「columbo87」さんのページ

総レビュー数: 284レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年04月28日

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[投稿:2012-06-17 14:46:57] [修正:2012-06-17 14:46:57] [このレビューのURL]

7点 Fate/Zero

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[投稿:2012-06-17 14:45:04] [修正:2012-06-17 14:45:04] [このレビューのURL]

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[投稿:2012-06-17 14:42:53] [修正:2012-06-17 14:42:53] [このレビューのURL]

一連のモリソン作品に対する感想を書いていこうかと思う。
訳者の高木氏はブラックグローブの巻末でこう述べていた。「人間から想像力を奪ったら何が残るのだろう?」と。これはモリソン作品を語る上では欠かせない象徴的な言葉だと思う。
小説の話をしよう。人は時に小説の漫画に対する優位性として「想像力」を喚起する点を取り上げる。小説は読者が文章から情景や行動を想像し自らの頭の中に創造する。一方漫画には視覚的情報が与えられている以上想像の余地がないというのだ。こうした考えが漫画に対する無知から来ていることは疑いようが無いが,この場で長々と反論するつもりは無い。言いたいのは,漫画においても読者は明確に語られなかった部分を想像し楽しむ術を心得ているということだ。世に言う名作とは,結末や人物に対して様々な見解や感情を喚起するものだろう。島本和彦先生もいつぞや語っていたが,あしたのジョーのラストシーン一つとっても様々な解釈が生まれるのだ。
或いはこんな経験が無いだろうか。漫画を途中から読んでいて,4巻くらいから読んだときに,当然登場人物についてはよく分からないし,他のキャラクターとの関係性も,目的もわからなかったりする。この時に人は与えられた情報だけでその生い立ちや人となりを補完する。つまり自らの中にストーリーを紡ぎだす。そして,まれにだが,この自分の想像の物語よりも実際のストーリーがつまらないことがあるのだ。
例えば恋愛物で考えよう。途中から見た場合に「この主人公はなんでこの娘が好きなんだろう?」という疑問から「このヒロインは一見馬鹿に見えるが実は人間的に魅力的な部分があってそこに惹かれたのだろう」と考える,そうすると心なしかヒロインが可愛く見えてくる。しかし1巻にさかのぼって読んでみると,その出会い頭の一目惚れが全くの勘違いだったり,ヒロインは本当にただの馬鹿だったりする。これはおそらく1巻あたりだと作者が漫画を描き慣れていないために起こる現象だと思うが,時には細部を語らない方が,知らない方がかえって作品を楽しめる場合があるのだ。
アメリカンコミックスはどうだろうか。ここに登場するヒーロー達はそれぞれ歴史を持っている。人格としてほぼ完成しているキャラクター達だ。それが初心者にはとっつきにくい理由ではあるのだが,逆に言えば,途中から読んだ読者に想像の余地が与えられることも意味する。ただしここでは想像力を喚起させるための「魅せ方」が必要である。
この究極例の一つが「ダークナイト・ストライクスアゲイン」ではないだろうか。実体の無い存在が支配するサイケな未来世界,権力に屈服した英雄の世界,グリーンランタンが未知の宇宙生命体へと進化した世界,そしてボトル・オブ・キャンダー…
正史世界で無いとはいえ,ミラーは奇跡的な想像力の奔流によって我々を空想の世界へと引きずり込んだ。ここでは欠落した物語を埋めるのは読者の手に任されており,逸脱による創造の極地とも言える世界が展開されていた。
もう一つ例を挙げるならばWATCHMENもその類である,ここでは逸脱ではなく完成された世界観の提示,しかしそこにいたるストーリーはやはり読者に委ねられている(皮肉なのはビフォアウォッチメンなどという愚にもつかない考えに対して,読者よりもムーアが怒ったことではないか)。
さて,グラントモリソンによる4部作はどうであったか。シルバーエイジのバットマン作品を現代に取り込み昇華させたことはキャラクターそのものの再生,神性の復活でもある。とはいえキャラクターとしてのあり方が現在とあまりにも乖離してしまっており,並みの作家ではこれらの統合は不可能であった。ところが,これがグラント・モリソンの巧みさだと思うのだが,彼は狂気の世界を展開しつつ過去の物語を編入することによって,逆説的に現在のバットマンという人格への支障を最小限に抑えることに成功したのである。そして,断続的かつ前後関係の難解な物語の展開はシルバーエイジから現代へと移行するために最も効果的な措置であった。つまり行間を埋め,時代を統合し,人格の融合を行うのは我々読者の想像力に任されているのだ。
これこそが彼のオリジナリティ,作家としての唯一無二性ではないだろうか。R.I.P.の最後で明かされた,言葉の連想から生まれたストーリーについての是非などはどうでも良い。語るべきは彼がそのような(狂気じみた)想像力の手綱を握り,驚くほど巧みに物語を展開してみせたことなのだ。

読者は彼の見せる表層的な狂気に翻弄されていてはいけない。進んで世界に踏み入り,物語を継承し紡いでいく必要がある。なぜなら,我々が与えられた世界を享受するだけの読者に堕した時,「漫画は低俗」という言説を受け入れざるを得なくなってしまうからだ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-06-03 21:52:39] [修正:2012-06-08 11:44:03] [このレビューのURL]

