「為亀」さんのページ

総レビュー数: 26レビュー(全て表示) 最終投稿: 2006年10月26日

作品としての深みがありすぎて、いまだこれだ!と思えるポイントに行き着けていない。
いつかそれが見つかって、言葉にできるようになったら必ず批評を書いてみたい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-08-13 12:05:06] [修正:2008-08-13 12:05:06] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

 私の個人的なこの物語の展開を書きます、どうしても先入観を与えてしまうと思うので一度自分の考えを整理してからみることをオススメします。
 尚、漫画版の事を書きますが、漫画の解釈を展開する際に映画版の演出もヒントとして使っています。悪しからず。

 最初にこの漫画を読んだ段階ではただ単純に現実世界とは関係なく善悪のバランスのとれた世界を描きたかったのかと思いました。いつだったか松本大洋がインタヴューのときに必要悪の話をしていたのを少し覚えていたので、「松本大洋の中では現実世界も善と悪のバランスが取れていなければならないのかもしれない。でも私としてはこの作品を読んだだけでは、クロたちの生きる世界がバランスのとれていなくてはならない世界であることは納得できても、現実をそういう風に考えることはできないな。」という風に考えていました。(その解釈では闇の力、イタチの存在、イタチの台詞の意味、などは上手く解釈できなかったのですが特別考えていませんでした。)
 しかし、映画を観て、クロとシロの象徴するものはそれぞれ悪と善ではないような印象を受けました。それぞれ現実と理想を象徴しているのではないかと思い直しました。そうすれば、現実(街)が理想とはかけ離れた方向に進んでいくのに比例してシロが夢見がちになったことも、現実からシロを守ってやれなくなってきているというクロの不安も納得がいきます。それだけでなく物語の様々な符号が一致するのです。シロ(理想)を失って現実だけを求め、視るようになったクロの暴走も納得いきますし、イタチの真実は闇の中にある。闇こそが力だ。といった発言も上手く解釈できます。
 そして最後の最後にクロが現実に捕らわれたイタチと決別したときの言葉は「俺はシロを信じる」だったことにも納得がいきます。つまり、この物語は現実を見据えながらも理想を信じる事の必要さを物語っているのではないかと思います。
 私個人の認識ですが、最近では理想を諦めて現実的なものだけを求めることがかっこいいというか、大人というか、そういうイメージがあるように思います。もちろん、現実をみなくていいというのではありません。理想だけをみて、一面的に「なんで理想どおりにしないんだ!」とだけ言っていても、上手くいかないと思います。
 だからこそ、「理想を信じながらも、現実を見据える姿勢が必要なのだ。」というメッセージを、この作品は持っているように思いました。
最後に、二人一組で街全体の象徴として物語の前半で描かれていたクロとシロの中で、最後クロだけ理想と現実のバランスとれちゃっていいのかな。。。とも思ってます、この解釈の仕方も松本大洋の思ったものとは違うのかもしれませんね。しかしまぁ個人的に満足しているからこれでいいかとも思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-02-03 13:03:44] [修正:2007-02-19 00:29:22] [このレビューのURL]

とても前衛的で気に入る人と気に入らない人が分かれる作品だと思います。
圧倒的な色彩感覚、漫画という媒体でこういう方法で色を活かしきった作品が他にあるでしょうか。
時に不自然で時に毒々しい様々な色たちが物語の中へ中へと引き込んでくれます。
また、抽象表現の多い作者なのでそれらの表現を演出として流すだけでなく、何を抽象しているのか考えてみると違った深みがでると思います。
私の場合は二回目以降読み返すときにやっている作業です、興味がある人は是非やってみてください。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-01-13 19:46:49] [修正:2007-01-13 19:46:49] [このレビューのURL]

入門と言う名にふさわしく、読みやすいです。
どこまでが現実をモデルのしているかわからないことと、時代の変化のことがあるので実例、資料として取り上げることはできませんが、入門書としては非常にいい出来だと思います。
日本のODAの額は確かに相当なものですが、手放しで喜べることばかりとは限らない。ということに気づかせてくれます。
展開もあるので、地味な漫画や真面目な(?)漫画が苦手な人でも全然読めると思います。
ODAにはどんな問題点があったのか、またあるのか、と言うことをわかりやすく書いているので興味のある人は是非どうぞ!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-11-02 10:36:40] [修正:2006-11-02 10:36:40] [このレビューのURL]

