「いーらび」さんのページ

総レビュー数: 38レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年04月15日

何よりも、ポコ太の存在に満点をあげたくなる。
大切にしてきたぬいぐるみが動いて喋るなんて、正に女の子の夢。
姫ちゃんとポコ太のふれ合いが可愛くて微笑ましくて、
ずっと大事にとっておきたくなる様な漫画。

友情と恋愛と、家庭や学校での、いわば女の子の日常の描き方が楽しい。
繰り広げられる人間関係が、とにかく明るくて爽やか。
登場人物一人一人も皆魅力的で好感が持て、終始心地よい気分で読める。

特に大地と姫ちゃん、キャラそのものと2人の関係が、数多くの恋愛漫画を押しのけて一番好き。
とってもお似合いな上、やりとりが自然で痒いところも無く、読んでいて爽快。

何より、この作品の素晴らしさは、母の目線で描かれているということ。
自分が母親になってみて改めて、作品に潜む愛情深さに気付き感動した。
主人公視点だけではないストーリーを動かす力、そんな見守る大きな愛に溢れた作品。
作者自身が姫子の母親になっているところや、大地やエリカの存在も然り、
何と言ってもその象徴はポコ太。

悩みを聞いてくれたり、一緒に喜んだり悲しんだり、時にはたしなめてくれたり。
いつも傍にいる家族でありながら、一番仲良しの親友でもあるような存在が、
こんなに愛らしいマスコットだなんて、姫ちゃんが羨ましい。
女の子なら、きっと誰もが欲しいと思うポコ太を、生み出してくれた作者に感謝したくなる。

最終巻は、何度読んでもボロ泣き。
お気に入りのぬいぐるみを大事にしながら子供時代を過ごして来た女の子が、
恋をして、大切な人を得て、段々と大人になっていく過程で、訪れるそのぬいぐるみとの別れ。
それをこんなにも感動的に描いてくれるなんて。
ここまで上手い終わり方をした少女漫画は、見たことが無い。

無駄の無い軽快な運びに、心優しい愛情がいっぱい詰まった名作。

女の子は是非読んで欲しい。
というか、読みなさい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-04-08 12:41:13] [修正:2013-04-14 17:09:17] [このレビューのURL]

個人的に一番好きな手塚作品。

三つ目族が残した遺産を、その末裔写楽が、
桁外れの知能「第三の目」で読み解いていく。

彼の存在そのものが時にとんでもないことを巻き起こすが、
その常人離れした頭脳、発言、行動がとにかくブラックユーモアに溢れていて魅力的。
ドジで可愛い、いじめられっこの絆創膏写楽が、悪い三つ目写楽になった途端、
同級生への仕返しをクールにやってのけるところなんか痛快の極み。
あのギャップが堪らない。

遺産を狙う愚かな現代人と対比され、冷徹にすら映る三つ目写楽だが、
実はとっても人間的というところも憎めない。

全編が古代遺跡に絡む冒険で、知的好奇心をくすぐられて面白い。
そこかしこに古代人のメッセージも織り交ぜられ、考えさせられる。

主人公写楽保介とヒロイン和登千代子の名前を、
シャーロック・ホームズとワトソン博士から拝借したというセンスも流石。
名コンビ。

「アブドルダムラル、オムニスノムニス、ベルエスホリマク!我とともに来たり、我とともに滅ぶべし!」
三つ目写楽が、赤い矢印を呼ぶこの決め台詞が好き。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-24 17:48:07] [修正:2010-09-24 17:51:06] [このレビューのURL]

10点 まんが道

志を同じくする2人が出逢い、切磋琢磨し合い、
人との関わりに助けられながら漫画家になっていく過程。
その全てが不思議なまでに運命的で面白い。

満賀と才野の血の滲む様な努力に、「本気」の凄さを思い知らされる。
好きで描いていた頃とは明らかに違う、締め切りに追われるプロの厳しさ。
裏には想像を絶する努力があったということに驚かされる。

生半可な覚悟では到底歩めない『まんが道』を、
2人で支え合って進む様が微笑ましい。

よほど仲が良くなければ、出来ない芸当である筈の合作。
それを自然に継続していく姿は、羨ましくなる程に清々しい。

2人で1人となって漫画に人生を捧げた、正に不屈の『まんが道』。
その生き様には学ぶものが多々ある。

そして忘れることが出来ないのが、手塚治虫の存在。
独り雲の上を突き進んでいた神様。
多くの漫画少年たちに夢を与え、今日の礎を築いたその偉大さが、改めて身に沁みる。
彼の功績なしに漫画は語れない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-01 19:17:34] [修正:2010-09-03 17:40:23] [このレビューのURL]

この感性には度肝を抜かれる。

強烈に脳裏に焼き付けられた名シーンの数々が、突如フラッシュバックして来ては笑いの渦に巻き込む。

ストーリーの完成度として見ればさほど高くはないが(というより性質上ストーリーは有って無いようなもので)、この漫画に限ってはそんなことどうでもいい。

思い出す。今なお。日常生活において。鮮明に蘇る。ぱぴいのあの顔あの台詞あの挙動・・・
そして再び読みたくなっては手に取って笑い転げる。初めて読んだ時から、幾度繰り返したことか。

もはや人生の一部。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-19 19:09:17] [修正:2010-07-22 15:36:02] [このレビューのURL]

