「ガクちゃん」さんのページ
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自分の漫画暦を一度まとめてみるのは興味があります。
このサイトのレビュワーの中ではかなり年くっている方だと思うので、世代を超えて語り継ぐ漫画を紹介していきたいですね。
7点 ストッパー毒島
作者のキャラクターへの距離のとり方っていうか、感情移入に制限を設けているようなところが味わいのポイント。
しかも読み手は熱烈に思い入れを持ってしまう。
プロ野球(しかもパリーグ)を題材にし、弱小球団アスレチックスを舞台に負け続ける様を描ききった秀作。
ラストは、え、ここで終わり? と最初思うが、あとになってここしかないでしょ、と納得。
後半になればなるほど、個性が立ってくるところがミソ。
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[投稿:2009-03-20 20:06:36] [修正:2009-03-20 20:07:01] [このレビューのURL]
7点 ねじ式
今なお前衛的という意味では新鮮。
作者の作品のことごとくが再読を重ねて味を出す。
夢がネタ元の作品として有名だが、ただ単に不条理ということでなしに叙情性や詩情を感じさせる。漫画という一表現手段と題材が融合してもいる。
ぶっとんだというより、なんとなくわかるという理解のしかたで読んでみるといいのかもしれない。
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[投稿:2009-03-11 22:33:08] [修正:2009-03-11 22:33:08] [このレビューのURL]
7点 あしたのジョー
下町の情景、力石亡き後のジョーの遍歴などが、アニメと大きく違う。山谷を舞台にしたり少年院に入ったり、超メジャーな作品にしては、アンダーグラウンドな舌触り。
作者が述べているように、この頃の剃刀のような線が今となっては描けないというが、時代が産んだ作品という気がする。
あまりにも有名な真っ白に燃え尽きる罪作りなラストシーンのために日本人アスリートや観客の美意識が他国と違うような気さえする。
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[投稿:2009-02-24 21:38:28] [修正:2009-02-24 21:38:28] [このレビューのURL]
7点 ブラック・ジャック
法外な医療費を要求するモグリの天才外科医。と言って神でもなくむしろ苦悩にまみれ、クールなようで情熱的であり、コンプレックスだらけのようで不屈の精神を持ちと、キャラクター造詣が際立っている。
ブラックジャックのこの分裂しているようで精神性のどこか一本通っている部分にずっとひかれ続けるものがある。
手塚キャラを作者自ら新解釈して登場させるあたりは、大人の味付け。
巨匠の一話完結に見るストーリーテラーとしての話の圧縮度具合は、今読むと逆に新鮮である。
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[投稿:2009-02-18 22:30:07] [修正:2009-02-18 22:30:07] [このレビューのURL]
7点 銀河鉄道999
これはおとぎ話である。男の夢である。絶世の美女とプラトニックラブしながら宇宙を旅するのだ。こんなあからさまでうらやましい話があるのだろうか。
著者の代表作の一つだが、世界観はSFというより「男おいどん」に限りなく近い。
私は写植の仕事をしている時代があってその頃、復刻版だか、デラックス版の活字をおこす際に原画に触れた事がある。
ベタが多くてその闇が美しかった。古い原稿になんだか虫がいるようで、原稿に触れて仕事をしているみんながポリポリと手首を掻いている光景を思い出す。そんなところまで男おいどんみたいだなと思ったものだ。
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[投稿:2009-02-14 23:01:05] [修正:2009-02-14 23:01:05] [このレビューのURL]
7点 ゲゲゲの鬼太郎
コステロガーデンさんと同じく自分も小遣いで初めて買った本がこれだった。サンコミックス版で。
独特の雰囲気、世界観が確立されていて、雑誌の見開きかなんかで見た妖怪の村にあこがれを覚えた幼児体験が強烈で、今でも大好きな漫画である。
背景をつげ義春が描いていたことなどずっと後になってから知った。
自分としては「幽霊列車」がベスト。
「ほねつぼー、ほねつぼー」のコマが強烈で、模写をしたことがあるほど。
