「Mikky-D」さんのページ

総レビュー数: 74レビュー(全て表示) 最終投稿: 2008年10月02日

 ストーリー云々の前に、作者の、パンク・ロック・ムーブメントを含むポピュラー音楽史(あるいはその文化)に関する無知に辟易する。明らかにシド・ビシャスをモチーフとしたキャラに代表されるそのイメージはあまりに貧しく幼稚で、見ていて辛い。

 おそらく、これらの原因として、シド・ビシャスのパンク・アイコンとしての神格化と、彼とナンシー・スパンゲンについてのエピソードの徹底的な美化が作者の根底にあるのでしょう。しかし、これらが一方的かつ表面的な見方であることは、星の数ほどある関連書籍や映像をちょっと調べればすぐ理解できます。

 まず、シドの神格化についてですが、彼を、体制への反抗、既成概念の破壊といった一般的に言われるパンク・ロック・ムーブメントにおける精神姿勢の体現者と捉えている方が、作者以外にもいまだに多くいることは事実です。
 しかし、当時のロンドンにおけるパンク・ロック・ムーブメントに関わった多くの人間の証言から、彼がライフスタイルや音楽あるいは文化的表現者として何らかの信念を持っていたことを見出すことは全くできません。むしろ当事者の多くの発言からは、一部の策略家や関係者(マルコム・マクラーレンやヴィヴィアン・ウエストウッド等)に踊らされ、流され、ついにはハード・ドラッグに手を出し、その過剰摂取によって死んでいったかわいそうな無知な若者と見たほうが常識的に考えて自然です(ただし、個人的には、人間としてあるいはベーシストとしては最低な人間ですが、シンガーとしてはある種の資質を持っていたと考えていますし、決して嫌いなわけではないです)。

 また、ナンシーとの関係ですが、指摘している方がいらっしゃるように、おそらく2人の関係を美化した映画「シド&ナンシー」あたりに影響を受けたのでしょう。
 しかし、この映画が当時のロンドンの状況と、2人の関係性をを正しく表していないことは、多くの当事者たちの発言から明確です。例えばジョン・ライドン(ジョニー・ロットン)は、インタビュー等でこの映画で描かれたパンク・ロック・ムーブメントの描写と、2人の関係の美化について厳しく批判し、「この映画で評価できるのは、シドを演じたゲイリー・オールドマンの演技だけ」と述べています。
 彼らは、覚せい剤(ヘロイン)によって結ばれ、覚せい剤によって直接的あるいは間接的に死んでいった、残念な人たちでしかないのです。また、ナンシーの死後、シドが別の女性と深い関係を持っていること等から、2人の愛情の深さも大いに疑問です。

 もっとも、薬物と暴力にまみれ、薬物の影響から、ところかまわず嘔吐、失禁、意味不明な発言を繰り返し、まともな社会生活さえ送れないような男女を、ちゃんと認識した上で、それでも「カッコいい」と思っているのであれば、これ以上言うことはありませんが。

 

ナイスレビュー: 4

[投稿:2008-10-02 19:06:44] [修正:2008-10-02 19:06:44] [このレビューのURL]

6点 BECK

 音楽を主題とした漫画。少年誌連載ということで、作者の他の作品と比べるとやや異色。もちろん、それが悪いわけではなく。
 また、シュグナイトの件を指摘している方がいらっしゃるように、実在のミュージシャンの逸話やグループ名、ライブハウス等々を各所でパロディ化している点や、例えばNYドールズのくだり(真帆の化粧)等、元ネタ知っているとクスッと笑ってしまうような表現は、作者の音楽の趣味が感じられ、大いに評価できる。ただ、それがやや広く、浅いように一部感じる(あえてそうしたのかもしれないが)。