9点 寄生獣

この作品で一番面白いのは人間の持つ一切の倫理観を持ち合わせていない寄生獣と主人公との意見の食い違い。それによって初めて意識された問題での主人公の葛藤だろうと思います。人間とは、私達のなんとなく感じている善や倫理観とは、一体なんなのかと考えさせられる作品です。
生物として合理的、効率的な思考ができる事はとても好ましいことです。しかし人間がそれに徹した行動をとるときに、私達は彼をなんと言ってとめたらいいのでしょうか。。。
そんなことを考えながら読むと、いっそう深みのでるマンガだと思います。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-10-26 16:59:00] [修正:2006-10-26 16:59:00] [このレビューのURL]

構成、行間、人物、水、木目、過去、挙動。
全てが「人をわかるってどういうことですか?」と、問いかけてくる作り方は秀逸。

控えめに囁いてくるような、ゆっくりと染み込むような問いは、強烈ではないけれど長く僕の中に尾を引いて残っています。
静かな説得力を持った作品でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-09-27 21:11:38] [修正:2008-09-27 21:11:38] [このレビューのURL]

8点 Landreaall

なんといってもキャラクターと世界観の造り込み、観せ方の上手い漫画だと思います。

それぞれのキャラクターの世界観、人生観が透けて見えるのに、それを押しつけてくる感じがないところが好きです。主人公にいくつもの信条を持たせて、それらを関係させたり、競合させたりする作り方なんかには、丁寧に作ってるんだなーと思わされますね。

世界観についても、それぞれのキャラクターの住む世界について思想風土や文化が想定されているようで、そこにまた魅せられます。

いろんな用語や事物の裏に隠れた設定があるような気がして想像すると楽しいですね。良質な漫画だと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-09-27 20:59:22] [修正:2008-09-27 20:59:22] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

全てを赦す、と称して全て諦めてしまうことで自己防衛している主人公に、「全部を赦すとか言っても結局、自分の想像の及ぶ範囲のことしか赦せてないよね。」ってことを、作者がずっと言い続けるような話でした。

冒頭から、全てを赦しているとか理由なんかどうでもいいと言う主人公に作者が、「こんなこと赦してなかった、というか考えてもいなかったでしょ?」「じゃあこれは赦せる?」って感じで問いつづけて、最後の最後にそれまでの全ての出来事の重みを梃子にして「じゃあこれは?」って聞いて主人公を屈服させて、主人公はやっとこさ次のステージへいける。という話。

なんじゃないかなーと思いました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-09-27 19:18:54] [修正:2008-09-27 19:18:54] [このレビューのURL]

欲望を肯定し、機会均等を達成する政治体制。という形を突き詰めた作品。
着眼の面白い作品だと思う。社会として欲望を肯定する。というのは確かに必要だけれど、、、
国民クイズ体制は否定するけれど資本主義を肯定する。としたとき一体どこで線を引いたらいいのか。機会の均等と言う意味で本当は国民クイズ体制のほうが優れているのではないのか。
国民クイズ体制が誤った体制で、議会制民主主義がより正しい体制だ。とは簡単にはいえないのではないでしょうか。もちろんそれは専制王政だったり、直接民主主義だったり、社会主義だったりにも言えることです。
国民クイズの中の日本は少なくとも現実の10年後の日本よりも機会均等がなされた日本かもしれません。
是非、国民クイズ体制を誤。間接民主制を正とせずに観てみてください。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-05-17 12:10:06] [修正:2007-05-17 12:10:06] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

超編の終わる一歩手前まで読んでの感想です。
ものすごく惜しい作品ですね。エンターテイメント、少年誌という土台を崩さずにできるうちではかなり高いレベルの作品だと思います。
惜しいというのは超やねぎの行動や思想にあと一歩つめの甘いところがあって、その欠陥がその思想をひっくり返してしまいかねないくらい致命的だということです。
しかし、それらのつめの甘さを含めた話をしだすと、「ネギま」自体が少年誌だったりエンターテイメントだったりの枠からはずれてしまうでしょうから、善や悪について扱ったエンターテイメント作品の中ではこれで限界ギリギリというレベルまで高められた作品だとは思います。
エンターテイメントの枠から外れるというのは具体的にいうと、政治の話になったり経済の話になったり、懐疑的な善悪論になってしまったりするということです(ネギまの中で行われている懐疑は、僕らは本当に正しいか。であって正しいとはどういうことか。ではないから)。
「ネギま」で出された答えにはまだ反論の余地があります。しかし「ネギま」はその反論の余地を作り出した高いエンターテイメント性が故に、話の糸口や、哲学や社会矛盾に対して今まで興味の無かった人々の第一歩になる可能性を秘めていると思います。
そういう意味で、高い価値のある作品だと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-04-19 23:20:21] [修正:2007-04-19 23:20:21] [このレビューのURL]

<<前の10件
123