「橙木犀」さんのページ

[ネタバレあり]

なかなか先に進めない、けれども確実に前を向いて歩いている青年達の恋愛群像劇。
読んでいて、そんな印象を受けます。

自分をなかなか押し通せないでいるリクオの心情が、なんとなく分かるようで歯がゆいところがある。
でも、不思議と腹が立たないし、変に力んで彼を応援しようとも思わない。ゆっくり着実に前に進むリクオを、素直に見つめることが出来るのが、この作品の魅力かも。
そして、亡くなった兄を忘れかねている幼馴染みに片想いし続けている浪の気持ちが、読んでいて切なくなってしまう。
彼にとってどんな結末が幸福なのか、読んでいてなかなか掴めないのが、自分でもちょっと面白く感じています。

私的に、5卷で登場した美術予備校の面々がちょっと気になっています。
才能溢れる現役生・夏樹や、彼女の才能に焦りを感じている彼氏・船塚。浪が通う美術予備校の講師・居沢が、実は晴が働く喫茶店の店主・杏子さんと同級生で、告ってフラれた過去があるとか。
彼らを是非深く掘り下げて、物語と絡めていって欲しい。
絶対面白くなると思うんだけど…。

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[投稿:2007-06-09 15:47:47] [修正:2007-06-09 15:47:47]