ホーム > 青年漫画 > 月刊アフタヌーン > 神戸在住

7.85点(レビュー数:41人)

作者木村紺

巻数10巻 (完結)

連載誌月刊アフタヌーン:1999年~ / 講談社

更新時刻 2011-03-24 14:36:21

あらすじ 高校卒業後、東京から神戸に引っ越してきた、神戸の総合大学芸術科に通う「辰木 桂」の大学生活を中心とした日常を描いたエッセイ作品。

備考 2002年5月 第31回日本漫画家協会賞新人賞を受賞

シェア
Check

神戸在住のレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全41 件

10点 Leonさん

こういう大学生活を送れたら良かったと思わせる傑作。

「人間」をここまでしっかり描き込めた漫画はこれの他にないと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-11-02 23:12:23] [修正:2022-03-30 08:03:09] [このレビューのURL]

9点 朔太さん

神戸の界隈を丁寧に光溢れる町として紹介し、その町で暮らす
女子大生のキャンパスライフを描いたものとして、1,2巻を読みました。
そんな紀行文のような淡白さは面白みもなく、読むのを
止めようかと思っているうちに、2巻後半に阪神大震災の
ボランティアの話となります。
すっかり騙されてしまいました。
中国人の血を隠しつつ、淡々と被災者の現実を受け止める
リアルさに感服しました。
この1話から、この作品への評価が180度転換です。

6巻では、祖母との別れを描いたお話。秀逸です。
さらには、おばあちゃん子だった主人公桂に対して、
別の巻では母が「おばあちゃんにあなたをとられちゃったから・・」
とつぶやくシーンがあります。
それぞれの関係性がキチンと描かれています。

決しておしゃれともいえない桂が、唯一不遇の画家の
リクエストに応じてスカートをはきます。
そして、突然の別れが淡白に告知されます。
しばらくその話題に触れず、巻が進んだ後、
「そろそろ画家との別れについて、触れましょう。」と、
時間を遡る展開は、これは木村紺という作家のリアルな
時間に並行して描かれているのではないか、と思ってしまうほどです。

画家日和洋次との回想は、その後繰り返し出てくるのですが、
淡白なストーリー展開にあって、強い情感、哀しみが
対照的に輝きます。
涙の出ない絶望的な哀しみです。

また、祖母と画家の二人に対する想いは、桂の人間性を
よく表し、女性ならではのナイーブさ、純粋可憐さが美しいです。
人間なら誰だって、強く傷ついた彼女を守ってあげたい
気持ちになることでしょう。

友人や家族の性格付けも、細かな描写がされています。
父と二人だけの外食シーン。
これだけで1話を読ませます。

1日のさまざなエピソードを繋ぎ合わせて、自分の将来を
ぼんやり夢想するシーンでは、「思いつきをただ並べた
そんなありふれた将来像がどれ一つとして現実感を伴わない。
私に足りないものは何なのだろう。
この胸のざわつきの正体は何なのだろう。」と言わせます。

平凡な日々の中で、若者らしい心の不安定さを見事に表現しており、
素晴らしいです。
すっかり、辰木桂(木村紺)のファンになりました。

しかし、何とも共感できない話も多く、特に連載当初は
読み進めるのも辛いほど無駄な会話が多かったです。
そのマイナスがなければ10点でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-06-04 19:36:31] [修正:2018-06-04 19:36:31] [このレビューのURL]

10点 punpeeさん

神戸の大学に通う女の子の、4年間の日常を切り取って綴られた作品。
とんでもなく平凡な日々の中に、本当に多くのドラマが詰まっている。

震災の様な大きなエピソードはもちろんの事、
父との外食や、弟が一人暮らしを決めた夜という、一見地味だが現実的なエピソードを、読み応えある一話にしてしまう作者の文章力と構成力には脱帽。

特に、大学4年間という時間の流れを非常に巧みに使い、キャラクターの精神的な成長の過程を丁寧に描いています。
身近な人間の死の受容、友人との距離の縮まり方等。
主人公の髪型も、ゆっくりゆっくり伸びていってますからね。笑
「ヨコハマ買い出し紀行」も同様、時間の流れって、それだけで大きなドラマの要素になるんですね。


特筆すべきは、この作者が男性だという点に驚いてしまった程、女性主人公の描写が丁寧です。
それはこの作者の後に続く作品も同様ですが、焼き鳥屋店員なら焼き鳥業界の、ボクサーならボクシングの、柔道部員なら柔道の、
それぞれのテーマに関する知識や技術等の描写、解説が非常に繊細で丁寧な事から、作者の真面目で研究熱心な姿勢が伺えます。

この作品には人種や性、障害等のあらゆる差別もテーマの一つとしてり、メインでないキャラクター達にもそれぞれの葛藤、反省、覚悟が描かれています。
これらの描写も、前述の理由から、いい加減な気持ちでテーマに組み込んでおらず、読み応えがあります。

個人的には素晴らしい良作なのですが、
地味すぎるという点と、キャラクターや世界観に慣れる前の序盤の敷居の高さから、人にお薦めしにくい作品である事も事実です。笑

ナイスレビュー: 3

[投稿:2017-02-27 17:59:13] [修正:2017-02-27 17:59:13] [このレビューのURL]

7点 paranaさん

神戸に移り住むことになった控えめで平凡な女子大生の
何気ない大学生活をエッセイ風に綴ったマンガ。

何のヤマもオチもないストーリーが多く雰囲気マンガの類であるが、
スクリーントーンを使わない柔らかな画風とマッチして
柔らかな雰囲気を醸し出し、
登場人物一人一人のキャラクターも良く出来ており
読み進めていくうちに不思議とその雰囲気に引き込まれていく。
舞台を神戸にしたのもよい。

柔らかな雰囲気のマンガながら
震災、人の死、障碍者、人種など重いテーマも扱っていて
柔らかな雰囲気が話があまり重くならないように中和してくれて
いい感じで心に響く。
1度読んでみて損はないマンガだ。
(泣ける度3★★★☆☆)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-02-07 09:29:09] [修正:2015-02-07 09:29:09] [このレビューのURL]

10点 チプルンさん

[ネタバレあり]

「人間賛歌」とはよく言ったものですね。

エンターテイメント性は低いです。
たまにとんでもなく地味な回があります。
もちろん日常を描いたエッセイ風漫画なので仕方無いですが、
とにかくここまで丁寧に人間ドラマを描いた作品は他に知りません。

人の死の受容の過程や、友情が育っていく過程が丁寧です。
キャラクター一人一人の言動に矛盾がありません。
こういう考え方、過去を背負っているから、
今このセリフが出るとか、読む度にその洗練さに気付かされます。

ある画家が死ぬ直前に一枚の絵を描き上げるエピソードが痺れました。


根本的に、辰木桂という主人公を好きになれるかどうかで、
評価が分かれてくる作品だと思います。


ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-01-01 22:45:07] [修正:2015-01-01 22:45:07] [このレビューのURL]

PR


<<前の10件
123456789

神戸在住と同じ作者の漫画

木村紺の情報をもっと見る

同年代の漫画

月刊アフタヌーンの情報をもっと見る