「polojo」さんのページ
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9点 宮本から君へ
サラリーマンマンガの表の傑作が「課長島耕作」ならば、裏の傑作はこの「宮本から君へ」だと思います。
新井英樹の初期の作品ということで、画力はまだまだ低い時期です。
しかし新井絵の特徴である『生々しさ』や『生活感』の片りんを所々に垣間見ることができます。
このマンガの面白い点はストーリー展開を読者の予想を裏切りながら、物語が展開します。
例えば宮本が七転八倒しながら頑張り続けるという点は、他の熱血系主人公と同じですが、「これだけ宮本は頑張ったんだから、報われるだろう」といった予測というか願望はあっけなく覆されることが多々あります。
「うわぁ」とか「またかよ・・・」とか読者はそのたびにがっかりするのですが、本当にまれに努力が報われた瞬間は宮本と同じぐらいに「よっしゃああ!!」という気分にさせてくれます。
そしていつの間にか、宮本に感情移入していることに気づいてしまうのです。だから宮本に投げかけられる登場人物のセリフもまるで自分にかたられているかのように心に突き刺さるのだと思います。
『課長島耕作』も十分に傑作ですが、島耕作のあまりの有能ぶりや幸運が鼻につく人には、是非ともおすすめの漫画です。
(むしろ、人生うまく行っていない人が多いので、島耕作より感情移入できる人は多いと思うのですが・・・)
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2013-05-12 21:00:17] [修正:2013-05-12 21:00:17] [このレビューのURL]
6点 刑務所の中
原作者の体験をもとに描かれた刑務所ライフマンガ
このマンガは2つの大きなハードルがあると思います。
一つは若干おどろおどろしさを含んだ絵。これはそれぞれの好みがあるのでどうしようもないかと思います。
そしてもう一つは刑務所での生活をあまりにも面白可笑しく描いている所です。
「罪をつぐなうための場所なのに、なぜに彼らはこんなにも順風満帆な生活をおくっているのか・・・」と疑問に思ったり、腹を立ててしまう人々は読まない方が良いと思います。
しかし、その2つのハードルをクリアできた人は、とても楽しくこのマンガを読むことができると思います。刑務所という異世界での生活を、ギリギリまでしめっぽさやマイナス的なイメージを排除したこのマンガはエンターテイメント作品として上質のものとなっています。
刑務所のおやつに一喜一憂し、好きな子を語るように大麻について盛り上がる、林間学校や修学旅行にきている少年たちに重なります。
ただストーリーの骨格はかなりでたらめで、一話毎のつながりはあまりなく、最終話も途中で切れているような感じで終わります。
自分とは異世界の日常を楽しむといった点からして、「ゴッドファーザー」を見るときのように楽しめばよいかと思います。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2013-05-12 20:40:56] [修正:2013-05-12 20:40:56] [このレビューのURL]
2点 空手小公子 小日向海流
絵は綺麗で、女の子は可愛い。ストーリーも王道的。時々エロスもあり、シリアス場面とギャグ場面のバランスもちょうど良い。
要素だけ取り出すといかにも、人気がでそうな作品だが読んでみるとなぜにこんなにも魅力がない作品になってしまっているのか・・・
これはおそらく「自分の好きなものを描き出そう」という自己満マンガとは全く逆の「読者に受けそうなものを描き出そう」というこびへつらいが所々に見えてしまうのが原因なのか。
王道を描き、かつ面白い作品に昇華させることがいかに難しいかを体現している作品。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2013-05-12 01:19:00] [修正:2013-05-12 01:19:00] [このレビューのURL]
7点 ONE PIECE
この十年で日本で一番売れたマンガでしょう。
そしてあと数年は少なくとも絶大なる支持を信者を持ち続ける作品だと思います。
尾田氏のアイデアの豊富さやマンガに対する情熱は、アンチの人々でも認める所だと思います。
