「souldriver」さんのページ

総レビュー数: 110レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月21日

それぞれのエピソードの奥深さが素晴らしい。かなり専門的な知識を素人にも理解しやすく、かつしつこくなりすぎないように料理して物語に溶け込ませてるのがすごい。
かといってコテコテの雑学ものでもなく、情のあるドラマとサスペンスが随所に散りばめられてるから飽きが来ない。エンドレスで話が繰り返されるのではなく、世界情勢の変化に伴ってゆったりと時間の進行を感じさせてくれるのも良い。

これだけの内容を基本1話完結方式で惜しげもなく投入できる引き出しの多さにはただただ感心。このとてつもなく幅広くて深い知識はいったいどこから生まれてるのだろうか。ああ、それにしても、褒めるところしか見つからない…。

登場人物のさり気なく気が利いたセリフや、行動の1つ1つが「知ること」の楽しみと「生きること」の素晴らしさを教えてくれる。
これを外して浦沢直樹は語れません。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-01-29 12:06:38] [修正:2008-01-29 12:06:38] [このレビューのURL]

5点 ARIA

決して悪い漫画ではないと思うけど、果てしなく退屈だった。たとえるならアルコールの抜けた甘い白ワインという感じ。平たく言うと物語に酔うことができない。

設定に関して言えば、せっかくテラフォームされた火星が舞台なのに、風景がまんま古き良き地球のコピーというのがもうひとつ腑に落ちない。こう言うのは無粋かもしれないけど、わざわざ遥か火星まで開拓に行って時代遅れの街を作る理由はどこにあるのか…と思ってしまう。

雰囲気は底抜けに良く、僕があまり好きになれなかったのは単に絵柄が好みじゃなかったという部分も大きいと思う。
合う合わないはあるとして、一度読んでみるだけの価値はある。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-01-29 11:09:08] [修正:2008-01-29 11:09:08] [このレビューのURL]

完全にイカレてる。
ちっぽけな81マスの盤上に、この世の全てをごちゃまぜにして突っ込んだような狂気が満たされている。どんなバトル漫画よりも静かなのに、ボードゲームとは思えないほど激しく勝負の臨場感が伝わってくる。

淡白で無鉄砲な主人公の代わりと言わんばかりに、次々と登場する濃ーい棋士たちが見所。どう見ても変人としか思えない彼らにも彼らなりに様々な生き様があり、それぞれの揺るぎない信念がある。それでこの作者の描く汚い爺さんたちがまた、不思議なことに、読めば読むほどにカッコイイのだ。
命を削った勝負を経て成長していく将介の姿に心踊り、強敵を次々と打ち負かしていく様子にカタルシスを感じる。
何よりこの漫画が素晴らしいのは、対局に勝った者だけに未来が用意されているのではないというところ。敗者のドラマもまた、同じぐらい眩い光に満たされてる。

将棋が分かるかどうかなんて関係ない。ここにあるのはただ壮大な人間ドラマだ。傑作!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-01-22 23:38:41] [修正:2008-01-22 23:38:41] [このレビューのURL]

うーん、出足は良かったんだけど期待してたほどではなかった。

もっと骨太の正統派忍者ものなのかと思ってたが、完全に能力バトルの様相。それはそれで嫌いじゃないけど、リアル調に描き切るのかイロモノ系で押し通すのか、どっちつかずに終わってしまった感がある。
さらに中途半端だったのが朧と弦之介の恋の顛末。あれだけの引きを作って至った終盤の展開がかなり駆け足で、膨らんだ読み手の期待をさらりとかわすようにあっさり終わってしまった。
それから時々紙面の雰囲気から浮いた実写(?)の背景が無理矢理ねじ込まれてるのが気になる。

まあリメイクというのはなにかと難しいのだろうけど。
戦闘シーンに限ればなかなか突飛でおもしろかっただけにもったいない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-16 23:55:27] [修正:2008-01-16 23:55:27] [このレビューのURL]

薦めてくれた知人には悪いけど、これは…全く肌に合わなかった。

なるほど、確かに敵にも主人公たちにもそれなりの主義や主張はあるらしい。ただそれが総じて薄っぺらい。
主人公たちの向かう方向性があまりにもぼやけてはっきりとしておらず、それなのに当の本人たちは出どころ不明の信念と腕力だけで問題を解決していってしまう。そしてそれをやんわり肯定してしまう周囲の空気。
そんな戦後の混乱期というシビアな情勢には場違いすぎる、ある意味「天然」な世界に完全に置いてけぼりをくらってしまったという感じ。このノリがどうも理解できない。

まあこれはこれで、絵柄が好みに合いさえすれば意外と楽しめるのかも…。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-16 23:24:13] [修正:2008-01-16 23:24:13] [このレビューのURL]

得点は保留。
まだまだ地道な展開。でもつの丸先生ならきっと何かやってくれるはず…!
期待大。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-16 23:00:47] [修正:2008-01-16 23:00:47] [このレビューのURL]

「デカスロン」以来の山田芳裕。まず絵柄が全くと言っていいほど変わってないのに驚いた。
正確に言うと少し紙面はスッキリしたのだけど、この作者の最大の持ち味だった「勢いだけ」な突っ走り感が衰えてないのがすごい。

そして何と言っても着眼点がおもしろい。今まで様々なメディアでさんざん取り上げられ、いささか食傷気味だった戦国時代も、数寄という文化的な面から見ることでこれほど新鮮に映るものなのか。
武士道らしい禁私的な精神は隅に置かれ、欲望と野心に忠実な好き者:数寄者たちが幅を利かす。それが格好悪いことでも何でもなくて、ただただ粋!
そんな中で主人公・古田左助は茶の湯を通じ「侘び」の精神に惹かれていくことになるのだが…その顛末がまた実に黒くて、でもどこか滑稽に描かれるのがおもしろい。

改めてうちの国にかつてこんなにも素晴らしい時代があったんだなーと感心させられる。
かなりオススメ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-12 00:54:15] [修正:2008-01-12 00:54:15] [このレビューのURL]