「blackbird」さんのページ

8点 白眼子

北海道に実在した人物を描いた作品。

占いとも預言ともつかない、ただ、何かが見える人というのはいるもので、
今ではヒーリングとかスピリチュアル系の人のような存在でしょうか?
時間を逆上ったりもできるようなので、本当に凡人にはわからない存在なのかもしれません。
新聞とかに広告が出てるような「運命観想」とかも、普通なら胡散臭いと思ってしまうけど、山岸さんが描くと、こうも本当にそういう力を持った人がいたんだ、と信じてしまう力を感じさせてくれます。

眼が見えない白眼子だからこそ、何かと感じ取る力があり、
彼が発する言葉が真実をついていると、主人公光子には感じられます。
ちょっと特別な関係にある(物語の最後に明かされる)この二人の間に
流れる信頼感のような、温かい空気が好きですね。

「幸と不幸は皆等しい量」
「災難を避けてはいけない、どう受けるかが大事なのだ。必要以上に
幸運を求めたらすみに追いやられた災難が大きな形で戻ってくる」

こんな白眼子の淡々とした言葉が、必要以上に何かを求めようとする
卑しい心根を持った人への警鐘。
静かですが、重く響きます。

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[投稿:2011-06-15 14:40:13] [修正:2011-06-15 14:40:13]