 ひとつだけ言いたいのは、関連アニメやCD等は、この漫画に関してだけは絶対に作ってはいけなかったのでは。何らかの実在する「音」とイメージが結びつけられる可能性を伴うようなことは絶対にやってはいけなかったように思う。もしアニメ等でこの作品のイメージと同時に何らかの音楽を聴いてしまった人が、この漫画を読んで想像力を働かせる際の妨げとなる危険性があるのは明らか。
 テレビや映画などにない活字や漫画の良さは、読者が強く想像力を働かせることができることだと考えているので、せっかく「音楽」という漫画作品として珍しいテーマがあるだけに、この点は実に残念。
 この作品の中で演奏される音楽は、読者それぞれの頭の中でのみ流れるべきだった。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-10-02 20:15:05] [修正:2008-10-02 20:15:05] [このレビューのURL]

10点 寄生獣

 素晴らしい作品。また、漫画史上もっとも哲学的な作品であると考えています。

 この作品に関して、インターネット上で「作者の自然界擁護に基づく人間批判的思想云々」という批判を見かけ驚きました。この作品からそんな程度のものしか読み取れないのかと。確かに、人口問題、環境問題等に対する作者の問題意識が感じ取られるのは間違いありませんが、この作品のテーマはもっともっとはるか多岐にわたるものなのでは。特に、環境云々がかすむ程、アイデンティティに関する問いかけは深い。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-02 03:35:04] [修正:2011-08-06 05:59:22] [このレビューのURL]

 決して駄作だとは思いませんが、改めて「ナニワ金融道」の凄さを感じました。
 こういったテーマの漫画を読むとどうしても比べてしまいます。でも「ミナミの帝王」よりは100倍は面白いです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-25 18:45:47] [修正:2011-08-06 05:56:45] [このレビューのURL]

 おそらく子供は楽しめるのでしょう。でも私は楽しめなかった。もっとも、全く読めないほど悪くもなかった。

 余談ですが、主人公に妙な語尾を連発させるのはいかがなものか。不自然で、読んでて辛い。キャラを立たせたいのは分かるが。そんな手法に頼らずともキャラを立たさられるように努力してほしい。

 ただ、現在の少年ジャンプ誌上では、上位に位置していると思います。他がひどすぎるせいでもありますけども。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-04 02:13:14] [修正:2008-11-30 13:58:16] [このレビューのURL]

 新聞紙連載のためなのか、初期の作品にみられる毒が感じられないのが残念。

 氏の作品では「のんき君」あたり最高に面白いと思うのですが。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-11-27 15:31:26] [修正:2008-11-27 15:31:26] [このレビューのURL]

 画が凄い。

 ドラゴンボールもそうですが、1ページ、時には1コマで作品と言えるだけのクオリティを感じます。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-11-19 19:49:46] [修正:2008-11-19 19:49:46] [このレビューのURL]

 私は好きでした。ちなみに原作は読んでいません。

 掘ればよく育ちそうなキャラクター達が登場してはすぐ死んでいき5巻で終わりというのは、ぐだぐだと続いているような漫画が多い中、逆に爽快です。
 結局ほとんどのバトル系漫画って突き詰めればこうなるのではないか等と読んでて思ったりしました。
 また、ほとんどのキャラが登場期間が非常に短い割には、それなりに(あくまでもそれなりにですが)キャラが立っているように思います。

 ただ、ラストはあまりにも意外性がありませんでした。 

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-13 04:06:44] [修正:2008-10-13 04:06:44] [このレビューのURL]

 他に類を見ない作品と言えるのでは。アイデアも画風も。

 キャラにほとんど人格を与えないという手法は、星新一氏の小説に見られる登場人物の記号化に通ずるものがある・・・というのはこじつけすぎでしょうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-07 21:52:58] [修正:2008-10-07 21:52:58] [このレビューのURL]

 良作。日本史好きな人ならより楽しめるかと。ただ、琉球編は明らかに蛇足。もっとも、大人の事情で原作の唐入り編を描けなかったことが原因かもしれませんが。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-02 16:30:09] [修正:2008-10-02 22:18:35] [このレビューのURL]

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