「polojo」さんのページ

総レビュー数: 37レビュー(全て表示) 最終投稿: 2013年05月11日

8点 YAWARA!

柔道に美少女とラブコメをミックスし、国民的漫画になった本作品は浦沢氏の名前を一気に有名にしました。

この漫画の肝は、まず主人公の柔ちゃんの魅力です。強く、美しく、女の子らしい彼女は読者の心を掴んで離しません。

そしてストーリーのテンポの軽快さ。一巻をすらすらと読んでしまいます。のちの同氏の持ち味となる、女の嫉妬とか人間の深い闇なんてものはこの漫画には存在していません。

すっきりした絵ですので、柔道の試合も見やすくスピード感があり、柔道にまつわるそれぞれのドラマはある程度しっかり描かれています。

僕個人としては、YAWARAは浦沢氏の作品の中で、一番すぐれた作品だと思います。このひと、人間の重いドラマを描くよりテンポアップにものごとが展開するストーリーが向いているんじゃないかなと。。

「浦沢といったら『MONSTER』『20世紀少年』だろ!」と思っている人は、是非とも読んでいただきたいと思います。

また逆に上記のシリアスな作品が嫌いで浦沢作品を避けている人にもおすすめです。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-14 01:15:52] [修正:2013-05-14 01:15:52] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

80年代には熱血スポ根漫画からの脱却を試み、さわやかでハンサムな少年たちが主人公になるスポーツ漫画が主流になりました。

その漫画の一角を握る名作です。

「高校柔道部」という劇画との相性ばっちりだと思われていた舞台をあえて、ポップなタッチで仕上げています。

仲間を情熱と友情を持って、集めるなんてことはせず、「中学でも柔道をやっていたから高校でも柔道するかー」ぐらいの勢いであっさりと仲間は集まります。

そして主人公はかなり序盤から彼女持ちで、もう一人の主人公に想いを寄せるヒロインもギャグとロマンスに活躍します。あっさりしているので、この2人が主人公を取り合うなんて昼ドラ的なことはしません。

つまりこの漫画は試合外のドラマをかなり省いています。この作品がヒットした所以は、単純に試合の面白さ、柔道という武道の面白さを研ぎ澄ませた
所にあると思います。(しかもスーパー必殺技はなし)

試合の勝敗もなかなかシビアで、予想できないような展開などもかなり多いです。作者が柔道経験者であることが大いに活かされています。

そのテンポの良さ、軽さというメリットの分、読んで心に残る作品かと言われれば微妙ですし、『カリスマ性』を持った作品ではないかと思いますが、読んでいる間はとても楽しい時間を過ごせますし、男性、女性問わず読むことができますので、かなりおすすめだと思います。






ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-13 19:32:30] [修正:2013-05-13 19:32:30] [このレビューのURL]

もう作者が、好きな構図、好きな登場人物、好きなセリフをこれでもかというぐらいに書き込んでいます。

日本橋先生は本作品以前の連載はすべて打ち切りだったそうで、打ち切りられる前に思い切り自分の表現したい描写を描きまくったのでしょうか。

なので内容が濃い。セリフが極端に多いとかではないのですが、なぜか1巻を読むのに膨大なエネルギーを消費します。

絵は、非常に上手だと思うのですが、かなり実験的なデザインにしているコマも所々に見受けられます。

説教臭さは人によっては鼻につくかもしれませんが、それは読者に伝えたいことがはっきりとある、芯のある漫画である証拠なのかなと思いました。

漫画家だけでなく、ものづくりに従事している人には、是非とも読んでほしい漫画だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-12 21:22:53] [修正:2013-05-12 21:22:53] [このレビューのURL]

8点 SUGAR

[ネタバレあり]

新井英樹流スポーツマンガ

作品としての完成度は新井作品の中で間違いなくトップ。
あらすじはお調子者の石川凛がボクシングの世界でその天才的才能を
いかんなく発揮する作品。

この作品に限らず新井英樹の作品は「スポーツマンガ」「学園マンガ」といった分類分けが非常にしにくい作品が多い。それは作品の主人公の人生すべてを書きだそうとするからだと思う。

例えばこのシュガーにいたっては、凛の上京までのエピソード、料亭での生活、恋愛や周りの人たちとの交流を書き出しているので、肝心のボクシングの練習や試合をしている場面は他のボクシングマンガと比べて、驚くほど少ない。

つまりこのマンガは、石川凛という「天才観察物語」なのである。
「ボクシングの天才の仕事風景は?周りとのコミュニケーションは?幼馴染との恋模様は?」ということをこれでもかというぐらい綿密に描き出している。もちろん、ボクシングなどのアクションシーンの迫力は素晴らしい。こちらの痛覚さえも刺激しているのではと思ってしまうほどだ。

新井英樹の癖のある絵と、セリフという壁をクリアできたら間違いなくはまれる作品だと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-11 23:45:40] [修正:2013-05-11 23:45:40] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ノンフィクション小説をもとを現代風にアレンジした漫画です。

もう一言でいって絵が上手です。特に山などの自然のコマの完成度はとても週刊連載でできるものとはおもいません。

同時期にビッグコミックオリジナルで、『岳』という登山漫画がありましたが、雰囲気は全く違います。『孤高の人』は、山に取りつかれたような男たちが山に登ります。山という麻薬に侵された中毒者のような雰囲気さえします。もはや、喜びなどや爽快感などを求め山に向かうのではないのです。

