「レト」さんのページ

総レビュー数: 45レビュー(全て表示) 最終投稿: 2008年04月26日

この漫画に出合わなかったらジャンプを読むことも無かったと思う。天才によって描かれる天才達のシビアな世界を十二分に堪能できる作品。読者の予想の斜め上を行く展開、圧倒的な緊迫感の演出、脇役に至るまで魅力的なキャラ描写などが大きな魅力だが、個人的には大げさな演出や露骨なミスリーディングを極力排した演出も重要なポイントとして挙げたい。新人作家だとついつい画面の接写によるミスリーディングを図ったり、ドラマ(最近では特に回想シーン)を延々引っ張ったりすることも多いが、本作の演出はムダが徹底的に省かれており非常にテンポがいい。また、G.I編やキメラアント編などの一貫しないエピソードから単に思いつくままにエピソードを羅列しているようにも見えるが、ゴンの成長物語としてみると実に上手い具合に成長に合わせてステップアップしている構成である。キメラアント編ではこれまで以上に心理描写が色濃く、ゴンの精神的成長にも大きな期待が持てる。
追記:連載再開前なのでここまでの感想。ゴンが「精神的に未熟」だったことでこのような展開を迎えるとは・・  こうしてみるとゴンの良くも悪くも純粋な性格は全てこのシーン(そして後の受難)のための伏線だったように思えてくる。連載開始時こそ王道の少年漫画だったが、この作品はあえて王道路線を取ることでその枠組みを大胆に打ちこわしている(しかも実験に終わらずドラマチックに)。さらなる変化を遂げた作品世界でのこれからの展開に期待。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2008-05-08 18:13:15] [修正:2011-07-18 10:31:31] [このレビューのURL]

4点 ONE PIECE

長期連載してここまでの人気を誇る本作のカリスマ性は凄い。
壮大な伏線の張り方やドラマの作り方は確かに優れたものがある。
だが、やはり自分はこの漫画はどうしても好きになれない。客観的に見てその理由を挙げるとすれば以下の2つ。
一つはバトル漫画としては破綻しているところ。能力バトル漫画を装いながら結果的にはパワーバトル漫画になってしまっている上に個々のキャラの成長をまるで描けていない。また、「キャラが死なない」という設定もひたすら痛々しい勝負を演出したりしている時点でマイナスにしか作用していない。本作はテンションを保つのは上手いが、緊迫感を演出するのはド下手。
2つ目は作画の構成がいい加減であること。細密描写により画力が高いと評価されがちであるが、強調すべき箇所と背景の線が全く区別されていないためキャラを一々探す必要が出ることもしばしば。特にアクションシーンにおいてはアクションの迫力が背景に殺されてしまっている。映画で例えれば合戦シーンをアップでしか撮らない監督と同じ。新人作家は画力の向上を期待される存在でもあるが、本作はデビュー当初からなまじ完成されてしまっていたためか未だに成長の後は見られない。
最近は裏看板の「HUNTER×HUNTER」の片手間に読んでいる感じです。最終エピソードをバトルではなくドラマで締められれば評価は変わるかもしれません。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2008-04-26 18:51:46] [修正:2008-04-26 18:51:46] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

発想の奇抜さやめくるめく謎の展開は楳図かずおにも匹敵するものがある。世界観のダークさは「ベルセルク」にも似るが、雰囲気は真逆でコミカルかつ人間臭い作風。キャラクターの造形の親しみやすさのおかげでファンタジーでバイオレンスな世界観もわりかしすんなりと受け入れられる。十字目一派の台頭から俄然話が勢いづき先の展開が非常に気になる。ただ、魔法使いとホールの住人の間に揺れる差別感情はやはり見ていて心苦しい。登場人物が親しみやすいだけに人が蔑み憎み合うのがどれだけ愚かで醜い事かしみじみと考えさせられてしまう。仮に今後の展開で煙ファミリーが再興し、悪役扱いされた十字目が壊滅という終わり方になったら評価を下げてしまうかもしれない。そういった意味でも今後の展開に期待したい。

追記:23巻にて完結。雑誌移籍を繰り返してからは擁護しようもないほどにグダグダでした。せっかくのカイマンの正体に迫る展開も引き延ばしのせいでもはや何のインパクトもなく、キャラ同士がストーリーの都合で理不尽に殺し合う始末・・・ そして、散々引っ張った割にあっけなさすぎる結末。 既に次回作も決まっているので作者自身情熱を失っていたのでしょう。 結末はハッピーエンドではありますが、15巻あたりでこうなっていても問題のない必然性の薄い内容でこれでは壊を出してシリアス色を強めたのは全くの無意味だったと思います。
煙が死ぬまではお気に入りの漫画だっただけに、相次ぐ引き延ばしのせいで読者にも作者にも倦怠感の漂う状況で完結を迎えてしまったのは残念としか言いようがありません。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-06-08 12:51:50] [修正:2018-09-13 20:17:12] [このレビューのURL]

ひたすら読者の神経を逆なでし続けた漫画。
主人公は無責任なクズでメインヒロインは気遣いの出来ない暴力ヒロイン。
その煽りを食らって健気で努力家のサブヒロインは最後まで作者にイジメ抜かれるというカースト制度。
他のヒロインも多数登場しますが、終わってみれば本当に賑やかしでしかありません。
ジャンプのラブコメの中ではヒット作にあたりますが、この作者は本当に連載に向いてないと思います。
茶番を長々と見せつけられる苦痛ときたら・・・

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-06-10 08:39:55] [修正:2018-06-10 08:39:55] [このレビューのURL]

