「polojo」さんのページ

総レビュー数: 37レビュー(全て表示) 最終投稿: 2013年05月11日

10点 タッチ

[ネタバレあり]

80年代の「さわやかスポーツ漫画」の初期作品にして、サンデーを代表する作品といえるでしょう。

素晴らしいのは、劇画とは対照的ともいっていい、デフォルメされた線、輪郭(野球シーンはちょっと線の入れ具合が多くなりますが)。

あとこの作品は「間」が良いですね。安易に表情で喜怒哀楽を表現したりすることはあまりないです。一見したら無表情だけど、行間から悲しみや怒りなどが伝わってきます。あだち作品の代名詞ともいえる漫画的表現です。

ヒロインである南ちゃんもこの漫画を名作へと押し上げている要素となります。僕は全然タッチ世代でもないのですが、最強に可愛いです。後ギャグがそんなに古臭くない所も好感が持てます。

「80年代の漫画なんて古い」と思っている、タッチ世代じゃない方にこそ読んでほしい、おすすめの作品です。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-05-20 15:57:09] [修正:2013-05-20 15:57:09] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

絵は雑で、キャラクタのデザインもコロコロかわる、話は目的からそれあっちにいったりこっちにいったり、挙句の果てには、長期の連載休止・・・

こんな目も当てられないような惨状の漫画になぜ多くの人の心をつかんでいるのか。

ハンターハンターは王道的なストーリーと王道的なキャラクターに絶妙なスパイスを加えた作品だと思います。

ちょっとビターなシロップがかかったホットケーキみたいなものでしょうか。少年たちが、ちょうどよい背伸びをして見られる漫画です。ゆえに、大人が見ても十二分に面白いんです。

ストーリーが一本化せず、バラバラになっていますが、これは本当に冨樫氏が描きたいものを描いているのでしょう。そして、冨樫氏は描くからには面白いものを提供しようとしているのか、どのストーリーも綿密な設定と練りこまれた演出があります。ここら辺の手は決して抜かないのがプロということでしょうか。

でもできるなら、隔週でいいので描いてほしいですね。


ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-05-15 23:29:31] [修正:2013-05-15 23:29:31] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

2013年現在、人気、実力ともに最高峰の漫画の一つではないでしょうか。おそらく数十年後も多くの人々に読まれる漫画であると思います。

この漫画は「復讐劇」と「ファンタジー」と「中世ロマン」を見事に融合させています。ガッツは復讐をモチベーションとして、強大な相手と親友を殺す旅にでます。その復讐心がガッツ生まれるエピソードも途中にありますが、読者も充分すぎるぐらいにここで物語を読み進めていくモチベーションとガッツへの共感を手に入れることかと思います。

(もちろん、それまでの話も十二分に面白いです)

絵のタッチは動静で、非常にメリハリがあり、豪快さと綿密さを兼ね備えた見事なものです。ときにポップな絵などを入れて、読者を緊張しっぱなしにはさせません(ギャグがつまらないのは置いておきましょう)。背景にも、丁寧にペンを入れて細部にまで作者の熱意が込められています。

さらにすごいのは、この作者はものすごい研究熱心だそうで、衣服を描く際には服飾の図鑑を参考にしながら描き(なので、ベルセルクに描かれている衣服は全て作成可能だそうです)、主人公・ガッツの筋骨隆々として肉体にリアリティを出すために、人体の図鑑を参考にするだけでなく、自分自身を鍛え上げたという話さえあります。

戦いも面白く、たとえば敵を倒すときにも、ガッツが無双するだけでなく、脇キャラにも見せ場をつくり、軍隊的なストラテジーを駆使して相手の軍団を倒すこともあります。もちろん魔法もあり、ファンタジー感満点です。

ただマイナスポイントというか懸念なんですが、このベルセルクは連載が開始して20年以上たつのですが、終わる気配が『ワンピース』以上にありません。もともと掲載誌が隔週なうえに、作者がかなり休載していますので、単行本も年1ペースです。作者自身も「死ぬまでに頭の中のストーリーすべてを描き切れるか不安だ」と言っているそうです。

漫画としてのクオリティは、日本最高レベルだと思いますので、是非とも読んでいただきたいですね。非常におすすめです。








ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-05-13 23:31:19] [修正:2013-05-13 23:31:19] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

