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[ネタバレあり]

他の方にも指摘されているように、なるほど、車田氏は失敗を学習しない人のようだ(笑)。まあ、その唯我独尊的な発想があるからこその天才なのだろうが、さすがにこの作品はヒドい。

設定やキャラデザなど、基本部分は完全に「星矢」の二番煎じであり、ほとんど自己パロディの域。車田氏ほどの人でもヒットの甘味は忘れられないのだろうかとファンを失望させた、「男坂」の失敗とはまた違う意味での伝説的失敗迷走作品。

もちろん二番煎じというやり方が必ずしも悪いわけではないが、問題は車田氏本人が、前作「星矢」がどういう形でファンの期待を裏切っていったのかをまったく理解していない事だ(この頃から車田氏の作家としての「引き出し」が無くなりつつあり、それゆえに客観性を失っているように思われる)。

そういう創作姿勢だから、今作も序盤を過ぎた辺りから当然のように迷走し始める。序盤はカッコ悪い恐竜のような敵ばかりが多かったため人気が出ず、これではダメだと、急遽、紫龍と瞬にそっくりな「美形キャラ」を投入するような安易さ。結局ちゃんとした背景描写も無いままに出したキャラなど、外見の良し悪しに関わらず魅力が無いという事を証明してくれている。

そのくせラスボスの容姿は完全なる「やられキャラ」の典型的デカブツ(もっともそれすら連載が続いていれば中から「美形の人」が出てくるという媚び展開もあり得たがw)。組織の全貌を早々に明かしたのもマイナス要因。結果は…、言うまでも無い。

ラストの<NEVER END>の文字は、ある意味、「男坂」の<未完>よりも物悲しい。

そして「リングにかけろ2」や「冥王神話」に至っては、迷走ではなく、もはや暴走に近い。特に星矢の前世話である「冥王神話」は設定的には破綻していると言っても過言ではない。

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[投稿:2008-01-28 13:04:29] [修正:2008-01-28 13:04:29]