「souldriver」さんのページ

「デカスロン」以来の山田芳裕。まず絵柄が全くと言っていいほど変わってないのに驚いた。
正確に言うと少し紙面はスッキリしたのだけど、この作者の最大の持ち味だった「勢いだけ」な突っ走り感が衰えてないのがすごい。

そして何と言っても着眼点がおもしろい。今まで様々なメディアでさんざん取り上げられ、いささか食傷気味だった戦国時代も、数寄という文化的な面から見ることでこれほど新鮮に映るものなのか。
武士道らしい禁私的な精神は隅に置かれ、欲望と野心に忠実な好き者:数寄者たちが幅を利かす。それが格好悪いことでも何でもなくて、ただただ粋!
そんな中で主人公・古田左助は茶の湯を通じ「侘び」の精神に惹かれていくことになるのだが…その顛末がまた実に黒くて、でもどこか滑稽に描かれるのがおもしろい。

改めてうちの国にかつてこんなにも素晴らしい時代があったんだなーと感心させられる。
かなりオススメ。

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[投稿:2008-01-12 00:54:15] [修正:2008-01-12 00:54:15]