「polojo」さんのページ

総レビュー数: 37レビュー(全て表示) 最終投稿: 2013年05月11日

10点 H2

[ネタバレあり]

H2は2人の主人公と2人のヒロインから成り立っています。

もうこれだけで相当な人間ドラマが成り立ちます。そしてそこには嫉妬や痛みや苦しみも存在します。凡才の漫画家なら非常にウェットで生々しく描いてしまうか、その状況は完全にないものとしてストーリーを進めるでしょう。

しかしあだち氏は、その少年少女を成長させるためにこれらの感情とまっこうから向き合います。そしてただ向き合ってそのまま表現するだけでなく、あだちフィルターを使って、読者ターゲットである少年たちがギリギリ理解し、少し背伸びをして感情移入できるようなレベルに標準を合わせています。

いやあだちさんのデフォルメ力は、本当にすばらしいと思います。押しつけがましくない淡い感動を描くのが得意なんでしょうね。

また登場人物が魅力的(特に主役の4人)ですので、読者の多くは最後の方で必ず「自分はどっちを応援したいのだろう」という自問自答に入ることだと思います。そしてこれが1周目、2週目繰り返し読むと感想が大きく変わっていきます。つまり、読者も成長とか新しい考えを発見できるのです。

登場人物のみならず、読者も成長させるお手本にすべき少年漫画です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-20 22:25:40] [修正:2013-05-20 22:25:40] [このレビューのURL]

10点 タッチ

[ネタバレあり]

80年代の「さわやかスポーツ漫画」の初期作品にして、サンデーを代表する作品といえるでしょう。

素晴らしいのは、劇画とは対照的ともいっていい、デフォルメされた線、輪郭(野球シーンはちょっと線の入れ具合が多くなりますが)。

あとこの作品は「間」が良いですね。安易に表情で喜怒哀楽を表現したりすることはあまりないです。一見したら無表情だけど、行間から悲しみや怒りなどが伝わってきます。あだち作品の代名詞ともいえる漫画的表現です。

ヒロインである南ちゃんもこの漫画を名作へと押し上げている要素となります。僕は全然タッチ世代でもないのですが、最強に可愛いです。後ギャグがそんなに古臭くない所も好感が持てます。

「80年代の漫画なんて古い」と思っている、タッチ世代じゃない方にこそ読んでほしい、おすすめの作品です。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-05-20 15:57:09] [修正:2013-05-20 15:57:09] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

僕の従妹がすごくはまっていました。久しぶりに彼女の部屋にはいったら、跡部君のイラストが写真立てに入っていて愕然としました。そういった少女たちの心をくすぐるには素晴らしい作品だったのでしょう。

作品としてのクオリティはというと。。。評価しにくいですね。
テニスシーンは、動的な動きこそあるもののいかんせん線が細く、迫力としては今一つです。

それを補うための必殺技なのかもしれませんが、インフレしすぎているし、いまいち絵でそのすごさが伝わってきません。そして説明口調のセリフがいただけません。

ストーリーは難関を乗り越えたら、より大きな難関がというわかりやすいインフレ状態があります。まぁ、ジャンプ漫画なので当然といえば当然なのかも。

友達の部屋にあって、一人になる時間がある時は暇つぶしに読んでみたらいかがでしょうか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-18 23:34:40] [修正:2013-05-18 23:34:40] [このレビューのURL]

10点 キーチ!!

[ネタバレあり]

新井氏の作品は、非常にスロースターターなものが多いです。
このキーチも盛り上がりまで相当な時間がかかります。

そのピークまで我慢してつきあった読者には、必ず感動が待っています。我慢して読みましょう。

ただキーチに至っては、キーチのカリスマ性が伝わってきて、「この主人公ただものではない」となんとなくわかり、あまりドロップアウトする人はいないんじゃないでしょうか?

