「FSS」さんのページ

私が影響を受けた漫画のひとつ。

とにかく凄いのは、もう三十年近くも前から続いている漫画でありながら、初期の頃からセンスがほとんど変わっていない事。今、一巻辺りを読んでも、物語やギャグに古さを感じない。当時の漫才やドリフのコントなどが現代では通用しなくなっているのと比較すると、「パタリロ!」の持つギャグセンスがいかに普遍的かつ不変的であるかが分かる。

最近でこそ当初のようなストーリー性や耽美性は影を潜めたが、基本にあるギャグ漫画としての一貫性は保っている。魔夜氏のギャグセンスの高さを示す例のひとつに、パタリロが「誰にも分からないモノマネ」をして、「それが誰なのか分からなくても、そういう人がいるんだなあと想像する事で笑いになるんだ」というような解説をするシーンがあるが、これなどは最近の「細かすぎて伝わらないモノマネ」の笑いそのもの。他にも「ボケの放置」や「意図的なギャグの繰り返し」、「ノリツッコミ」、掛け合いの絶妙な間やテンポの良さなど、どれも当時から現代でも通用するレベルに達している。

つまりそれだけ最初から漫画としてのギャグやオリジナリティが高いレベルで完成されている事の証左であり、だからこそこれだけ続いているのだろう。

それでいて作中に登場するメインキャラに至っては、パタリロ、バンコラン、マライヒ、タマネギ(部隊)の、事実上4キャラのみ。そこにゲストやサブキャラが入る程度なのに、これだけ長期に亘って飽きさせずに話を作れるというのが凄い。もはや「永遠のマンネリズム」を追求しても良い立場にある。

とにかく漫画として、笑いあり、涙あり、耽美あり、ミステリーあり、オカルトあり、SFあり、冒険ありと、良い意味で何でもありの稀代の傑作。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2008-03-12 23:13:49] [修正:2008-03-12 23:13:49]