「」さんのページ

総レビュー数: レビュー(全て表示) 最終投稿: まだ投稿されていません。


カルト的な人気を博したアニメが原作。原作の流れを踏襲しながらも、若干ストーリーに差異が見受けられる。アニメ版のエッセンスを詰め込みながらも、わかりやすくストーリーを描こうとしている姿勢が感じられた。アニメも全話視聴済み。

主人公の、父親や境遇との葛藤、友人との学校生活、登場人物の過去、使徒と呼ばれる敵との戦闘など、描かれているテーマは、他のレビュアーの述べているように、王道漫画ということができる。

しかし、アニメ版もそうであるのだが、年月を経て読み返してみると(たしかアニメ版をはじめて見たのは中学生の頃)、そこまで面白く感じることができなかった。もう少しさらっと描けそうなものをドロっと、暗い雰囲気で描いているせいか、読んでいて鬱のようになってしまうからだ。全体として鬱へ鬱へと引きずり込んでいくような展開となっている。

もちろん、その描き方が評価を得ているのであろうし、思春期の少年少女が誰しも持っているであろう、微妙で複雑な感情を描くには、もってこいの手法ということもできるだろう。読者に考えさせるようなものがあることも事実である。

だが、この意図的とも言える暗い雰囲気の漫画を、思春期を越えて、青年や壮年となる人たちが読んで面白いと感じられるかは疑問である。さらに、敵である使徒の位置づけが中途半端な感じも受けた。原作であるアニメを見た際は特撮映画を見ているような気分になり、戦闘だけで楽しめたのだが、漫画版では戦闘があまり見ていて面白くなかった。また、使徒がなぜ襲ってくるかわからないのも、話の醍醐味でもあるはずなのだが、あまりに謎が謎を呼ぶ展開となっているため、読者の私は取り残された感があった。

総じて見れば、戦闘、心理描写メインのこの漫画。王道漫画の要素を備えており、読めるには読める。だが、意図して暗い雰囲気で描かれるストーリーに、最後まで没入することができなかった。また、雰囲気はわかるものの、これまた意図して難解なセリフや用語によってわかりづらいストーリー。思春期の頃に見た頃と評価もだいぶ変わったであろうが、20歳の今読んだ評価として、可もなく不可もない漫画、5点とした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-11 12:45:28] [修正:2008-10-11 12:45:28] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]


同名のPC用ノベルゲームが原作。原作はプレイしていない。

辺鄙な場所にある村(恐らく過疎化もかなり進んでいるであろう場所)で繰り広げられる、戦慄の連続殺人事件の模様を扱った作品。表紙を見てかなり萌え要素の入った絵であったから、どのような形で話が進むのか心配になりながら読み進めたが、なかなかに面白い作品であった。

序盤はこのような田舎村に似つかわしくない美少女たちと、主人公の和気あいあいとした日常が描かれる。ここまでで、挫折してしまう人もいるかもしれない。

しかし、後になれば気付くのだが、これらの日常は演じられたものである。ここでは後に続く面白い話への序章として、我慢、我慢で耐えてもらいたい。

中盤、話はがらりと様相を変える。豹変する登場人物や、この村の持つ不気味な雰囲気が、序盤とのコントラストによる相乗効果もあって、ぎらりと押し寄せてくる。

そしてついに発生する殺人事件。主人公は周囲の人物に疑念を抱き始める。このあたりの心理描写はよく描けていると思った。誰がどういう魂胆を持っているか分からず、仲良くしていた周りの人物が豹変してしまい、すべての人物に対して警戒感を持つ主人公の狼狽ぶりが、よく伝わってきたからである。

終盤、物語は佳境を迎える。未読の読者のために詳細は書かないが、この作品の持つ不気味さは頂点を迎える。

このように、萌え系の登場人物が登場するが、内容は途中からシリアスそのものである。もちろん、苦手な人も多そうな絵柄だ。また、ちょっとありえない設定も多く見受けられる。

しかし、元々がPC用ノベルゲーム一般(やったことは残念ながらない)として作られたストーリーであるから、このような設定も仕方ないであろうし、上述のようなキャラクターであるからこそ、明暗の差から不気味さが際立つように設定されていると感じた。

総じて見ると好みが分かれる漫画であることは間違いない。純粋なサスペンスものと考えて読むよりは、エンターテイメントとして割り切って読んだほうが面白く読める。そうした読み方をすることで過剰な演出も読み進めることができるであろう。私は序盤には苦労したものの、途中からは一気に読み終わった。以上より、好みは分かれるが、エンターテイメントとしては楽しめる漫画として、良質な漫画、6点とした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-11 10:37:16] [修正:2008-10-11 10:37:16] [このレビューのURL]

7点 MONSTER


MONSTERという題名を初めて見た時は、怪物が出てきてそれを撃破していく戦闘漫画かと思った。

読み進めていくうちに、異形の怪物や超能力を持った敵は出てこないが、この漫画は主人公が目に見えない怪物と戦っている漫画だということに気がついた。

各話がそれぞれまとまりのある内容となっており、その都度出てくる登場人物と主人公のやり取りで完結するが、そのピースを集めるとモザイク画のように一枚の絵画として見事に浮き上がってくる。

