「columbo87」さんのページ

総レビュー数: 284レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年04月28日

非常に繊細な中学生像を描いており、一つ一つの問題はくだらないのだが、ある部分で共感できてしまうので面白い。
鈴木先生というキャラクターは名前の通り没個性的な、しかし「良きスタンダード」として理想とされる教師といった存在となっており感情移入がし易い。
性問題、親子、人間関係も真っ向から冷静な視点で見据え、それぞれの登場人物の視点に立たせ心の内を覗かせる。同時に読者にもある内面の痛い部分にもメスがいれられるのである。このあたりの引き込ませる描写力は見事としか言いようがない。作品全体を通して感じられる部分である。


魅力的なキャラクタが多い鈴木先生だが、一方でその扱い方はあまり好みではなかった。顔の適当さで"良い"人間と"悪い"人間が区別できるのは分かり易いし、まぁ有りだとは思うのだが、あまりにも差が酷い。
具体的には椿とか、足子先生とかなのだが、なんのフォローも無く理不尽に劣った人間として描かれるのは不快であった(竹地あたり人間的に姑息な奴はいてもまあいいかと思えるが)。足子先生に関しては山センのエピソードでやったことを繰り返しただけでも疑問だったのだが、作者でも手がつけられない程暴走していたのに何故復帰させたのかがさっぱりわからなかった。
 そういえば、「鈴木先生」には狂人レベルまでいってしまう人物がまま出てきたが、一般的に見てそこまで悪人ではない、普通の人間がちょっとした間違いで道を踏み外してしまうパターンが多かった。この過程はリアリティがあって良いのだが、実際の人物の描き方があまりにも漫画的すぎて非現実的なものに映ってしまっていたのは残念な所、漫画的表現の使い方が巧くなっているだけに生じた歪のように思える。

 漫画作品としては、最初が良かっただけに後半には不満が残った。
「掃除当番」のエピソードがピンと来なかった(受け手の想像力の欠如ということではなく、「鈴木先生」の物語としてこれには違和感があった)ことや、盛り上がるはずの鈴木裁判が予定調和的で少し期待外れだったのもあるが、とにかく後半は文字の多さが苦痛だった。ゴー宣とかより多いんじゃないかと思えるほどの文字の羅列、もはや漫画ではない。しかもそれが、やられ役が語った論理を鈴木先生か誰かしらが論破するという形式としてパターン化されていて、先が見えているのに読まなければいけないのも苦痛であった。

結構クサしまくってしまったが、まぁ、不満があったにも拘らず引きつけて読ませる吸引力、作品の持つエネルギーがすごいってことで…

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-10-24 17:58:30] [修正:2011-10-24 18:02:00] [このレビューのURL]

マーベル邦訳でなかなか「大当たり」に出会わないなと思うこの頃、そういえばデアデビルさんなんてDCキャラっぽいし行けるかもと思い購入。フランク・ミラー原作デビッド・マズッケリ作画といえばバットマン:イヤーワンのコンビ、これなら外れはない!

物語はいきなりデアデビル失墜から始まるので面食らうかもしれないが、映画を見てればまず問題ない程度。
キングピンの策略によって全てを失い、どん底に突き落とされるマット・マードック(デアデビル)と、ドラッグほしさに彼を売ったかつての恋人カレン。二人の復活が描かれる。

一度はバラバラになった友人たち、それぞれの戦いやマードックとの絆が熱い!
生まれた場所にたどり着き、己のアイデンティティーを再認識するマードック、恐れを知らない男への復活!古典的だが熱い!
そしてカレンもまた許され救われる(この辺はミラーの描く女性像ってワンパターンだなとか思いつつ)。
これまで一緒に堪え忍んできた読者に見せつけてくれるであろう逆転劇への期待が高まる!