今では表紙くらいしか描かなくなってしまったアレックス・ロスの美麗なアートが楽しめる作品集。コミックスというより絵本的,でもグラフィックノベルよりは対象年齢低めな感じ?よく定義は知りませんが。
クリスマスエピソードっぽいスーパーマンの物語から始まり,バットマン,ワンダーウーマン,キャプテンマーベル,それに地球狭しと飛び回るJLAの活躍が楽しめる。どのエピソードも基本的に人間との戦いというか,力では解決できない問題にヒーローが悪戦苦闘する様が描かれている。超常的な力を誇るヒーローたちの人間的内面に踏み込んだ作品。脚本のポール・ディニも流石で,それぞれわかりやすく説得力のあるストーリーになっている。
語り口が第三者的かつ一般人の視線に満ちているのがロス作品の特徴ではないか。ヒーローたちに向けられた愛情を自分自身の視線と重ね合わせることができ、コミックスの世界に自然に参加できるのが魅力だと思う。

2ページオリジンも収録されていて,様々なヒーローの人となりとか行動理念がわかるので入門編にオススメ。
その中でもキャプテンマーべルの話が良い。アレックス・ロスは本当にキャプテンマーべルがお気に入りなんだなーとか思う。日本ではあまり馴染みのないキャラクターだが,子供の優しさや人間性を保ったままスーパーパワーを振るうヒーロー像がとても魅力的に描けている。
最後にあるイラストも心和む。クリスマスパーティーをするJLAの面々を窓の外からうらやましそうに眺めるバットマン,君も来いよと手招きするスーパーマン,という構図が特に好き。

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[投稿:2012-03-08 14:03:29] [修正:2012-06-08 11:16:34] [このレビューのURL]

グラント・モリソンによるバットマンサーガーエピソード3,中身も3本だてみたいなもんで,1本目の「ブラックグローブ」は久々のサスペンスもの。
孤島に集められたヴィジランティ集団,次々に起こる殺人事件,暇を持てあました大富豪の真意とは?マスクの下に隠された本意とはいかに?そして裏で糸をひく「ブラックグローブ」とはいったい・・・?
目を引くのはアートですなー。コマ割り始めコマそのものまで凝った作りになっていて読んでいて楽しい。水彩や油絵,ペイント画とか,1コマの中でさえ使い分けているのが特徴的。特にバットマンを褪せた色で描くことでその異質さを浮かび上がらせているのはGOOD,他のヴィジランティはどこかしらコミカルな色調で描かれる場合が多かったりして。
アメコミってこういう面白いテクニックを使えるポテンシャルが高いと思うけど,実験漫画みたいなのって意外と少ないよーな気がする(知らないだけだろうが,邦訳じゃあんま見ない)。コマ割りなんて日本の漫画の影響が大きいらしいですよ。WATCHMENの3段×3コマってのも結構なチャレンジだったらしいけど,文化的に絵で魅せるのに長けているんだし,この本みたいな効果も巧いこと使えるようになれば漫画自体も進化していくんじゃないかなとか思う。
普通に絵のクオリティーとしても邦訳じゃかなり高いと思うのでそれ狙いで買ってもいいんじゃないかしら。ストーリーも(モリソンにしちゃ)分かりやすくて読みやすいのでオススメ。常にクールなバットマンはやっぱかっこいいぞ!
この話はキャラクターや設定を50年代のバットマンストーリーから持ってきているんですね,そんで巻末に元ネタエピソードも載せてくれていますが,これが面白い。いろんな土地でバットマンに憧れたタフガイたちが自警活動をしているという話。フランス,ローマ,メキシコ…いろんなコスプレおじさんたちが入り乱れる様は圧巻。中でもインディアン(ネイティブアメリカンに変えなかったのは偉い!)のマン・オブ・バッツ首長はいろんな意味で凄いキャラ。なにせ本名が「グレートイーグル」ですよ。鷲の名を冠しながらコウモリに扮する君に誇りは無いのか!?正体がバレない為の工夫?モロにバレてますよ。
その他にも元ネタになってそうな昔のエピソードが多数収録されてますので,今と違って軽いノリのバットマンも楽しめてお得。
そうそうヒーロークラブと言えばアニメ「バットマン:ブレイブアンドボールド」にもこれが元ネタになってるエピソードがありましたね。それぞれのバットマンに対するジョーカー的キャラが居てカオスで笑える。

後半は舞台をゴッサムに戻して偽バットマンとの対決とブルースの恋がメインになって進行する。バットマン・アンド・サン以来の謎がついに明かされ…そしてバットマンは死を体験する。物語は途切れ途切れに展開され,幻覚なのか,過去の出来事なのか或いは異世界の出来事なのか判然としない。わかるのは決着が近いということだけ。真の敵は一体?ブラックグローブとはなんぞや?そしてブルースとイザベルの恋の行方は?予測がつかない展開に手に汗握る第3弾!必見!!必見!!

見所はなんと言ってもよくわからん場面展開!エッセンスだけよこして「足りない部分は自分で妄想しろ」てな感じの見せ方が最高です!
不可解なシーンはバットマンの幻覚なのだろうか,「ラーズ・アル・グールの復活」で急に出てきたトゥゲル(穴に引き籠もる瞑想法)中に見た夢かなんかなんだろうなーとは思う。同時に登場するバットマイトは現実と虚構の狭間の存在として効果的な登場の仕方だと思う。モリソンのバットマンは何考えてるか分からんから深層心理に触れてくれるのはありがたい。
そしてバットマンの危機を察知して参戦を決めるタリアとダミアン母子!これがカッチョイイ!宿敵が手を貸しに来るみたいな展開は燃えるぜ!

しかし本当どうなるのか全く予測がつかない。謎のワード「ズー・イン・アール」って一体何?ブラックグローブの正体って何?そしてバットマンが想定する最強の敵に対しての作戦とは?気になるけど知りたくない!
R.I.Pが待ち遠しい!

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[投稿:2012-06-03 21:40:03] [修正:2012-06-04 02:36:19] [このレビューのURL]

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