「souldriver」さんのページ

7点 灰者

作者本人も認めている通り、フランスのベデや松本大洋などの影響を色濃く感じさせられる。

終始暗い空気が漂い、モチーフとなった「銃夢」とは舞台を同じくしながら、本編では描き切れなかったクズ鉄町の暗黒面が全面的に押し出されているため、全く違った印象を受ける。
自分の中に潜む魔性との葛藤、場末の喧騒の中の救いの無い未来像といった、それ自体は珍しいテーマではないが、SF世界ならではの独特の雰囲気を舞台としていることでこのテーマがより引き立っている。
またコントラストを意識した絵と断片的にストーリーを見せられる映画的な構成が非常にカッコイイ。

作品としての完成度は十分高いと思うが、予備知識なしに読むとただの模倣や雰囲気だけを重視したものだと取られるかもしれない。
他の作品群とは一線を画した木城先生の意外な一面が見れる作品。銃夢を読破した後に読むのがおすすめ。

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[投稿:2007-08-16 22:50:52] [修正:2007-08-16 22:50:52]