後、美少女はでてきません。あえて美人を挙げるのなら、キーチのママぐらいですね。ヒロインはびっくりするぐらいのドブスです。

とにかく、キーチのカリスマ性に溺れてください。

非常におすすめです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-15 23:15:50] [修正:2013-05-15 23:15:50] [このレビューのURL]

10点 SLAM DUNK

[ネタバレあり]

スポーツ漫画の金字塔。連載が終了して20年近い歳月が流れていますが、今なお読んで面白く爽やかな感動を与えてくれます。

敢えて粗さがしをするならば以下のような点でしょうか。

?ベンチメンバーの活躍シーンが乏しい
湘北高校のレギュラーとサブのレベルが激しすぎて、特に終盤は小暮君以外の活躍がほとんどありません。レギュラーの5人がギリギリの状態で闘うさまは、心を激しく揺さぶられますが、もうちょっと見せ場をつくってあげてもよかったのではと思います。

?主人公桜木の私生活の掘り下げがとぼしい
桜木の私生活などは、ほとんどわからないままです。(お父さんが病気に倒れたような描写はありますが)流川楓の私生活もあまりわからないままです。これは読者に部活という世界での彼らだけに注目してほしいという現れだと思います。なので、ライバルたちの人となりを表すようなエピソードの掘り下げはかなり徹底していますので、故意的なものだとは思います。

?全国のライバルキャラの活躍が描かれていない
山王戦終了後、作者の井上氏は「これ以上の試合は描けない」ということでペンを置きました。これは余計な引き伸ばしをさせられる風潮があるジャンプのなかではとても良い判断だと思います。ただせっかく登場させた魅力的なライバルキャラの活躍が見れないのは、やはり残念な気持ちがあります。

というところでしょうか。ただ上記のマイナスポイントは、戦略的なものであり物語を引き立たせるために、仕方なく発生させられた事象です。
文句なしの大傑作です。読んで損はありません。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-15 15:32:29] [修正:2013-05-15 15:32:29] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

2013年現在、人気、実力ともに最高峰の漫画の一つではないでしょうか。おそらく数十年後も多くの人々に読まれる漫画であると思います。

この漫画は「復讐劇」と「ファンタジー」と「中世ロマン」を見事に融合させています。ガッツは復讐をモチベーションとして、強大な相手と親友を殺す旅にでます。その復讐心がガッツ生まれるエピソードも途中にありますが、読者も充分すぎるぐらいにここで物語を読み進めていくモチベーションとガッツへの共感を手に入れることかと思います。

(もちろん、それまでの話も十二分に面白いです)

絵のタッチは動静で、非常にメリハリがあり、豪快さと綿密さを兼ね備えた見事なものです。ときにポップな絵などを入れて、読者を緊張しっぱなしにはさせません(ギャグがつまらないのは置いておきましょう)。背景にも、丁寧にペンを入れて細部にまで作者の熱意が込められています。

さらにすごいのは、この作者はものすごい研究熱心だそうで、衣服を描く際には服飾の図鑑を参考にしながら描き(なので、ベルセルクに描かれている衣服は全て作成可能だそうです)、主人公・ガッツの筋骨隆々として肉体にリアリティを出すために、人体の図鑑を参考にするだけでなく、自分自身を鍛え上げたという話さえあります。

戦いも面白く、たとえば敵を倒すときにも、ガッツが無双するだけでなく、脇キャラにも見せ場をつくり、軍隊的なストラテジーを駆使して相手の軍団を倒すこともあります。もちろん魔法もあり、ファンタジー感満点です。

ただマイナスポイントというか懸念なんですが、このベルセルクは連載が開始して20年以上たつのですが、終わる気配が『ワンピース』以上にありません。もともと掲載誌が隔週なうえに、作者がかなり休載していますので、単行本も年1ペースです。作者自身も「死ぬまでに頭の中のストーリーすべてを描き切れるか不安だ」と言っているそうです。

漫画としてのクオリティは、日本最高レベルだと思いますので、是非とも読んでいただきたいですね。非常におすすめです。








ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-05-13 23:31:19] [修正:2013-05-13 23:31:19] [このレビューのURL]

10点 SF全短篇

F氏の才能がいかんなく発揮されています。ブラックジョーク、ロマンス、エスプリ、ギャグ、青春群像劇・・・藤子氏の描くことのできるジャンルの広さに脱帽するばかりです。

