「kamekame」さんのページ

総レビュー数: 21レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年07月28日

アトランティスの伝説を真直ぐに掘り下げていく様に好感が持てる作品。
史実以外にも、巧みにオリジナル創作の出展などを絡め
考古学的な気分を存分に盛り上げてくれるので、そういった作品が好きな方にはオススメ。

東周斎雅楽原作、魚戸おさむ作画というコンビは安心感があって良いのだが、
このベテラン二人の作品にしては後半のまとまり感は薄い。
原作の長崎尚志(東周斎雅楽)は本気でライフワークとして
アトランティスを追っているのではないかと邪推してしまうほど作者の思いが強く
読み手への配慮が緩い(緩いとは言っても稚拙と言うことはない)エンディングだ。
ある意味、20世紀少年のプロット共同制作者とは思えない。
己の中に溜込んだアトランティスへの思いを、吐き出しているようでもあるが、
決して不快でなく熱さを感じるだろう。

あえて欠点を書けば
人物、さらに言うならば人物同士の関係が作中でもっとダイナミックに動いていけば
誰が呼んでも楽しめる作品になったのではなかろうか。


余談だが、
2007年の連載完了時に作中でアトランティスのあった場所として結論づけられた場所が
2011年3月にコネチカット州ハートフォード大学のリチャード・フルンド教授が率いる
国際調査チームが発表した比定地と同じだった。
真偽の程はともかく、ロイターの和訳記事があるので興味ある方は
作品を読んだ後に『海底に沈んだとされる古代都市「アトランティス」を発見か』で
検索してみて下さい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-12 01:18:21] [修正:2011-05-12 01:20:26] [このレビューのURL]

料理バトル漫画でありながら、きちんと少年漫画している良作。
主人公の少年の成長を通しながら、料理の奥深さを紹介してくれる。

料理バトル漫画は華美でキテレツな料理ばかりが出てくる傾向があるが、
親しみやすい料理や素材を取り上げることで、
読者をおいてけぼりにしないのは好印象。
「鳳凰水晶」の話などは個人的に着眼点が特に素晴らしいと感じた。
絵柄も素直で読みやすく、キャラクターの癖のなさは好みが分かれるところだが
少年漫画として考えれば作品を貶めるほどでもない。

難点を上げるとすれば、主人公の成長が急激過ぎること。
最高峰とされる特級厨師に登り詰めるのに1年未満なのはどうなんだろうか。
また、続編「真・中華一番」との絡みも大きく疑問。
区切るのであれば4巻で一段落にするべきだったのでは。

そのあたりを差し引いて6点としました。
それからこれから読まれる方には、続編の評価も一読されることをオススメします。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-11 15:11:22] [修正:2010-11-11 15:13:32] [このレビューのURL]

「その答えを求め続けると気のふれる問がある」
「自分は何故ここにいるのか」
「何処より来たりて何処へ向かうのか…」
「実に人はこの問を忘れる為に人を愛し
    この問から逃れる為に神を求める」

このモノローグから始まる物語は、真実このことを作中で求め続けていく。
間違いなく漫画という枠を超えた希有のSF作品。
ひとつの宗教作品のようでもあり、哲学書のようでもあり、
日本人として魂の根底にある何かを揺さぶる民族学の本のようでもある。
実に気持ち良く読み手の心を、イメージの感応力を広げてゆく。

だが小難しいと言うことではない。
少女漫画らしいが完成された絵柄に無駄のない背景。
厳選されたセリフで導かれる物語は簡潔明瞭であっという間に読み切れるだろう。

個人的に気に入っているのは、
世界観を構築するうえでの一助となっている名詞の響きの良さ。
「亜神(あしん」「威神(いしん)」「真言告(まことのり)」「神名(かむな)」etc.
「言霊」という言葉がぴったりなほど美しく、染込むように体に入ってくる。

10点をつける作品というのは、呆れるほどの読んでいるにもかかわらず
思い余って魅力を上手く伝えることができず、もどかしい。
なんとかより多くの人に手に取ってもらって、是非読んでもらいたい作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-02 21:01:32] [修正:2010-11-02 21:09:09] [このレビューのURL]

もっと1つ1つのエピソードを丁寧に描いて欲しかった。
各時代のシーンが唐突に織り込まれるので、状況をつかむのに時間が掛かる。
膨大な時を過ごしていく主人公達にもかかわらずキャラクターに厚みが増していかないので、
感情移入がほとんど出来ないシーンが続く。

いきなりネガティブなことを書いてしまったが、この作品がつまらないということではない。
不老不死の吸血鬼伝説と義経、弁慶の主従を絡ませた原作のプロットは本当に新しい。
能の黒塚とも違う、ひとつのSF作品として見事に成立していて
野口賢の絵とのマッチングも素晴らしい。

コンパクトに10巻にまとめられているので、気軽に一気読みが出来るのもポイント。
オススメできる良作漫画だ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-10-19 15:14:46] [修正:2010-10-20 11:36:07] [このレビューのURL]