10点 寄生獣

素晴らしい。文句なしの満点。
ここまで深く簡潔に凝縮された、完成度の高い作品はそうそう無い。

何といっても、敵であるはずの寄生生物が皆、あまりに魅力的で憎めないこと。最たるは勿論ミギーだが、「敵」と位置づけることすらためらわれる程、愛すべき、味のあるキャラが多い。
葛藤しながら、少しずつ変化していく主人公の人間模様もリアル。
その中で知らず知らず育まれていたミギーとの深い友情にこそ、作中最も強い感銘を受ける。涙せずにはいられない。

伏線も全て消化されているので、読んでいて違和感を覚えることが無い。
広げようと思えばいくらでも広げられたであろうが、敢えて小規模の話にとどめているところが、さらに作品としての価値を高めている。

ミギーはいなくなったのではない。いつもそばにいる。そう感じさせてくれる期待通りのラストは、本当に素晴らしかった。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-04-23 16:26:11] [修正:2010-04-23 17:30:20] [このレビューのURL]

『うしおととら』に続いて、相変わらず脚本が濃い。

話の運び方やブレる時間軸の描き方が秀逸。
広げすぎた設定にも、よくある不安を感じず読めるところは流石。
藤田和日郎独特の、細部まで作り込まれた世界に惹き込まれる。

ただ、一巻を読んだだけでは、はっきり言って何も面白くない。
が、しかし、読み進めていくとはまる。
続きが気になって気になって堪らなくなる。

兎に角、キャラに対する愛情を感じる。
一人一人にストーリーを作り、繋がりを大事にし、張り巡らされた違和感も後で必ずスッキリ爽快。
特にアルレッキーノとパンタローネの最期は、オートマータの存在理由が集約され、人間らしさや幸福感に満たされていて美しかった。
主人公がしっかりと自分の足で成長していき、各々の人生に意味があって関わり、誰の身にも何らかの救いがある。
そういった配慮が行き届いているところに素晴らしさを感じる。

最後に多少物足りなさを感じる(頼りになる後ろの奴は、まさるだと鳴海に気付かせて欲しかった)ものの、
壮大なストーリーの運びがあまりに秀逸で、作者の頭の中に興味が湧く。
こういう描き方の出来る作家はあまりいない。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-11-09 19:43:54] [修正:2013-04-10 10:31:21] [このレビューのURL]

人間の心に潜む闇の描き方が秀逸。

残虐な描写にも不思議と説得力がある。
これこそが人間の真実。

ただグロイものを描くのとは次元が違う。
それ程に深い人間描写。


『三浦建太郎細密画集』になってしまったのが残念。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-04-01 14:15:24] [修正:2013-04-10 10:26:47] [このレビューのURL]

9点 LIAR GAME

頭脳明晰で冷静沈着な秋山。お馬鹿で感情的な直。
真逆の性質の男女が、志同じく助け合う姿がいい。

ゲーム上でも精神的には常に2人セット。
負債を背負って、運命を共にする方法を選ぶところなんかも、
そこらの少女漫画よりよっぽど精神的結び付きが描けていると思う。
かといって馴れ合わず、一定の距離感のある微妙な関係。

直がお人好し過ぎてイラッとくる場面は多々あるものの、いやだからこそ、
それをどっしりサポートしてくれる秋山の魅力が光る。

しかし毎度毎度、よくこんな面白いゲームを。
密輸ゲーム?感染ゲーム?どこからそんな発想が。こんな椅子取りゲームは前代未聞。

ゲーム進行上刻々と変化する状況を、対戦相手の心理描写や策略も踏まえながら丁寧に追っていく
やり方は、単純に良く出来ていると思う。臨場感があって読者も楽しめる。

ついでにみんな「はあっ!?」の表情がイイ。
特にフクナガとヨコヤ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-10-05 18:05:07] [修正:2010-11-15 17:40:11] [このレビューのURL]

9点 ねじ式

このとりとめのなさを一つの作品として書き落としているところが、何とも文学的。
他の誰にも真似出来ない独特の世界観。
さながら泉鏡花。

一見、他人にはわけの分からないものに映る心の断片、いわば自分の中だけで完結していた物を、
漫画として公にさらした感性には、評価すべき光るものがある。

読後にぼんやり残る後味は、まるで難解な文学でも読んだかのよう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-11 18:07:08] [修正:2010-11-11 18:07:08] [このレビューのURL]

恐ろしく志の高い漫画。

世界観に引きずり込まれる冒頭からずっと、ダレない展開が素晴らしい。
キャラの構築にも群を抜く魅力を感じる。
一人一人個性的で味があり、敵と言えど憎めない。
皆カッコイイ。台詞も常にカッコイイ。

戦がまた面白い。
敵味方双方の実情や背景が丁寧に描かれているので、
参戦する者全員の本気が常に伝わってくる。
兵法や地形、現在地の説明も細かく成されるため、
状況が良く伝わって来てこの上ない臨場感がある。

得難い物を得ようとする道程の厳しさや歩む際のもどかしさ、
一歩夢に近づいたという爽やかな充足感が、上手い具合に絡み合っている。

ここまで期待を裏切らない面白さは珍しい。
今後の展開が楽しみな作品。

素晴らしい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-12 14:57:32] [修正:2010-07-12 14:57:32] [このレビューのURL]

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