僕がワンピースで一番絵的好みだった時期は、アラバスタ編あたりですね。それ以降は、過剰といえる描きこみが目立ち、アイデアも豊富な反面「これもこれもこれも詰め込んでやる!」といった欲張りな部分がでていると思います。
このような、マンガ家の「才能があるが故の暴走」を止めるのは編集の腕だと思うのですが、最近はその力がない編集者ばかりなのか、それとも尾田氏の影響力が強すぎて集英社側も強く言えないのか、とにかくバランスが崩れてきていると思います。
ともかく、尾田氏は自分と同じ目線で話せるブレーンを見つけるのが大事なのかなと思います。(鳥山氏にマシリトがいたように)
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2013-05-12 01:07:57] [修正:2013-05-12 01:07:57] [このレビューのURL]
10点 SF全短篇
F氏の才能がいかんなく発揮されています。ブラックジョーク、ロマンス、エスプリ、ギャグ、青春群像劇・・・藤子氏の描くことのできるジャンルの広さに脱帽するばかりです。
僕は、「カンビュセスの籤」という作品が一番のお気に入りです。
絶望感が蔓延しつつストーリーは流れていき・・・最後の一コマは何とも言えない涙を誘います。
藤子氏の短編すべてに共通するのですが、しっかりと「オチ」が利いています。短いセリフと絵でこちらに感動や笑いや悲しみを伝える力が素晴らしいです。
すべてのマンガを愛する人々に是非とも、読んでいただきたいです。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2013-05-12 00:54:25] [修正:2013-05-12 00:54:25] [このレビューのURL]
6点 味いちもんめ
あらすじは、伊橋悟が一人前の板前を目指す料理マンガ、というより板前道マンガ。料理のうんちくや知識が所々はいってくるが、伊橋の成長というマンガの軸を邪魔はしないのであまりうざさはない。
はっきりいって、絵は下手。ギャグセンスもほとんどないマンガ。
ずっと淡泊なまま物語が続く。しかしその物語の中にあるささやかな読者へのメッセージが胸を打つのだ。さらりと大切なことを教えてくれるので、説教臭さもほとんど感じない。
そしてこのマンガは本当に一歩ずつ登場人物が成長する。一つのエピソードで爆発的に成長することはないが、長い目でみると、着実に大きくなっていくのである。この部分もまた。愛着の持てるゆえんだと思う。
「面白い!!」となる作品ではないかもしれないが、爽やかな気分になれる作品だと思うので、是非多くの人が読んでほしいと思う。(ブックオフで安売りされているしね(笑))
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2013-05-12 00:10:32] [修正:2013-05-12 00:10:32] [このレビューのURL]
8点 SUGAR
新井英樹流スポーツマンガ
作品としての完成度は新井作品の中で間違いなくトップ。
あらすじはお調子者の石川凛がボクシングの世界でその天才的才能を
いかんなく発揮する作品。
この作品に限らず新井英樹の作品は「スポーツマンガ」「学園マンガ」といった分類分けが非常にしにくい作品が多い。それは作品の主人公の人生すべてを書きだそうとするからだと思う。
例えばこのシュガーにいたっては、凛の上京までのエピソード、料亭での生活、恋愛や周りの人たちとの交流を書き出しているので、肝心のボクシングの練習や試合をしている場面は他のボクシングマンガと比べて、驚くほど少ない。
つまりこのマンガは、石川凛という「天才観察物語」なのである。
「ボクシングの天才の仕事風景は?周りとのコミュニケーションは?幼馴染との恋模様は?」ということをこれでもかというぐらい綿密に描き出している。もちろん、ボクシングなどのアクションシーンの迫力は素晴らしい。こちらの痛覚さえも刺激しているのではと思ってしまうほどだ。
新井英樹の癖のある絵と、セリフという壁をクリアできたら間違いなくはまれる作品だと思う。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2013-05-11 23:45:40] [修正:2013-05-11 23:45:40] [このレビューのURL]