僕は、「カンビュセスの籤」という作品が一番のお気に入りです。
絶望感が蔓延しつつストーリーは流れていき・・・最後の一コマは何とも言えない涙を誘います。

藤子氏の短編すべてに共通するのですが、しっかりと「オチ」が利いています。短いセリフと絵でこちらに感動や笑いや悲しみを伝える力が素晴らしいです。

すべてのマンガを愛する人々に是非とも、読んでいただきたいです。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-05-12 00:54:25] [修正:2013-05-12 00:54:25] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

マガジンの長寿スポーツ漫画

その知名度は高く、「あしたのジョー」と双璧をなすボクシング漫画といえるのではないでしょうか。

見張るべきは試合の迫力。どの試合も手に汗握る展開となっています。キャラクターも一人一人に、とても個性が立っていて主人公の試合でなくても、目が離せない展開になっています。(むしろ、主人公以外の試合をベストバウトに選ぶ読者も多いのではないでしょうか)

ギャグはいかにもマガジンらしい下ネタが多いです。

マイナスポイントとしては、主人公一歩が優等生すぎる点、宮田との試合がなかなか実現しない点、最近は冗長な試合が目立つという点でしょうか。

しかし、最近やっと主人公も世界戦を戦い始めていますから、頂上決戦はちかいのかもしれません。それが宮田かリカルドかはわかりませんが。

ただ長年連載をしているだけあって、物語の質の高さは相当だと思いますので、かなりおすすめ作品です。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-25 00:07:05] [修正:2013-05-25 00:07:05] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

イラスト、キャラ、ストーリー展開すべてが濃い・・・濃すぎます。
間違いなく胸焼けを起こします。一巻読んだら、相当疲れます。しかし、読む手が止まらず、次の感に手が伸びてしまいます。

日本橋先生のもはや定番なのですが、登場キャラクター一人一人に強烈なトラウマを最初から与え、それを克服することによって成長させる青春物語になっています。

しかし今までと違うのは、トラウマを克服していくテンポが速くなっています。G戦場や極東のときは、最終巻あたりでそれらのトラウマを克服して糧にして大人になっていきますが、少女ファイトではみんな着実と過去と向き合って大人になっていきます。

スポ根漫画なので、その都度出てくるライバルたちに打ち勝たなければいけません。よって、キャラクターたちは何かしらの成長描写が必要です。トラウマの克服スピードを速くしたのは、これが理由なのかもしれません。

後、日本橋先生特有であります絵の大胆な構図がバレーボールのシーンで、かなり活かされている漫画かと思います。ただ詰め込み癖はまだまだ直っていない模様。書き込みの細部を眺めているのは楽しいですけどね。

とはいえ、日本橋先生の漫画の中では相当エンターテイメントに昇華した作品といえると思います。非常におすすめです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-18 03:11:41] [修正:2013-05-18 03:11:41] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

この作品が人気になった所以は絶妙なキャラクター設定だと思います。

まずは六太。宇宙兄弟を読む前のぼんやりとしたイメージは、「凡人が宇宙飛行士を目指す漫画」であり、まぁそうなんですが、まず「凡人」である六太のポテンシャルが非常に高いです。理系の博士号を持っていて、元の会社では非常に優秀な技術者として評価されています。

客観的にみたら六太は、「相当優秀な人間」です。「凡人」だと思っている人は、六太自身なのです。六太は、弟ヒビトと自分を比べて相対的に自身をなくしているのです。

宇宙兄弟の物語は、「六太が宇宙飛行士を目指し努力する物語」というより、「六太が自分のポテンシャルに気づく物語」だと思います。

なので、六太が活躍しても「まぁ六太もともと優秀だもんな」とこっちもつい納得させられてしまいます。

またこの物語には、「成功には類まれなる運が必要なのだ」という暗黙の教えが多々出てきています。「努力や人柄で夢をつかめる」というのは、必ずしも真実ではなく、「縁」や「運」が大きく左右することがあります。ここも成人をターゲットにした漫画として絶妙なリアリティがあると思います。

「宇宙飛行士」になるという少年らしい夢を追う物語で絵のタッチも非常にポップなのですが、絶妙なリアリティをもった設定がこの物語を多くの人々に愛される漫画になっていると思います。

また、余談ですがこんなにもヒロインが愛らしい漫画も昨今珍しいのではないでしょうか。




ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-15 14:40:07] [修正:2013-05-15 14:40:07] [このレビューのURL]

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