山の自然の残酷さと美しさは、一見の価値ありですが、多分これを見てアルピニストを目指す若者はいないでしょうね(笑)おすすめです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-05-15 23:40:26] [修正:2013-05-15 23:40:26] [このレビューのURL]

7点 ONE PIECE

この十年で日本で一番売れたマンガでしょう。
そしてあと数年は少なくとも絶大なる支持を信者を持ち続ける作品だと思います。

尾田氏のアイデアの豊富さやマンガに対する情熱は、アンチの人々でも認める所だと思います。

僕がワンピースで一番絵的好みだった時期は、アラバスタ編あたりですね。それ以降は、過剰といえる描きこみが目立ち、アイデアも豊富な反面「これもこれもこれも詰め込んでやる!」といった欲張りな部分がでていると思います。

このような、マンガ家の「才能があるが故の暴走」を止めるのは編集の腕だと思うのですが、最近はその力がない編集者ばかりなのか、それとも尾田氏の影響力が強すぎて集英社側も強く言えないのか、とにかくバランスが崩れてきていると思います。

ともかく、尾田氏は自分と同じ目線で話せるブレーンを見つけるのが大事なのかなと思います。(鳥山氏にマシリトがいたように)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-05-12 01:07:57] [修正:2013-05-12 01:07:57] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

イタリア料理店を舞台とした料理漫画。

ほかの料理漫画と一緒で、見習いからの主人公の成長を描きます。
見張るべきは、内容と絵のタッチの相性の良さです。料理漫画には、修行という側面がありますので、その熱血な感じが絵のタッチと見事に調和しているのです。ちょっと劇画調と言いますかそんな感じの太い線で描かれているので、読んでいると不思議な熱さがこみ上げてきます。

要は、この熱さが漫画の魅力の大部分であり、ストーリーが凡庸なものでも、読んでいて飽きないものに仕上がっています。また「凡庸」とは言いますが、イタリアンのレストランの厨房やホールというそれだけで魅力的な舞台の「凡庸」ですので、無理にひねる必要はないのです。

なので終盤のストーリー展開は私としては、過剰なものに感じました。イタリアンレストランの「平凡」を突き詰めてくれれても、充分に面白くかつより感情移入しやすいものになっていたのかと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-25 00:51:57] [修正:2013-05-25 00:51:57] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ドラマが大ヒットしましたね。僕は柴咲コウが大好きですが、ちょっと感じが違うんじゃないかなぁと思います。

『ドクターコトー』は漫画でももちろん感動作です。所々に、涙腺が緩くなる話もありました。ただこの作品を読み進めていくうちに、「あぁこの作者、絶対にサディストだ」と思うようになり、2、3周と何度も読むうちにそれは確信に変わりました。

『コトー』に限らず、医療漫画は生死を伴うような話が大半を占め、かつある程度のドラマを加えなければいけません。なので、「突然の不幸」だったり「幸せからの凋落」を描く必要があります。その落差が激しければ激しいほど、読者からの共感や同情は増します。その作者による「徹底的な叩きのめし」が必要なのは、充分よく理解できます。

しかしながらこの『ドクターコトー』は、その叩きのめしが「えっ、そんなところまで!?」と言ってしまいそうなぐらい徹底しています。最後はコトーがなんとかしてくれると思いながらも、目を背けてしまいそうな場面も多々あります。その演出が過剰と言えば過剰です。

まぁそんな風に読んでいるということは、もうコトーの島の人々に大きく感情移入している証拠ですが。

非常に面白いし、おすすめですが、ドラマと同じ感動を求めているのならば注意が必要です。







ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-13 19:50:57] [修正:2013-05-13 19:50:57] [このレビューのURL]

落語家の世界を描いた尾瀬あきら氏の作品。

尾瀬氏は、これまでの作品からして閉鎖的な社会や、マイノリティの世界を描くのを得意としているようです。

絵のタッチは温かい雰囲気なのですが、どことない息苦しさや閉塞感を漂わせています。もはや職人芸の世界だと思います。

若干の説教臭さがありますし、話の展開も良く言えばクラシックで正統派、悪く言えば古臭いですが、何か夢を追いかける人は共感できる点も多々あるのでは。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-13 18:31:12] [修正:2013-05-13 18:31:12] [このレビューのURL]

原作者の体験をもとに描かれた刑務所ライフマンガ

このマンガは2つの大きなハードルがあると思います。
一つは若干おどろおどろしさを含んだ絵。これはそれぞれの好みがあるのでどうしようもないかと思います。
そしてもう一つは刑務所での生活をあまりにも面白可笑しく描いている所です。

「罪をつぐなうための場所なのに、なぜに彼らはこんなにも順風満帆な生活をおくっているのか・・・」と疑問に思ったり、腹を立ててしまう人々は読まない方が良いと思います。

しかし、その2つのハードルをクリアできた人は、とても楽しくこのマンガを読むことができると思います。刑務所という異世界での生活を、ギリギリまでしめっぽさやマイナス的なイメージを排除したこのマンガはエンターテイメント作品として上質のものとなっています。

刑務所のおやつに一喜一憂し、好きな子を語るように大麻について盛り上がる、林間学校や修学旅行にきている少年たちに重なります。

ただストーリーの骨格はかなりでたらめで、一話毎のつながりはあまりなく、最終話も途中で切れているような感じで終わります。

自分とは異世界の日常を楽しむといった点からして、「ゴッドファーザー」を見るときのように楽しめばよいかと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-12 20:40:56] [修正:2013-05-12 20:40:56] [このレビューのURL]

月別のレビュー表示