よくあるストーリー設定にキャラクター。
だが、絵柄と展開に安定感があるのでスイスイと読める。
人物描写も真っ当なもので少年誌らしい。

だが、どうにも途中で投げ出した感が拭えない。
個人的には、打ち切られた作品を読むと編集部に対して憤りを覚えることが多いのだが、
この作品に対してはそういう感情がわかない。
おそらく、どうしても話を続けたい、世界を描き切りたいと言う情熱を
終盤の誌面から感じ取れなかったからだと思う。
勿体ないなー、と言う気にはならないのだ。

5点をつけるべきか2点にするべきか悩んだが、
連載が終了した本当の事情を知らないので、高め選択で。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-29 03:48:33] [修正:2010-09-29 03:48:33] [このレビューのURL]

これぞ少年漫画。

こんなに気持ちの良い性格の主人公は希有だ。有る意味、嫉妬を覚えるほど。
当時としては妖怪モノを明るく描くスタイルが斬新だったし、
物語の後半で明らかにになる、相方「とら」の出自がより物語に深さを出している。
また画風も誰にも似ていないタッチでありながら上質。
「うしお」の元気な眉毛にマッチしていて、
本当に世界観の安定に大きな役割を果たしている。
9点をつけたい作品だ。

だが、改めて一気に読み返すと、週刊連載の弊害が見て取れなくもない。
本当に33巻も必要だったか? 25巻ぐらいで収まったのではないか?
途中で出てきたキャラは最終決戦にてもちろん再登場するし、
サイドキャラのパーソナリティに深みを出すためだから無駄とは言い切れない。
しかしながら、それによって物語の本筋がぼやけてしまっているのは否めない。
コンパクトにすれば、もっと熱くビビットに展開できたのでは?と思ってしまう。
この問題は書き下ろしではなく連載形式が主流であるかぎり、
どんな作品にもついて回るものなので根が深いとは思うが…。

グダグダ書いたが、間違いなく自分の子供にも「読めっ!」と強制する良作。
オススメです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-26 04:26:33] [修正:2010-09-26 04:26:33] [このレビューのURL]

5点 サライ

設定は秀逸。
バイオハザード後の近未来の世界に『護衛メイド』が活躍すると言う
なかなかに期待させるものだった。だが、この作者の個性なのか、
心情や状況を「語りきらない」「説明しきらない」ところがあり、
いまひとつお話全体が読み手の腹の底に落ちてこない。
エンディングも唐突で納得できなかった。
個人的には過去編(生い立ち編)が終わったところで、物語の6合目だと感じたぐらいだ。
読んでいるかぎり打ち切りと言う雰囲気でもなかったのだが…。
良い原作なのに、演出が至らず受け手に伝達不十分になった、
そんなテレビドラマを見ている感じ。
エロ要素も微妙。

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[投稿:2010-08-26 04:28:06] [修正:2010-08-26 04:28:49] [このレビューのURL]

凄いなぁ、この作品。
個人的には苦手なテーマなのに一気に読んだ。
連載中の作品のレビューは控えていたのに、どうでも良くなってしまった。

性の不一致に対する悩みが主題のような気もするが、
思春期(その一歩手前?)特有の一般的な悩みがテーマであるような気もする。
苦手なテーマにもかかわらず妙に共感したのは、
自分の中にもきっとそういう部分があるのだろう。
二鳥君の女成分は9:1らしいが、
自分の自己分析は4:6…。程度の差だと感じた。
小学生の頃、年上の女性にカワイイといわれると嬉しかったし、
手や髪がキレイといわれるのも嬉しかったもの。

あー、それがすっかり加齢臭のする子持ちのオッサンになってしまった。
それでも読んでいて懐かしく思えるから、
きっと誰にでもある(ありえる)テーマの作品なのだと思う。

こういう繊細なことを作者は記憶しているのか?
新たに創作するのか?
その点も凄いと思った次第です。 

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[投稿:2010-08-15 03:14:42] [修正:2010-08-15 03:24:38] [このレビューのURL]

この作者の作品は初めて。
アラハバキ信仰をモチーフにした作品だと期待して読んだのだが…。
物語にそれらしさを与える肉付けが圧倒的に足りない。
展開が早いのは悪いことではないが、説明不足で話が繋がってこない。
タイトルに内容が完全に負けてしまった印象。
絵は嫌いではないので残念だ。
読むのに使った時間を返せ!というほどではないので3点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-08-10 12:17:32] [修正:2010-08-10 13:11:54] [このレビューのURL]

最近の世に出ている一般的な作品は、
どれも読みやすいし良く考えられている。
こなれていると言えば良いだろうか。
この作品は後期の手塚作品ではあるが、
そういった意味ではやはり時代を感じてしまう。

だが、そんなことはどうでも良いと思わせる
強いメッセージがこの物語には込められている。
機会があれば四の五の言わず読むべき作品だ。

今の漫画出版界にもこう言った
「大切なことを伝える作品」を生み出す土壌が
僅かでも残っていると良いのだが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-08-04 16:59:46] [修正:2010-08-04 18:11:27] [このレビューのURL]