「為亀」さんのページ

総レビュー数: 26レビュー(全て表示) 最終投稿: 2006年10月26日

9点 寄生獣

この作品で一番面白いのは人間の持つ一切の倫理観を持ち合わせていない寄生獣と主人公との意見の食い違い。それによって初めて意識された問題での主人公の葛藤だろうと思います。人間とは、私達のなんとなく感じている善や倫理観とは、一体なんなのかと考えさせられる作品です。
生物として合理的、効率的な思考ができる事はとても好ましいことです。しかし人間がそれに徹した行動をとるときに、私達は彼をなんと言ってとめたらいいのでしょうか。。。
そんなことを考えながら読むと、いっそう深みのでるマンガだと思います。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-10-26 16:59:00] [修正:2006-10-26 16:59:00] [このレビューのURL]

8点 Landreaall

なんといってもキャラクターと世界観の造り込み、観せ方の上手い漫画だと思います。

それぞれのキャラクターの世界観、人生観が透けて見えるのに、それを押しつけてくる感じがないところが好きです。主人公にいくつもの信条を持たせて、それらを関係させたり、競合させたりする作り方なんかには、丁寧に作ってるんだなーと思わされますね。

世界観についても、それぞれのキャラクターの住む世界について思想風土や文化が想定されているようで、そこにまた魅せられます。

いろんな用語や事物の裏に隠れた設定があるような気がして想像すると楽しいですね。良質な漫画だと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-09-27 20:59:22] [修正:2008-09-27 20:59:22] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

超編の終わる一歩手前まで読んでの感想です。
ものすごく惜しい作品ですね。エンターテイメント、少年誌という土台を崩さずにできるうちではかなり高いレベルの作品だと思います。
惜しいというのは超やねぎの行動や思想にあと一歩つめの甘いところがあって、その欠陥がその思想をひっくり返してしまいかねないくらい致命的だということです。
しかし、それらのつめの甘さを含めた話をしだすと、「ネギま」自体が少年誌だったりエンターテイメントだったりの枠からはずれてしまうでしょうから、善や悪について扱ったエンターテイメント作品の中ではこれで限界ギリギリというレベルまで高められた作品だとは思います。
エンターテイメントの枠から外れるというのは具体的にいうと、政治の話になったり経済の話になったり、懐疑的な善悪論になってしまったりするということです(ネギまの中で行われている懐疑は、僕らは本当に正しいか。であって正しいとはどういうことか。ではないから)。
「ネギま」で出された答えにはまだ反論の余地があります。しかし「ネギま」はその反論の余地を作り出した高いエンターテイメント性が故に、話の糸口や、哲学や社会矛盾に対して今まで興味の無かった人々の第一歩になる可能性を秘めていると思います。
そういう意味で、高い価値のある作品だと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-04-19 23:20:21] [修正:2007-04-19 23:20:21] [このレビューのURL]

良質な漫画だと思います。
欲を言えばもっと世界観を書き込まないと不自然な感じがする設定があると思います。私の場合は特に気になりませんでした。
作者がどういう意図をもって書いたかは判断つきませんが、人間や生命自体の定義に対する問いかけが多々なされていると思います。
人間と動物を区別するもの、生命と無機物を区別するものは本当にあるのでしょうか。
答えは千差万別だと思います。ところで、人類の機械技術は日々進化しています。脳にチップを埋め込む治療法も実用化され、考えただけで動く義足、義手などもつくられている中で、「人間とはどうして人間で、どこまで人間なのか。」そういう視点からも人間の機械化について考えなければならない時がすぐ近くまで来ているのかもしれません。
蛇足ですが、私の中で五巻までなら8点の評価です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-11-03 11:43:32] [修正:2006-11-03 11:43:32] [このレビューのURL]

8点 Pink

なにかが欲しいから働いてお金を稼ぐ、という資本主義の基本的な構造が果たして健全か?人間的か?と問いかける作品だと思います。
主人公の周りに漂う歪な自然さをどう表すか、捉えるかということを考えながら読むと作品の中に隠されたテーマが見えてくるんじゃないかと思います。
普通に読めばなんてことないつまらない話のような気がしますが、読み終わったあと発言や人物像など全てを見渡してみると意外にも深いテーマが隠されています。
そう思うのはただ、自分が鈍感なだけで普通に読んでわかる人もいるのかもしれませんけどね(汗

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-11-01 11:08:37] [修正:2006-11-01 11:08:37] [このレビューのURL]

7点 神童

[ネタバレあり]