そのような浦沢直樹の得意とする手法によって、主人公の医者としての葛藤や、周りの登場人物との日常、冷戦という社会情勢のもたらした闇までが繊細に、かつ緻密に描かれている。

しかし、話が壮大なわりに、ラストが淡白になりすぎている印象を受けた。冷戦という状況が生み出した闇の部分を、急がずじっくりと、最後まで描いてほしかった。

ヨハンという魅力的な敵キャラクターのもつ雰囲気を途中まで見事に描けていたので残念である。ラストが性急になったせいか、多少難解な要素が残ったことも惜しいことであった。(作者としては同種の漫画に起こりがちなマンネリ化を懸念したのであろう。)

絵は丁寧であるが、好き嫌いは分かれそうである。慣れれば気にならない程度ではあるが。

難解な要素は残ったが、緻密な登場人物描写や、浦沢直樹の得意な数話完結型のモザイク画的な構成は見事であった。以上より、良質で夢中になってしまう漫画という、7点の評価とした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-10 23:02:04] [修正:2008-10-10 23:02:04] [このレビューのURL]

似通った野球漫画が多い中、異色だと感じられる作品である。
監督目線ということもあるが、配球まで含めた細かな駆け引きが見られ、とてもおもしろいし、勉強になる。

学校経営者から保護者・高野連に至るまで、それぞれの視点での思いや苦労などもうまく描いているし、かといって選手たちの心理や立場が疎かになっているわけではない。

これだけの情報があっても、抜くところは抜いているので読み易く、しつこくない。

野球好きにはたまらないのではないだろうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-10 21:35:43] [修正:2008-10-10 21:35:43] [このレビューのURL]

10点 レベルE

漫画を「見て」いた幼い私に、漫画とは「読む」ものだと気づかせた作品である。

話の構成・展開が深く、おもしろくて、その発想に驚くばかり。
私は、漫画というジャンルの中で、これを超える芸術作品はないのではないかと思う。

一番好きな漫画家の、一番好きな漫画。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-10 21:07:27] [修正:2008-10-10 21:07:27] [このレビューのURL]

4点 BLEACH


話が学園ものの体裁をしていた頃は面白かった。
この手の漫画にはよくある性格の登場人物が多いことに加えて、ありきたりの容姿や設定ではあるが、軽く読み流して楽しむには最適の漫画であった。適度なギャグや、戦闘漫画としては比較的さくっとした長さの戦闘のために、話がテンポよく進んでいたからだ。

しかし、ソウルソサエティ編から、話が壮大になり始めた。以前のようにストーリー自体に深みがないままに、である。

そのため、このような展開になる漫画の必然的帰着とも言えるであろうが、能力の爆発的上昇や、敵の登場人物の安直ともいえるであろう、過去の説明的な延々とした羅列に終始してしまっている。また、お決まりのように容姿や、着ている衣裳がどんどん派手になり、読者にこびへつらうかのようなサービスが始まった。

さらに、他のレビュアーも述べているが、この作品の各話の題名や扉絵に象徴されるように、作者による、自身のセンスを誇示するかのような雰囲気がとても鼻につくのである。

この雰囲気が好きで読んでいる人がいるのかもしれないが、私から見ると、「俺ってさぁ、英語もわかるしぃ、洋楽も結構詳しいんだよね、どうよ、すごいっしょ?」と暗にナルシズムに浸っている感じがするのである。このことは最近の漫画家によく見られる現象ではあるが、根底にある「漫画=オタク的」という社会に見られる偏見(江戸時代には浮世絵として社会的に広く読まれ、認知されていた。)に対する、引け目が背景にあるのではないだろうか。

多少話が脱線してしまったが、総じてみると読めない漫画では決してない。しかし、熱中して読める漫画でもない。週刊少年ジャンプを読むときにさらっと読む。それが、この漫画を読むスタイルではないだろうか。まさに4点の評価の基準である、ちょっと微妙だけど時間つぶしぐらいにはなる漫画、という評価を体現するかのような漫画である。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-10 17:22:54] [修正:2008-10-10 17:22:54] [このレビューのURL]

ヤングジャンプの中でも大好きな作品でした。面白いですよ。問題は、コミックスが置いてある店が極端に少ないことでしょうか

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-10 09:46:34] [修正:2008-10-10 09:46:34] [このレビューのURL]

6点 ONE OUTS

[ネタバレあり]


このサイトでの、空前の高評価野球漫画であったため、手に取ってみた。

なるほど、既存の野球漫画へのアンチテーゼとして描いたと帯コメントで作者が述べるように、他の根性もの野球漫画への違和感を集積したような漫画であった。

まず、第一に他のレビュアーの書くように、絶対的強者である主人公がいる。主人公は言葉や独特の理論で打者を翻弄する。これを面白いと思うかどうかは、この作者の持つクセのあるセリフ回しや、構図をどう受け止めるかであろう。

