,ここから見えるのは,やっぱアメリカってそういう…というネガティブなヴィジョンだった。
 とはいえ流石にこれじゃ偏見だよなーとか思うので,あとでキャプテンアメリカ:ニューディールを読んでみようと思う。9.11直後,ヒーローにどういう行動を取らせたのかつーことでアメリカの思想に触れられる部分があるんじゃないかと思う。
もうすぐ出るホーリーテラーと比較してみたり。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-05-21 22:51:08] [修正:2012-05-21 22:51:08] [このレビューのURL]

ブレイクアウトで突如現れた謎のヒーローセントリーの正体とは?
後付けヒーローに挑戦。100万の太陽に匹敵する最強クラスのパワースペックを誇るが心の暗黒面であるボイドが暴走することをおそれて自分の存在そのものを世界から消していたというとんでもないキャラ。
その存在の名残が無意識の中に残っていてマーベル世界の中のコミックスに描かれていたとか、若干メタ的な設定を持っている。ベテランアーティストをそのコミックに起用して当時の絵柄で再現してみたり、こういう試みは結構面白いと思う。
が,個人的にはいまいちセントリーに魅力を感じない。その後ニューアベ誌でそんな活躍してる姿も見ないし・・・この人どういう扱いなのよ?見た目をスーパーマンに寄せた意図はなんかあんの?
しかもその後死んだって聞くし・・・

後半は日本でもおなじみシルバーサムライが登場,マダムハイドラの影やスパイダーウーマンの謎も見えてきてラフト襲撃事件の真相に迫ってる感じ?日本を舞台にニンジャ達が暴れまわるのがステキ。見所は謎文字の看板群・・・グリコのだけはそのまんまだけど。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-05-21 22:44:26] [修正:2012-05-21 22:44:26] [このレビューのURL]

モリソンがなんか昔のネタからいろいろと持ってきて好き勝手に広げたバットマンサーガ第一弾。モリソンは聖書の独自解釈を許されているのだ!!
脚本のグラント・モリソンも最近よく見るが、作画のキューバートは一家で活躍しているアーティストだ。特に本作のアンディ・キューバートのアートは良い。ダミアンのバットマンスーツとかモロに好みだ。リクテンステインのポップアートを逆輸入してオノマトペに使ってたりと、漫画的にも結構面白いことをやっていたりする。

さて、本書には「バットマン・アンド・サン」の他に、ネタ元になった「サン・オブ・デーモン」も収録されている。アメコミ邦訳はいつもなら附属している冊子であらましの説明をするだけなので、まるごと載せているのは珍しい。この後もラーズ・アル・グールやタリアとの因縁は続くので、キャラクター同士の関係性を知る上では興味深いエピソードだと思う。 ついでに、これは漫画じゃないけど、作中冒頭で退場しちゃったジョーカーの再生と狂気を描いた短編も収録されている。モリソンのジョーカー観はいつも面白いので、読んでおいて損はない。

さてさて、「バットマン・アンド・サン」では、今まで黒歴史にされていたバットマンの息子、ダミアンが成長して登場する。で、正当な後継者に認められようとヤンチャしてバッツに怒られる。子育てはしたいが、ゴッサムに偽バットマンの警官が出没してたりして忙しいなぁ、というのがだいたいのストーリー。
ダミアンはまあわかるんだが、この警官てのがよくわからない。警官には見えないし、どういう経緯でバットマンコスになったのかとか教えてくんないし。
そんな謎の敵の他にも、タリアに更なる企みがあったり、ティムとダミアンがブルースを取り合って気持ち悪かったり、ブルースが「俺がスーパーアルファ雄だ!」とか言い出したり・・・見所は盛り沢山である。
が、基本的に謎は解決されないのだ、待て次巻。

最終章には未来の話が収録されている。バットマンは何か死んでダミアンがバットマンをやっている世界。これはぶっちゃけ独立したオマケエピソードみたいなもんなので、意味不明といえば意味不明だが、逆に一番分かりや易い話かもしれない。
僕ぁこんな世紀末でオカルトぉな雰囲気が好きだ。ダミアンの言に従うとバットマンが死んで数年しか経過してないらしいが、やっぱゴッサムはヤベエなとか思う。この世界のダミアンはなかなか良い感じなので、それに繋がるようなバットマンとの親子の絆が描かれることを期待すればいいのかな?


うーん,さて。マーベルとかのシリーズモノとかを読んでいても思ったんだが,こういうのは全体で評価しなきゃいけないのが辛い。特に今回は伏線ばらまくだけばらまいてる段階なのでいつにも増して「?」って感じになってしまった。邦訳バットマンは一冊で完結しているのが多いので、余計違和感を覚えるのかもしれない。
で,今続編の「ブラック・グローブ」を読んでるのだが凄く面白くなってきていると思う。伏線回収の仕方が独特で,いつもの「新たな陰謀」登場パターンに飽きていると新鮮さを感じたりもする。
そういえば「グリーンランタン:リバース」には「途中経過知ってたらもっと楽しめたのに」という思いがあったけどその辺の不満を埋めてくれる構成になっているんだよね(正直これに関しては小プロの中の人の言葉を疑ってた)。
何事も仕込みの段階が重要だ。
「バットマン・アンド・サン」「ラーズ・アル・グールの復活」を堪えた先に(は,言い過ぎか)クライマックスのカタルシスがあることを期待しましょう。


それと連続ものはナンバリングしろと言いたい。これに関しては日本の漫画の感覚に近いんだからさあ。過去にナンバリングした邦訳が軒並み途中でポシャったからってビビってんのかいヘイヘイ。

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[投稿:2012-04-25 04:13:28] [修正:2012-05-20 17:19:04] [このレビューのURL]