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6点 タッチ

出始めは革新的な作品だったのだろうけど、H2→タッチと読んだ者としてはそこまでの傑作だとは思わなかった。
物語としての出来の良さ、恋愛に重点を置いた高校野球像の新しさというのは認めざるを得ない。ただ、一番の見所であるはずの揺れ動く心理描写に、いまいちピンと来ない自分がいる。

あだち先生の作風の良さというのは、青春時代の不安定で微妙な男女関係を「空気」で表現するような物語の進め方だと思う。その空気は時代によって変化しているものであって、常につかみ所がない。
だからリアルタイムでこれを読んだ「タッチ世代」にはH2の良さが、「H2世代」にはタッチの良さが完全には理解できないんじゃないかと思う。
そしてそういった時代の微妙な変化を、ややごまかしつつも確実に作品に反映させていくあだち先生はやっぱりすごい漫画家なんじゃないかな、と。

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[投稿:2007-10-01 23:01:42] [修正:2007-10-01 23:01:42]