たしかに主人公が小賢しいという意見があり、最もな意見であると思う。しかし、それではこの漫画の表層を読んだにすぎない。作者は意図的にそう描いたのではないだろうか。小賢しい主人公をあえて描くことで、既存の野球漫画が備えている、努力と根性だけで何とか勝利を重ねていくという姿を「分かりやすく」批判しようとしたのではないだろうか。

ではなぜ6点としたか。

それは後半に進むにつれて、序盤の勢いがなくなっていったように思われたからだ。上記のように小賢しい主人公は問題ではないと私は考えるが、後半からあまりに話がぶっ飛びはじめる。特に主人公がボコボコに打たれた後の展開は強引さを感じた。作品自体強引と言われればそれまでだが・・・個人的に彩川オーナーとやりあうところまでが一番面白かった。

また、セリフ回しや構図がパターンの似ているものが多く、それに対して単調さを感じた。

以上より、たしかに斬新な漫画であることは認めるが、佳作にとどまる漫画ではないだろうか。もちろん、この漫画は好みの分かれる漫画であることは間違いない。嫌いな人も多そうだ。だが、エンターテイメントとしてさくっと楽しむ。それがこの漫画を楽しく読むスタイルではないだろうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-09 23:43:40] [修正:2008-10-09 23:43:40] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]


少し前に、図書館から母が借りて放置されていたこの漫画を発見し、読み始めた。はじめはコマ割りが昔風で読みづらそうだなと思ったが、一気に読破してしまった。

この作品の何が一番良いのかといえば、巻末にある対談にも書いてあったと記憶するが、本来悲壮感たっぷり、涙なくしては語り得ないような、波乱万丈の実話を、笑いありでギャグ風にさらっと書いてしまっていることである。

たしかに、コマ割りは昔風に正方形に区切られ小さく、吹き出しも多くテンポが悪いことは否めない。

だが、ネタが面白すぎる。最近のギャグ漫画は主人公がめちゃくちゃなことをするばかりで、ついていけない漫画が多い。しかし、この人はのっけから山の斜面で首つりをしようとして、そのまま寝てしまい、死ぬのをためらいホームレスになるという、トンデモ話をクールに、かつ事実報告的に描くので面白い。本当に面白い話というのは、筆者が笑いながら描いてはいけないのだ。(この話も、本来涙ながらには語りえないであろう・・・)

欠点はあるものの、今のギャグ漫画が忘れてしまった精神が、この漫画にはある。一巻完結で図書館にあることも多いこの漫画、お手頃な本であると思うのでぜひ一度手に取ってほしい。

続刊もあるようなのだが、残念ながらまだ手に取っていない。あくまで、「失踪日記」だけの評価として読んでいただきたい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-09 23:10:39] [修正:2008-10-09 23:10:39] [このレビューのURL]

7点 ONE PIECE

[ネタバレあり]


この漫画はまさに王道漫画そのものである。

常に前だけを見つめて苦しみながらも敵と戦い、勝利して、仲間と共に成長していく。逆境の中でも決してあきらめない。掲載されている週刊少年ジャンプの「勝利、友情、努力」の三大テーマを盛り込んだ秀作である。いや、だったと言うべきか。

なぜ過去形か。

もちろんその三大テーマはブレていない。特に、前半部(偉大なる航路に出るところ辺り)までであれば、歴代の週刊少年ジャンプの作品群の中でも1,2を争うほど、ジャンプの求める理想像を追求し、かつ面白さを兼ね備えた漫画であったであろう。私自身とても熱く読むことができ、毎週欠かさず楽しみに読んでいた。登場人物の背景描写が丁寧で、戦闘での能力の応用もなかなかに秀逸であったからだ。特にサンジの話は魅力的だった。

だが、途中からテンポが著しく悪くなりはじめた。ひとつの節というか章というか、の戦闘が長くなる余り、登場人物の描写や主人公たちの住む世界の奇妙で興味深い世界観の描写がいい加減になった。そのため、冒険をしているという感覚がなくなってきたのである。偉大なる航路を旅する主人公たちの面白い冒険が読みたかった。

また、戦闘も能力の二段化(このあたりから読まなくなったので詳しくはないが。)や、七武海がゴロゴロ出てくるようになってから、巻数が増えていくにつれて不可避的に生じてくる問題ではあるが、能力のインフレ化、それに伴う戦闘の大味化で、戦闘の持つ緊張感が薄れてきた。

ゆえに、序盤の爆発的エネルギーは最近では鳴りをひそめ、看板漫画として、編集部の給油抜きには走れないような漫画となってしまった。よって前半は9点、後半は4点で、全体的に見て7点、という評価とした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-09 22:33:05] [修正:2008-10-09 22:33:05] [このレビューのURL]

点数別のレビュー表示

月別のレビュー表示