「Dr.Strangelove」さんのページ

総レビュー数: 365レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年01月07日

馬鹿話を過剰な緊張感と格調高い画面で大真面目に語る、という平野耕太の方法論が誰の目にも明らかになった作。
わざわざ実在の偉人・有名人まで招いてくるのだからその「格調高さ」へのこだわりは並ではない。

通常では裏目に出ることも少なくないヒラコーの特異な美的感覚も、本作ではことごとく面白さにつながっている。
また、登場人物の造形においても、キャラがどのような表情、所作をすれば面白いかをよく把握している。

ただの幼稚な誇大妄想狂には絶対に書くことのできない傑作だ。大いに期待したい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-08-15 18:24:58] [修正:2010-08-15 18:24:58] [このレビューのURL]

話は弱いかもしれないが、キャラが良いのでそんなことは微塵も感じさせない。
二鳥君、千葉さん、高槻さん、佐々さん、有賀君などのキャラの「和」が生み出す魔法的幸福感は漫画史において特筆に値する。
いわゆる「厭な奴」ポジションの二宮君や土肥君でさえ好ましい。

また、ミニマリズムの傑作でもある。形を変えて繰り返される「学校行事」「学校へ行く・行かない」「少年少女たちのすれちがい」。しかしそれは決して深刻なものとしては描かれず、むしろ寂寥感と笑いをかき立てる。

登場人物の年齢が上がるにつれて描くのが難しくなっていく題材なため、どの時期にどう〆るか興味深い。
志村貴子は(基本的には)聡明な演出家なのできっと良い最終回にしてくれるでしょう。


<追記>10巻まで読み、点数を一点上げました。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-05-16 18:37:02] [修正:2010-03-31 06:35:38] [このレビューのURL]

考えうる限り最高のギャグ漫画の一つ。
アフタヌーンの漫画というのはとかく「濃い」漫画が多いが、本作なんてその最たるものだろう。

他の追随を許さない圧倒的な画力で、徹底して下らない話を描く。
「才能の無駄遣い」という言葉はトニーたけざき氏にこそふさわしい。
好き嫌いがはっきりと分かれる作品だと思うが私は大好きだ。
常に読者の予想の斜め上を行く、クレイジーな漫画。
このような作品を10巻以上連載させるアフタヌーン編集部の懐の深さに乾杯。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-04-13 15:29:28] [修正:2008-04-13 15:29:28] [このレビューのURL]

9点 YOUNG&FINE

漫画界屈指のテクニシャン、山本直樹があえてその技巧を抑えて
真正面からの正攻法で描いた青春漫画の名作。

ストレートなだけに著者の作品では逆に異質である。
4月、美人の彼女がいる灰野という高校生のもとに、兄の同級生だった女教師、
伊沢学が下宿することになるところから物語は始まる。あらすじだけ見れば
なんてことはない話だがこの人にしか出せない作中の情緒(日本映画的、ともいえる)
が実に味わい深く、数年毎に読み返したくなる。

最も印象に残ったセリフはラスト、灰野の「自分が誰かに影響するなんて思いもしなかった」。
それまでの淡々とした日常描写の積み重ね(それこそ人によっては退屈と思えるほど)は、
このセリフのためだけにあったのではないだろうか?
私はまだ19歳なので自分が他人に影響を与えた事など、ない(少なくとも自覚の範囲内では)。
しかしよく考えてみれば自分が他人に影響するなんて当たり前のことだ。
今、この瞬間にもどこかで他人に影響を与えているかもしれない。
そういうことに気付かせてくれた漫画。

ひょっとすると山本直樹の作品で一番好きかもしれない。
本当に上手い作家は技巧に頼らなくても良い作品が書けるのだ。
改めて山本直樹は凄いと感じた。名作だと思う。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-04-06 15:32:32] [修正:2008-04-06 15:32:32] [このレビューのURL]