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[投稿:2009-02-08 22:00:00] [修正:2009-02-08 22:00:00] [このレビューのURL]
6点 童夢
著者は映画監督志望で、撮りたかった映画を漫画に置き換えたのだろう。だから題材は実写向きである。大友克洋以前、以降とも表現され、また海外での評価も非常に高いグローバルな大家でありながら、彼の本質は非常にアンダーグラウンド的である。世間が求めるメジャー性を裏切り続け、彼の映画は興行的に成功しているとは言い難い。
本作はそういう世間とのずれがなかった頃の作品。絵のち密さは言うまでもない。この頃の漫画家、アニメーターは中毒になったようにみんな影響を受けた。だから氏のキャラクターから徹底的に距離を置く作風までが奔流になってしまって漫画自体の面白さが半減してしまった罪もある。
あんまりかわいくない少女と中途半端に不気味な老人。リアルに走るとこうなってしまう。白け世代の到達点。絵の凄さで圧倒させるしか表現手法が残されていないのか。読んだ時分、そういう虚しさがあった。
異様な完成度。アニメ映画の「AKIRA」の冒頭シーンを思い出す。完成度を求めて間延びしてしまった。
一度、読み直して再評価したいが、今私の手元にはない。昔友達だった男に貸したままである。その男はアニメ界でカルトな一部ファンに知られる男となった。ますなりこうじという。
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[投稿:2010-01-17 15:15:42] [修正:2010-01-17 15:15:42] [このレビューのURL]
6点 PLUTO
ゲジヒトの視点からのストーリー展開がいい。
もし、手塚治虫自身がこの作品をリメイクしたら、意外とこの作品に似た肌触りのものを描いたのかもしれない。著者の原作に対するリスペクトが感じられ、よく出来ている。
アトムのキャラクターは本作では主役というわけではないが、魅力を損ねていない。
「ああ、そういう解釈ありだな」
と納得できる。
ロボットの人権にまで踏み込んだ世界を描いていた原作の先見性に今更ながら驚かされる。それゆえ原作は歴史に残るのだろう。残念ながら、焼き増しでは残らない。再読意欲もいまひとつといったところ。
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[投稿:2010-01-17 00:16:30] [修正:2010-01-17 00:16:30] [このレビューのURL]
6点 サラリーマン金太郎
『硬派銀次郎』の山崎銀次郎が、もしサラリーマンになってしまったら、と作者が妄想して始まった作品だと想像する。だから、サラリーマン漫画じゃなくて、キャラクター漫画のカテゴリーに入れるべき。読むほうもそう心得れば、「ああなるほど」となるのでは。
この漫画の一番熱いメッセージは、「サラリーマンの未来に悲観することなかれ、自分が変わればみんな変わっていくんだぜ」っていうことだと思うけど、いかんせんこれが、どうしてもサラリーマンでないとだめか、というパラドクスに陥ってしまう。
サラリーマンに限らず、人脈、人間関係は重要だけど、読み解けば、人間性の魅力が描き切れていないのに財界の大物が主人公をちやほやし過ぎる感もある。一番の魅力は主人公がその力をまったくあてにしていないところ。再読させる気にならないのは、最終的にそういう力に守られてしまっているという構図から脱却できないところ。
作者の政治や社会への姿勢が、作品世界へ必要以上に踏み込んでいく事が作品を失速させた原因のような気がしてならない。
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[投稿:2010-01-16 09:43:14] [修正:2010-01-16 09:43:14] [このレビューのURL]
6点 陽だまりの樹
万二郎より手塚良庵だな。
万二郎はどうしてもフィクションのキャラクター造詣って感じがしてしまう。良庵は、だめだめなのに不思議と魅力がある。
良庵に限らず、歴史上の実在の人物が多数登場しているが、本作ではそのキャラクター達が生々しく立ちあがっている。
作者も必然、実在キャラ側に思い入れ強いと勘繰る。
そのうち、実写ドラマ化されるのではと勝手に予想。
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[投稿:2010-01-15 22:28:09] [修正:2010-01-15 22:28:09] [このレビューのURL]