「為亀」さんのページ

総レビュー数: 26レビュー(全て表示) 最終投稿: 2006年10月26日

構成、行間、人物、水、木目、過去、挙動。
全てが「人をわかるってどういうことですか?」と、問いかけてくる作り方は秀逸。

控えめに囁いてくるような、ゆっくりと染み込むような問いは、強烈ではないけれど長く僕の中に尾を引いて残っています。
静かな説得力を持った作品でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-09-27 21:11:38] [修正:2008-09-27 21:11:38] [このレビューのURL]

8点 Landreaall

なんといってもキャラクターと世界観の造り込み、観せ方の上手い漫画だと思います。

それぞれのキャラクターの世界観、人生観が透けて見えるのに、それを押しつけてくる感じがないところが好きです。主人公にいくつもの信条を持たせて、それらを関係させたり、競合させたりする作り方なんかには、丁寧に作ってるんだなーと思わされますね。

世界観についても、それぞれのキャラクターの住む世界について思想風土や文化が想定されているようで、そこにまた魅せられます。

いろんな用語や事物の裏に隠れた設定があるような気がして想像すると楽しいですね。良質な漫画だと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-09-27 20:59:22] [修正:2008-09-27 20:59:22] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

全てを赦す、と称して全て諦めてしまうことで自己防衛している主人公に、「全部を赦すとか言っても結局、自分の想像の及ぶ範囲のことしか赦せてないよね。」ってことを、作者がずっと言い続けるような話でした。

冒頭から、全てを赦しているとか理由なんかどうでもいいと言う主人公に作者が、「こんなこと赦してなかった、というか考えてもいなかったでしょ?」「じゃあこれは赦せる?」って感じで問いつづけて、最後の最後にそれまでの全ての出来事の重みを梃子にして「じゃあこれは?」って聞いて主人公を屈服させて、主人公はやっとこさ次のステージへいける。という話。

なんじゃないかなーと思いました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-09-27 19:18:54] [修正:2008-09-27 19:18:54] [このレビューのURL]

欲望を肯定し、機会均等を達成する政治体制。という形を突き詰めた作品。
着眼の面白い作品だと思う。社会として欲望を肯定する。というのは確かに必要だけれど、、、
国民クイズ体制は否定するけれど資本主義を肯定する。としたとき一体どこで線を引いたらいいのか。機会の均等と言う意味で本当は国民クイズ体制のほうが優れているのではないのか。
国民クイズ体制が誤った体制で、議会制民主主義がより正しい体制だ。とは簡単にはいえないのではないでしょうか。もちろんそれは専制王政だったり、直接民主主義だったり、社会主義だったりにも言えることです。
国民クイズの中の日本は少なくとも現実の10年後の日本よりも機会均等がなされた日本かもしれません。
是非、国民クイズ体制を誤。間接民主制を正とせずに観てみてください。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-05-17 12:10:06] [修正:2007-05-17 12:10:06] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

超編の終わる一歩手前まで読んでの感想です。
ものすごく惜しい作品ですね。エンターテイメント、少年誌という土台を崩さずにできるうちではかなり高いレベルの作品だと思います。
惜しいというのは超やねぎの行動や思想にあと一歩つめの甘いところがあって、その欠陥がその思想をひっくり返してしまいかねないくらい致命的だということです。
しかし、それらのつめの甘さを含めた話をしだすと、「ネギま」自体が少年誌だったりエンターテイメントだったりの枠からはずれてしまうでしょうから、善や悪について扱ったエンターテイメント作品の中ではこれで限界ギリギリというレベルまで高められた作品だとは思います。
エンターテイメントの枠から外れるというのは具体的にいうと、政治の話になったり経済の話になったり、懐疑的な善悪論になってしまったりするということです(ネギまの中で行われている懐疑は、僕らは本当に正しいか。であって正しいとはどういうことか。ではないから)。
「ネギま」で出された答えにはまだ反論の余地があります。しかし「ネギま」はその反論の余地を作り出した高いエンターテイメント性が故に、話の糸口や、哲学や社会矛盾に対して今まで興味の無かった人々の第一歩になる可能性を秘めていると思います。
そういう意味で、高い価値のある作品だと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-04-19 23:20:21] [修正:2007-04-19 23:20:21] [このレビューのURL]

普通に読むだけではなんだか府に落ちない不思議な感じのする作品。
作品の要所要所に仕込まれている抽象表現の意味するものを読み解いてやっと物語としてまとまっていることがわかります。
実はものすごく深みのある作品です。抽象表現の意味がわかったときの驚きというか感動は相当なものです。
かく言う私もどうしてもわからない抽象表現がいくつか。。。いつか閃く日を夢見ております。
モノローグはもちろんのこと出来事やキャラクターにまで象徴があります。いろいろ考えてみてください。
蛇足ですが作中で蓮見の嫌っている音楽は実在します。その音楽の題も「乾からびた胎児」。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-01-13 20:08:27] [修正:2007-01-13 20:08:27] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

地球人と火星人の確執や歴史などはまるで一つの紛争の歴史をみているかのように感じました。
前半部分はその確執を主題に展開していき。後半部分では火星自体の運命すらもまきこんだ大きな展開になっていきます。
どちらも面白いですが、やはり前半部分が好きですね。登場人物の台詞の中にも興味深いものがあって、特にエルグの「どちらが先かってのは重要じゃない、どちらに必要かだ」という台詞などには納得させられました。
そういう意味で、私の価値観を形作る一つの要因になりました。

後半部分は、「高次元の存在」というものをうまくイメージできるか。ということがネックになってくると思います。
単なるおせっかいかも知れませんが。
もし、後半ついていけないな〜と思われる方がいらっしゃいましたら、是非「時間軸の加わった世界」について考えてみてください。
少し、ついていけるようになるかもしれません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-11-05 23:29:51] [修正:2006-11-05 23:29:51] [このレビューのURL]

8点 Pink

なにかが欲しいから働いてお金を稼ぐ、という資本主義の基本的な構造が果たして健全か?人間的か?と問いかける作品だと思います。
主人公の周りに漂う歪な自然さをどう表すか、捉えるかということを考えながら読むと作品の中に隠されたテーマが見えてくるんじゃないかと思います。
普通に読めばなんてことないつまらない話のような気がしますが、読み終わったあと発言や人物像など全てを見渡してみると意外にも深いテーマが隠されています。
そう思うのはただ、自分が鈍感なだけで普通に読んでわかる人もいるのかもしれませんけどね(汗

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-11-01 11:08:37] [修正:2006-11-01 11:08:37] [このレビューのURL]

8点 BLAME!

まさに人を選ぶマンガですね。世界観や主人公たちのプロフィール等の情報のほとんどを明言せず、推理させることで紹介するこの表現方法は、なかなか他で見られるものではありません。
作品の中で語られるヒントと自分の推理が組み合って一つの綺麗な世界になるのはなんとも言えず面白いです。
そんな楽しみ方が好きだ。と言う人には是非頑張って三巻までは読んでみて欲しい作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-10-26 17:13:42] [修正:2006-10-26 17:13:42] [このレビューのURL]