タンタンの冒険旅行が登録されてるんだから別にこれがあってもおかしくはないでしょ。

さて、掲載された雑誌は2000誌を越え、コミックの総発行部数は3億部を越えるこの漫画、
多分この地球上で知らない人はいないんじゃないかという作品である。
基本は4〜5コマのギャグ漫画だがとても奥が深い。
どのくらい奥が深いかというと、「ライナスの毛布」が心理用語になってたり、
新興宗教の隠喩が出てきたり、学校が自分で考えるようになって
最後には自殺w(「2001年宇宙の旅」のHALみたいだ)したり・・・
可愛らしい外見とは裏腹にかなりシュールなギャグ漫画である。
それだけでなくアメリカの社会問題や政治に関して非常に鋭い風刺が
幾度となく出てきて、作者の慧眼を感じさせる。

また、上記のような深読みをしなくてもスヌーピーを筆頭に
可愛くて憎めないキャラばかりなので
子供から大人まで楽しめること請け合いの名作。
本来は8点が妥当だが、50年続けたというその功績も称え+1点。
面白いっすよ。お薦め。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-17 21:32:57] [修正:2008-02-17 21:32:57] [このレビューのURL]

ディスコミの最終章としては?かもしれないが
一つの単体エピソードとして見れば申し分ない完成度。
恐らく業界随一だと思われる書き込みの量も完結篇だけあってか
気合入りまくり。各話表紙も凝りに凝りまくってて楽しめる。
テンポも非常に良いし大満足。

しかし残念な点が2つ。それは主人公である松笛の出番が少なかったことと
「どうして人は他人を好きになるのか」という命題に安易に答えを出した事。
これさえなければ10点だった、惜しい。
某巨大掲示板の過去ログで当時の反応を読んだところ上記の理由により
やはり評価が芳しくないようだけど私は好きだ。読む価値があると思う。

それにしてもロボットや各話表紙の書き込みの量は凄いなあ。
背景だけ見てても楽しめる漫画だ。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-08-07 13:11:15] [修正:2007-12-02 20:12:33] [このレビューのURL]

手塚治虫の白鳥の歌。
優雅な絵、計算しつくされたテンポ、非の打ち所がない。
また、作中でベートーヴェンがバッハを弾く箇所があるが
その表現が素晴らしい。
「音楽を漫画で表現する」という難題に挑戦し
見事に成功している。
手塚が天才である事を確信すると同時に
完成していれば間違いなく
漫画史上に燦然と輝く名作になったであろうことを考えると
本当に惜しまれる。

手塚を長年漫画界の巨匠とせしめたその総てがここにある。
9.5点。完成させていれば10点だった。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-13 17:59:35] [修正:2007-06-13 17:59:35] [このレビューのURL]

9点 BLAME!

究極の雰囲気漫画。とにかく世界観を楽しむ漫画なので
ストーリーなんてほとんど無い。
最初の3巻を読んで受け付けなかったらその時点で止めた方が良い。

SF漫画好きには10点。それ以外には3点ってところかな。
もうね、SF読んでないとハァ?な用語、設定がこれでもかというぐらい出てくるので
一般人にはお薦めできない。そこを考慮して9点。



ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-05-27 12:35:06] [修正:2007-05-27 12:35:06] [このレビューのURL]

9点 火の鳥

個人的ベスト3
未来、鳳凰、太陽
次点
復活

ルードウィヒ・Bもそうだったが
未完なのが惜しい、実に惜しい。惜しすぎる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-05-14 19:09:04] [修正:2007-05-14 19:09:04] [このレビューのURL]

最初は凄く面白かった。その後監禁篇が長すぎてだれた。
無限の住人ももうだめだなと思っていたら最終章に入って再び盛り上がってきた。

一度面白くなくなってからかつての勢いを取り戻す事に成功した
非常に稀有な漫画。

最近の面白さは本当に半端じゃない。この勢いでラストまでいってくれると期待。
暫定で9点。

ちなみに人間椅子の「無限の住人」というアルバムがあるが、
かなりの名盤なのでお薦め。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-04-24 23:09:49] [修正:2007-04-24 23:09:49] [このレビューのURL]

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