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7点 墨攻

戦国時代の思想家の人生を描いた教科書的歴史漫画かと思ってたら、意外にもかなり脚色の入ったエンターテイメント性の強い内容。典型的な劇画調の「濃い」作風で、残酷なシーンもそれなりに出てくるので読む前にある程度の覚悟はした方が良い。

もともと墨子や墨家の思想は学校の授業で少しかじったのだけのおぼろげな知識しかなかったが、これは無理に思想的な部分を押し付けてこなかったのですんなり読み進めることができた。
描写はかなりリアルで、良くも悪くも「大昔の価値観や戦争の様子はこんな感じだったのか」という雰囲気はよく分かる。現代人の視点から見れば墨家の思想など単純だ、と思うかもしれないが、当時の常識となっていた物事の考え方がしっかり描かれているので、いかに革離が先進的な価値観を持っていたかというのが伝わってくる。
また攻城戦をメインに描いている作品だけあって、アクション的な要素やかけひき、読み合いにもリアリティーがあって良い。

映画が面白かったから、といって軽い気持ちで読んでしまうとちょっと痛い目に遭うかもしれない。
しかし中国史が好きな人や本格的な歴史漫画を求める人を満足させるには不足無い出来。

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[投稿:2007-06-27 00:49:14] [修正:2007-06-27 00:49:14]