 世界の全てをまず音で把握するからこそ、ピアノから様々な世界をそのまま表すことができる。
 うたにとって世界はまずなによりも音であり。口よりもピアノを使った方が語りやすかったのかもしれません。

 神童に特別なのはその世界観だ。という作者の神童観(天才観)はかなり僕好みで、うたの天才さには強い説得力を感じました。
 奏でられた世界をそのまま映したような演奏シーンも秀逸で、絵による表現はピアノの言葉を僕等にもわかるように翻訳してくれたものなのかも。

 惜しまれるのは野球編の時代を感じさせる演出の過剰さと話のトリックの単純さですね。しかしそれを補って余りあるものをもった作品だと思います。

 僕の評価基準では7点までしかあげられませんが、一般には8点をつけても全然おかしくない作品でしょうね。


追記.2008.11.07

見逃せない要素を再発見したので追記です。
全体で’音’と’音楽’に関する考察が深まっていく構造なのではないかと。

具体的に、一巻ではうたの音で世界を観る世界観と、ピアノで世界を語る表現力を伝える。

そして和音が音大に入学してからは「自分もピアノの一部になりたい」という和音の言葉が発展して、うたの「存在その物が音楽」につながっていく。もう一方で和音の「音の厚みや空気感まではテープじゃわかんない」という発言がうたの「今この瞬間の音楽」として現れる。

ここでうたが失聴して’音楽’に向かっていたテーマが再び’音’に戻ってきて、うたは一巻時点で持っていた音を感じることを取り戻し、世界を感じることを取り戻し、そしてピアノで世界を表現することを取り戻しす。そこでやっとラストの演奏をする。という作りなんではないかと。

もう一つおもしろいのは、中盤以降、和音の発言はよくうたの音楽観を育てるキッカケになっているんだけど、和音自身はそのあとのうたの音楽観に感心はするものの追従していってる描写がない。というところ。

彼は彼なりの新しい音楽観を発展させていくのではないか。という意味でもいい終わり方ですね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-04 00:26:48] [修正:2008-11-08 00:14:03] [このレビューのURL]

構成、行間、人物、水、木目、過去、挙動。
全てが「人をわかるってどういうことですか?」と、問いかけてくる作り方は秀逸。

控えめに囁いてくるような、ゆっくりと染み込むような問いは、強烈ではないけれど長く僕の中に尾を引いて残っています。
静かな説得力を持った作品でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-09-27 21:11:38] [修正:2008-09-27 21:11:38] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

全てを赦す、と称して全て諦めてしまうことで自己防衛している主人公に、「全部を赦すとか言っても結局、自分の想像の及ぶ範囲のことしか赦せてないよね。」ってことを、作者がずっと言い続けるような話でした。

冒頭から、全てを赦しているとか理由なんかどうでもいいと言う主人公に作者が、「こんなこと赦してなかった、というか考えてもいなかったでしょ?」「じゃあこれは赦せる?」って感じで問いつづけて、最後の最後にそれまでの全ての出来事の重みを梃子にして「じゃあこれは?」って聞いて主人公を屈服させて、主人公はやっとこさ次のステージへいける。という話。

なんじゃないかなーと思いました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-09-27 19:18:54] [修正:2008-09-27 19:18:54] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

1ページに込められた情報量がすごい漫画だとおもいます。

大抵のコマがページの1/8以下の大きさなのにそれぞれがちゃんと存在感をもっていて、それでいてテンポの悪さを感じさせない。
作中にも片鱗が見られますが作者はかなりの分析家のようですから、きっとボクシングや柔道に対してやったのと同じように漫画についてもかなり分析的に接して、高いレベルの表現力を身につけてきたのだろうと思います。

ボクシングのくだりや離人症らしき描写などをみると勉強家のようでもありますし、作中のホームレスに話しかけるシーンなどはかなりの行動力だと思います。その上、これだけ漫画の表現力があることを考えればどう考えたって作者はダメな奴なんかではありません。
潔さや、”憧れ”と”自分”との差を冷静に見つめる目など、読めば読むほど作者を褒める要因しかでてきません。ごちそうさまです。

本当に詐欺な漫画だなー、と思いながらも一番最後、P146の最後のコマの大きさと、小ささと、自然さに息を呑むしかありません。本当にごちそうさまでした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-08-15 14:06:36] [修正:2008-08-15 14:06:36] [このレビューのURL]

作品としての深みがありすぎて、いまだこれだ!と思えるポイントに行き着けていない。
いつかそれが見つかって、言葉にできるようになったら必ず批評を書いてみたい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-08-13 12:05:06] [修正:2008-08-13 12:05:06] [このレビューのURL]

<<前の10件
123