同作品がコミックボンボンに掲載されていた時に、リアルタイムで読んでいました。作者はこの前にも、ボンボンにいくつか掲載作品を載せていて、非常につまらなかったのですが、この『クロスハンター』はただ単純に「つまらない」のではなく、「外道」ともいえる最低の作品です。

まずは、画力が非常に低い。人物の顔がかき分けられていない、そのくせ同じ登場人物でもコマごとに、顔や体格にムラがある。効果線や擬音語が全く良い演出となっていない。そして絵にオリジナリティがない。悪役が気持ち悪い。
アクションシーンの迫力がない。ヒロインが可愛くない。(なぜか八重歯だし・・・)

次に、ストーリーがありきたり。それだけなら、王道路線に行くということでまだ理解できますが、そのうちにあるセリフなどにセンスや考えられた節がない。

とかなりトホホなできになっていますが、これだけなら「つまらない漫画」なだけですがある理由がこの漫画を「外道」たらしめています。

それは、ものすごい勢いで多作品から要素をパクっている点です。昔、新人漫画賞の受賞作品が多作品のトーレスを多用していたことが問題になりましたが、もしかしたらそれよりもひどいかもしれません。

後にインターネットでパクリ検証のウェブページができていて、びっくりと納得をした覚えがあります。(連載当時は、まだ僕もあまり漫画を読んでいませんでしたので『ドラゴンボール』からの引用ぐらいしかわかりませんでしたが・・・)

こんな外道な作品を描いた作者にも、これを通した編集者にも今更ながら怒りを覚えます。と同時に、引用された作品への敬意と評価が相対的に上がりました。(この作品を読んで良かった唯一のことかもしれません)

私自身、ボンボンがコロコロに負けていることにちょっと残念であり「ポケモンのようなキラーコンテンツを・・・!」と思っていたのですが、こんな作品を連載しているようでは、コロコロに負けますし、廃刊にもなりますよね・・・

というわけで、全くおすすめできない作品です。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-05-13 20:35:16] [修正:2013-05-13 20:35:16] [このレビューのURL]

10点 SF全短篇

F氏の才能がいかんなく発揮されています。ブラックジョーク、ロマンス、エスプリ、ギャグ、青春群像劇・・・藤子氏の描くことのできるジャンルの広さに脱帽するばかりです。

僕は、「カンビュセスの籤」という作品が一番のお気に入りです。
絶望感が蔓延しつつストーリーは流れていき・・・最後の一コマは何とも言えない涙を誘います。

藤子氏の短編すべてに共通するのですが、しっかりと「オチ」が利いています。短いセリフと絵でこちらに感動や笑いや悲しみを伝える力が素晴らしいです。

すべてのマンガを愛する人々に是非とも、読んでいただきたいです。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-05-12 00:54:25] [修正:2013-05-12 00:54:25] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

非常にあらゆる要素のレベルの高い作品だと思います。
画力、ストーリー、演出、起承転結の滑らかさ、SF設定どれをとっても作りこまれた漫画だと思います。

宇宙生活を描いた日常系と言えますね。荒唐無稽な設定ではないので、地上生活は案外ふつうだったりして丁度良い塩梅の近未来の風景だと思います。

人類が発展と出てくる新たな問題。プラネテスで語られている問題も現実には表面化していませんが、ここの問題もある程度リアリティを持っています。(特に中東の問題なんて、かなり深刻な感じがするしなぁ)

エイリアンもミュータントも出てこない、近未来の生活を疑似体験するには、かなりおすすめの面白い漫画です。キャラクターたちも一人一人個性がありグッドです。

敢えて難癖をつけるならば、時折セリフとキャラの表情があっていないコマが数か所あるような気がします。あってないというか、過剰なんです。例えばキャラが怒るシーンがあります。こっちとしては、軽くイラッとする所なんだろうなーと思います。そしたらものすごい怒り顔が待っていて、「えっ?そんなに血走った眼で眉間にしわを寄せるところか?」とこっちはセリフと顔の不一致に若干混乱してしまいます。トラウマに踏み込まれたわけでもなく、完全にオーバーリアクトなんだなーと思います。

しかし『宇宙兄弟』とはまた違った角度で宇宙へのロマンを語ってくれるおすすめの漫画です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-05-17 20:41:48] [修正:2013-05-17 20:41:48] [このレビューのURL]