恵まれた境遇の高飛車で計算高い主人公と田舎育ちで夢に真っ直ぐなライバルという逆転の構図が面白い。ただ、恋愛描写が稚拙で評価を著しく下げてしまう。主人公二人のキャラもわかり易く成長を遂げていってはいるものの、デフォルトでの好感度の悪さを覆すには至らず。あと、漫画業界のリアルさに引き換え、声優業界の悪い意味でのステレオタイプな描き方はどうにかならないものか。
追記:タント以降の展開はもはや見るに耐えない。デスノートにも言えることだが、作者は引き出しが少ないようで引き伸ばし展開になると途端にボロが出始める。特に七峰編は作者のネットに対する悪感情が透けて見えるエピソードでご都合展開がとにかく目立つ。作者が手前勝手な主張のために作品を利用するようになってはもはや救いようがない。名作「G戦場ヘヴンズドア」と比べようとしていた人は当時の自分を恥ずかしく思うのではないだろうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-01-05 19:55:49] [修正:2011-03-16 21:25:25] [このレビューのURL]

これまで読んだ短編集の中でも本作は上位に入ります。F先生の鋭い先見性と観察眼、アイロニーが盛り込まれほのぼのとしたタッチも作品のテーマをシンプルに浮き彫りにしています。当時から鋭い切り口を持ったSF作品は手塚治虫を始め数多く存在しますが、わかり易さと時代を越えた普遍性では随一だと思います。特に倫理観を扱った作品が好きです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-11-09 12:58:46] [修正:2011-03-03 01:16:16] [このレビューのURL]

正直、ギャグ漫画として以上の需要はありません。スポーツ漫画としては登場人物が天才揃いなので「特訓」の描写に具体性がなく、また早くも設定がインフレし始めています。個性的なキャラクター、予想も付かない展開など岡本倫の持ち味は存分に発揮されており、ギャグは笑えるのですが・・ 最大の問題はオチをまとめるのが下手すぎるところです。「予想もつかない展開」とは書きましたが、それはおそらく作者にとってもであり展開自体は完全に行き当たりばったりな印象があります。おまけに収拾がつかなくなると毎回のようにご都合主義に走ってしまうのです。おかげで後の展開にも全く期待できません。最初は結構期待したんですけどね。
追記:投げやりな終わり方をしたので問答無用で減点。打ち切りに対する抗議のつもりかもしれませんが、読者まで巻き込むやり方は許せません。読者に対する裏切りとも言える行為は作者の信頼を大きく貶めました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-05-30 19:00:55] [修正:2010-12-16 18:46:23] [このレビューのURL]

ギャグはそれなりに面白いがシリアスパートは平凡でよくある娯楽漫画といったところ。
悪役の動機自体はシビアなものである一方、死者が一人も出ないなど全般的に毒気のない人間讃歌なので空気を読まないパロディも含めてどうしても安い印象を受けてしまう。
ドラマの物足りなさの一つとして挙げられるのが主人公の表層的な設定。努力でトップクラスまで登りつめたという設定だが、言葉で語られるのみで努力している具体的な描写がないため結果的に単なる天才キャラになってしまっている。
そこそこ楽しめる作品ではあるが、記憶に残るような佳作ではないと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-10-21 22:45:28] [修正:2010-10-21 22:45:28] [このレビューのURL]

7点 モテキ

一見少年誌のラブコメにありがちなハーレム状態ですが、そうは上手くいかないところがリアルで面白いです。主人公だけでなく、女性キャラも個性的ながらリアルな造詣で、心理描写も秀逸です。藤本のウジウジして卑屈なキャラはイライラさせられつつも共感してしまいます。本当は人当たりも良くてチャンスに恵まれているのに、自分に自信がないために受身の姿勢になってしまい恋愛まで発展しない。だからこそ藤本が思い切って行動する場面にカタルシスを得られます。最終的に亜紀とくっつきそうな雰囲気ですが、今後の展開次第ではさらに点数が上がると思います。ただ、読んでて幸せになれるようなラブストーリーが好きな人には向かないかもしれません。
追記:予定通り4巻で完結しましたが、結局中途半端な終わり方をしてしまったのは残念です。ちゃんと話をまとめ上げれば傑作にもなれたかもしれませんが、あの終わり方のせいで「時が経てば忘れてしまうような作品」止まりになってしまった感が否めません。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-10-29 12:00:37] [修正:2010-04-20 00:32:19] [このレビューのURL]

9点 レベルE

『幽☆遊☆白書』でジャンプ編集部と対立した冨樫のガス抜き的作品。短編集であるため、話はあまり広がらず幽白の仙水編やハンターのキメラ=アント編ほど重くはない。「天才的な悪人」ではなく「天才的な意地悪」を主役にしてしまったところが素晴らしい(笑)。読者の予想を見事に裏切る展開や、無駄なシーンが無くテンポよく進んでいく展開はいかにも冨樫らしい。食人鬼編の切ないラストでありながらベタベタのお涙頂戴演出を行わずにサラッとどこか哲学的にまとめるあたりも藤子・F・不二雄を髣髴とさせる。しかし、本作や『HUNTER×HUNTER』を読む限り冨樫はとことん「少年漫画的」な展開を嫌う漫画家であることが伺える。だからこそ「少年漫画の殻を容易く打ち破る」作品を描くことが出来る、今のジャンプ(と読者)にとっては貴重な存在なのだと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-03 03:34:12] [修正:2010-03-04 22:40:32] [このレビューのURL]

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