・・・しかしこのあとの展開はちょっと「どうして?」という感じ。
暗い時期が長くて人気が出なかったのか?明らかなテコ入れ、あのキャラ出てくる必然性があったの?DKRでスーパーマンが出てきたのとはワケが違うぞこりゃ。
そして幕切れもちょっと不満。なので6点くらいか。

ミラーでも結構制約されんのかな、マーベル作品はもういいかな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-15 17:37:42] [修正:2011-10-16 02:47:06] [このレビューのURL]

あのジャックカービーとスタンリーの伝説的コンビの作品が読めるなんて!といわれてもよくわからない。60年代のソーの外伝的作品集。
北欧神話ベースのアメコミで、オーディンの活躍からソーの少年期、仲間たちとの冒険劇を多数収録。予備知識も要らずにさくさく読めるのは良し。
イメージとしては学校の図書館にあった「漫画で見る古事記」みたいな感じで、好きなジャンルなのでよかった。
アメコミの資料的価値もでかい。

「キング」と呼ばれるカービーのアートを楽しむものだのでアメコミファン以外には需要無さそう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-15 17:39:12] [修正:2011-10-15 17:39:12] [このレビューのURL]

よかったところ:フランク・チョウによるMsマーベルのケツ。
あとはひでえ、なんだこれ。

「コレクティブ」ではHOMで失われたミュータントパワーの顛末が明かされる。明かされるのはいいんだけどさんざん引っ張っといてなんだよこれ、というラスト。X-MENメインにならないのはいいとしてマグナスとかの使い捨てっぷりが酷い。
一般的なイメージの「アメコミ」の典型という感じ。

ニューアベンジャーズの紹介とcivil warに繋がる部分を見せたかっただけな感じがする。非常にまとまりがない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-15 17:11:50] [修正:2011-10-15 17:11:50] [このレビューのURL]

エルフやら信長やらがでてくるよ!

ヒラコーはTRPG好きだったと思うが、これは脳内TRPGを漫画にしてるのではないかと思う。世界観の融合が非常にゲーム的。

これならネタにはしばらく困らないだろう。二巻はおおむね良し。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-23 22:56:13] [修正:2011-10-13 17:30:48] [このレビューのURL]

スーパーヒーローに憧れるオタクが本当にコスチュームを買って夜間徘徊するという・・・
このあたり、子供のころヒーローごっこしてたものとしては胸をかきむしられる。

設定としてはそれほどぶっ飛んだものではなく、日本人の感覚でも結構すんなりと読めるのでオススメ。
というか、歴史の長いシリーズものじゃなくて独立した作品だからメチャクチャ読みやすいっていうのがデカイw


途中からスーパー父娘が登場して雰囲気が変わりますが、全編に渡り徹底してリアリズムを追求した(この内容でリアリズムどうこういうのも気が引けるが、話の筋は一貫していると思う)内容になっているので、爽快なヒーローものを期待しちゃうと非常に後味が悪いです。
ただこの作品がどういう方向を目指しているかは最初の導入で十分に提示されるのでそんなに混乱することはないんじゃないかと・・・



あと、映画と比較して見ると面白い。たぶんどっちから先にみても問題ない。
ぼかあ作品としては漫画の方が好みだが、細かい設定や心理、人間描写のリアリティは映画の方が勝ってるとか思ったりする。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-04 20:27:59] [修正:2011-10-04 20:27:59] [このレビューのURL]

ロングハロウィーンの続編、こちらでもまだまだ前作を引きずって、トゥーフェイスはじめフリークス、ファルコーネファミリーが暴れまわる。
今回の敵は「ハングマン」。警官ばかりを狙う連続殺人犯です。

ミステリーとしては前作よりも薄い感じ。じっくり謎解きをしながら読んだわけでは有りませんが、ロンハロのオチが衝撃的で読み返してしまったのに比べると、まぁ予想通りの内容。

今作ではボーイワンダーことロビンが登場します。シリアスなバットマンと、ロビンみたいな色の濃い(二つの意味で)キャラを組ませると、どうしても雰囲気が崩れてしまうのではないか、ティム・セイル自信にそういった危惧があったそうですが、さすがジェフ・ローブといった感じで説得力のある落ち着いた内容になっています。
というかロビンの登場から一連の流れはダーク・ビクトリー一番の見せ場だと思います。ブルースとディックの対比シーンがかなりグッと来る、アルフレッドがいい味を出していて、これだけでも買う価値あり。