読んだ瞬間、得も言われぬ既読感がありました。

「読んだことのある作品でもあったのか」と作者のことを調べてみると、『宮本から君へ』の作者である新井英樹氏の根っからの信者でした。ハチャメチャ具合や主人公の猪突猛進な感じも非常によく似ています。

ただそんな2作品の主人公が決定的に異なる点があります。
『宮本?』は、熱さや根性が武器の持ち主です。それが、最終巻あたりになると若干人当りもよく、青臭さだけの昔とは違う成長を見せています。宮本は社会人としての、成長を見せます。
一方、『ボーイズ?』は、夢・希望もないダメダメな主人公が時折、ハチャメチャな糞度胸をみせるようになります。
こっちは兼ね合いやナアナアを許容してきた所から、絶対に譲れないものの存在があることに気づきます。

そう考えると2つの物語は全く逆のベクトルを持つようになります。

どちらが優れている作品とは一概には言えませんが、『宮本』のえぐさを知っている人間からすると、若干本作品は物足りないような気がしました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-05-16 00:18:26] [修正:2013-05-16 00:18:26] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ノンフィクション小説をもとを現代風にアレンジした漫画です。

もう一言でいって絵が上手です。特に山などの自然のコマの完成度はとても週刊連載でできるものとはおもいません。

同時期にビッグコミックオリジナルで、『岳』という登山漫画がありましたが、雰囲気は全く違います。『孤高の人』は、山に取りつかれたような男たちが山に登ります。山という麻薬に侵された中毒者のような雰囲気さえします。もはや、喜びなどや爽快感などを求め山に向かうのではないのです。

山の自然の残酷さと美しさは、一見の価値ありですが、多分これを見てアルピニストを目指す若者はいないでしょうね(笑)おすすめです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-05-15 23:40:26] [修正:2013-05-15 23:40:26] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

サラリーマンマンガの表の傑作が「課長島耕作」ならば、裏の傑作はこの「宮本から君へ」だと思います。

新井英樹の初期の作品ということで、画力はまだまだ低い時期です。
しかし新井絵の特徴である『生々しさ』や『生活感』の片りんを所々に垣間見ることができます。

このマンガの面白い点はストーリー展開を読者の予想を裏切りながら、物語が展開します。

例えば宮本が七転八倒しながら頑張り続けるという点は、他の熱血系主人公と同じですが、「これだけ宮本は頑張ったんだから、報われるだろう」といった予測というか願望はあっけなく覆されることが多々あります。

「うわぁ」とか「またかよ・・・」とか読者はそのたびにがっかりするのですが、本当にまれに努力が報われた瞬間は宮本と同じぐらいに「よっしゃああ!!」という気分にさせてくれます。

そしていつの間にか、宮本に感情移入していることに気づいてしまうのです。だから宮本に投げかけられる登場人物のセリフもまるで自分にかたられているかのように心に突き刺さるのだと思います。

『課長島耕作』も十分に傑作ですが、島耕作のあまりの有能ぶりや幸運が鼻につく人には、是非ともおすすめの漫画です。
(むしろ、人生うまく行っていない人が多いので、島耕作より感情移入できる人は多いと思うのですが・・・)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-05-12 21:00:17] [修正:2013-05-12 21:00:17] [このレビューのURL]

7点 ONE PIECE

この十年で日本で一番売れたマンガでしょう。
そしてあと数年は少なくとも絶大なる支持を信者を持ち続ける作品だと思います。

尾田氏のアイデアの豊富さやマンガに対する情熱は、アンチの人々でも認める所だと思います。

僕がワンピースで一番絵的好みだった時期は、アラバスタ編あたりですね。それ以降は、過剰といえる描きこみが目立ち、アイデアも豊富な反面「これもこれもこれも詰め込んでやる!」といった欲張りな部分がでていると思います。

このような、マンガ家の「才能があるが故の暴走」を止めるのは編集の腕だと思うのですが、最近はその力がない編集者ばかりなのか、それとも尾田氏の影響力が強すぎて集英社側も強く言えないのか、とにかくバランスが崩れてきていると思います。

ともかく、尾田氏は自分と同じ目線で話せるブレーンを見つけるのが大事なのかなと思います。(鳥山氏にマシリトがいたように)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-05-12 01:07:57] [修正:2013-05-12 01:07:57] [このレビューのURL]

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