「souldriver」さんのページ

セリフや動きの多いものだけが良い作品ではないと思う。
ここ最近の展開には「静」の中にある深い精神世界、動かないことによる動きや駆け引きが意識的に描かれており、非常に惹き付けられるものがある。
おそらく小次郎をあえて聾唖にしたのも、こういった世界が描きたかったからだと考えている。

絵は言うまでも無くハイクオリティ。これまでの漫画の手法にこだわらない自由な表現方法によって人物たちが生き生きと描き出されており、物語に一層の緊張感を持たせている。
また「強さ」という一元的な観点でしか物事を見ることができていない、という点は同意できるが、逆にその一点をこれほどストイックに深く掘り下げて描いている作品は近年あまり見ない。
それが「単純だ」と捉えられてしまうのは今の時流なのかもしれないが、ぜひこのスタイルは貫き通して欲しい。

パラパラと読んでしまえばそれで終わりだが、注意深く読んでいると見るべき点はいくつも浮かび上がってくる。
噛めば噛むほど味が出る、ではないが、ちゃんと噛まないと本当の味が分からない。

07.09.10追記:
26巻を読んでかなりガッカリ。詳しい内容はネタバレなので省略するけど、せっかく心理描写の良さがじわじわと出てきたと思ってたのに、あの無茶な戦いはちょっと…。1点マイナス。

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[投稿:2007-06-21 20:21:35] [修正:2007-09-10 15:25:55]