ティム・セイルのアートもかなり上達しています。クセのある絵ではあるが個性として万人受けする感じになっていて読みやすい。

個人的にはロンハロよりも好きですが、やはり前作を読まないとイマイチ掴めないかなと思う。殆どのキャラがロンハロから引き摺って登場しますし、ディックに正体を明かす動機付けも前作読んでないと唐突に感じるかも。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-03 03:44:58] [修正:2011-10-03 13:49:34] [このレビューのURL]

7点 JOKER

タイトルの通り、全編通してジョーカーだらけ。チンピラのジョニーの目を通して、ゴッサムの狂気ジョーカーを描いた作品。


このジョーカーは、口が裂けていたりあんまりジョークを飛ばさなかったり、いつにも増して完全に狂ってたりする。そんなあたりヒース・レジャー版のジョーカーと似ているので、映画「ダークナイト」が好きなら読んでみるといいかも、なんとなくその後の話としても考えられる。
 一方バットマンは殆ど出てきません、あくまでJOKERの物語なので。買ってみて騙された!などと思わないように。

面白いのはジョニーの役回りが、ヒーローに憧れるオタクではなくヴィランに憧れるチンピラというところ。ジョーカーの相棒になったと調子に乗ってクロックに吊るされちゃうところとか、俺は頭脳派の出世タイプだから・・・とか思っちゃうのが小市民的で笑える。

ベルメホのアートも結構見もの、スタイルを使い分けて視線誘導や時間演出を効果的に行っている。漫画的になったり、映画的になったり・・・アートだけでも見ていて飽きない。ジョーカー好きなら買って損は無い一作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-02 23:04:47] [修正:2011-10-02 23:07:59] [このレビューのURL]

ハウスオブエムはあまりお勧めしない。
まず、僕ぐらい初心者だと一体この話は何がしたいのかがわからない。多分前後の展開を体系的に理解して初めてこの作品の価値がわかるので、単体で読んでもピンとこないというのが実際のところでしょう。
それと、要求される知識だけが問題ではないです。作品としても「どうなの?」という感じ。


簡単にネタバレすると、スカーレットウィッチつうおなごの持つ現実改変能力が暴走してアベンジャーズのメンバーが死んじゃったり、その後のストレスで世界全体が改変されちゃったりします(迷惑すぎ!)。
彼女いわく改変後の世界はみんなの理想の世界ということで、まぁこのあたりはキャラクターを知ってるとおもしろい。ピーターがMJと結婚してなかったり。

ポイントとしては、ウルヴァリンの記憶が戻ることです。理想の世界において長年の記憶喪失が解消されるんですね。
以前の世界の記憶を一人だけ持っている、なんていうとウルヴィーが頑張って、気狂いだと思われながら元の世界を取り戻すために孤軍奮闘するのかな、なんて思うわけですが、そうではない。

なんと、改変前の記憶を復活させる能力をもった子がでてくるんですね(えー
まぁそれもスカーレットウィッチの意思・・・らしいのですがそのへんの説明も特に無く。その説明でみんなすんなり受け入れる。うーんなんだか悪い意味でご都合主義。


とは言えいいところもあります。記憶の戻ってないみんなと入り乱れての戦いは純粋に見てて楽しい。what ifな展開の面白さ(このへんは使い方としてはどうなんだろうかと疑問にも思うが)も随所に見えたり、意外な黒幕(笑)がいたり。


でもこれで完結と言われると、モヤモヤしたものが残る。やりたいことと設定が先行しすぎている感は否めない。ちゃんと提起した問題を解決してオチをつけるか、過程を掘り下げるかしてほしいと思う。
会社的にクロスオーバーは慣れっこのはずなのに、キャラクターの動かし方がいまいち、という感想。
その後、の話にはコレクティブがありますが、こちらは未読。HOM単体での評価は5といったところか。

今クロスオーバー系で手をだすならcivil warでしょうか?こちらも賛否両論ですが、単体でも一応ちゃんとテーマがあって完結しています。
派生、補完するエピソード分も翻訳する(かもしれない)そうです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-01 23:23:35] [修正:2011-10-02 17:53:03] [このレビューのURL]