「souldriver」さんのページ

総レビュー数: 110レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月21日

「ヘタウマ」とはこの作者の絵のことを言うのだと思う。

一般的に見れば間違いなく下手な部類になるいびつな絵だが、この絵の歪みがあってこそ作中繰り返される過剰とも思える心理描写の複雑さが際立って見える。
追い詰められたときの人間心理、疑心暗鬼の中での極限の駆け引きが非情な現実を伴って描かれていて、常に先が読めない展開にハラハラさせられた。

単純なルールのゲームをここまで奥深い展開に昇華できるのは素直にすごい。心理戦を描かせればこの人の右に出る作者はいないんじゃないかと思う。

ただこれでもかと人間の汚い部分を見せ付けてくれるダークな内容なので、万人にお奨めできる作品ではない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-21 05:36:23] [修正:2007-06-21 05:36:23] [このレビューのURL]

少年漫画の王道中の王道と言える展開に対して、妖怪という決して王道とは言えない敵との対決を扱っていることの不均衡さがこの作品独特の味を出している。
収集がつかないんじゃないかと思うほど広げられた大風呂敷を完璧にまとめてみせた作者の構成は実にお見事。全ての話や人物が綺麗につながっており、読み終えた後に爽快感を覚える。
終盤の大胆な急展開の連続には驚いた。

とらの徹底的に単純明快なキャラクター像はこれぞ少年漫画! 文句なしにカッコイイ。
脇を固める人物たちも一人一人が明確な立ち位置を与えられていて、それぞれが程よい個性を放っている。

ただ、少し中だるみしてるように思える箇所や「さすがにお腹一杯」というようなくさい場面がときどき気になった。
それは逆に言うとこの作品がお約束な展開の原点として引用されていることが多いからなのかもしれない。多分連載中にリアルタイムで読んでれば不自然には思わなかっただろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-21 05:17:36] [修正:2007-06-21 05:17:36] [このレビューのURL]

8点 寄生獣

ミギーをはじめとする寄生獣たちの思考は、人間の敵として描かれているにも関わらず非常に説得力があり、逆に人間とは何なのだろう?と考えさせられる。
一方で自分たちの社会を守ろうとする人間側の考え方も当然理解できる。
双方の主張を聞くことのできる読者の立場は主人公シンイチの置かれる不安定な状況に照らし合わせることができる。一巻から最終話まで無駄な部分は一切なく、緊迫感を持って読み進めることができた。

「いちばん『悪魔』に近い生物は、やはり人間だと思うぞ…」
物語全体を象徴するこのセリフは人間社会の抱える矛盾を鋭く突いている。

いろんな意味で衝撃を受けた作品だった。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2007-06-21 04:50:46] [修正:2007-06-21 04:50:46] [このレビューのURL]

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