「まれら」さんのページ

総レビュー数: 112レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年02月12日

不条理漫画の分類を受けることもあるようだが、わざと難解に描いている風ではない。標題のプー太郎が登場する話などは、比較的オーソドックスなギャグ4コマだと感じる。
プー太郎・ネコ・兄弟などの各ネタはシリーズのようになっており、続けて読めば徐々に味わいが増していく。一番好きだったのは何と言っても「まくわうり刑事」で、「まえよっとまとってろ」のたった1行で、窒息する程笑った。
緩すぎず、毒すぎず、実にいい味わいの作品。同テイストの「大人袋」と共にお薦め。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-12-08 23:36:23] [修正:2007-12-08 23:36:23] [このレビューのURL]

世の中の事象は、原則として無意味である。無意味な出来事同士を結びつけ、そこに何かの意味を見つけたいと願うのが人間の悲しさであり、人間の人間たる所以なのだろう。
幸江とイサオを中心に、非情かつ無意味な日常が延々と語られるところまでは、どうでもいいギャグマンガだと思って読んでいた。しかし熊本さんという屈指のキャラを補助線として、無意味な日常はひとつひとつ次第に綴り合わされていき、やがて静かに輝き始める。作者がこの帰納的なストーリーづくりを念頭にして4コマという制約の強い枠組みを選んだのであれば、とんでもない才能である。
熊本さんとの再会シーンは4コマ漫画にあるまじきクライマックスだった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-12-07 00:30:32] [修正:2007-12-07 00:30:32] [このレビューのURL]

敵のインフレ化が酷い。過去の対戦相手がどんどんザコ化して行く。
前振りが長い割には、肝心の試合は原則としてワンパンチで終わる。前半(特に児童期)は、ボクシング理論らしきものも交えて展開されていくのだが、そのうち「ネーミングが凄い割には原理不明」な必殺技のオンパレードになる。
おまけにストーリーも奇想天外かつ行き当たりばったりでリアリティ皆無。

以上欠点ばかりをあげつらってみたが、そんなことがいずれも気にならないほどの熱さとパワーに満ちあふれており、今でも面白い。
やるならここまで徹底しないといけないという見本だと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-12-01 19:38:36] [修正:2007-12-01 19:38:36] [このレビューのURL]

そもそも絵日記漫画が出発点の作者であるが、その延長で、閉じられた世界観の中で描いているところが功を奏している。基本は郷愁系絵日記漫画であり、さくらももこのスタンスに近いものを感じてしまう。
新聞漫画の限界で、結婚シリーズ等で見せた毒が少ないのが残念。
標題は「あたしンち」であり、主人公はみかんなのだと思うのだが、どう見てもお母さんの独壇場。とはいえ、お父さんやユズピー、ケン、新田などの脇役も秀逸。(モデル実在の予感がする。)
爆笑ネタはそう多くないが、値段程度には楽しめるアベレージヒッターといった感じの作品。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-11-26 00:13:56] [修正:2007-11-26 00:13:56] [このレビューのURL]

短編集ではあるが、1本1本が丹念に練り込まれており、珠玉の出来。
特に標題作は最も幻想的な設定ながら、地に足が付いたような骨太の作品。行基様のくだりは畳みかけるような文章表現も見事。
川原作品はファンタジーだと思って読んでいるが、その中でも最も好きな1冊。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-25 00:54:27] [修正:2007-11-25 00:54:27] [このレビューのURL]

ギャグとして非常に面白い。いわゆる萌え系の漫画ではあるが、たとえそうでなくても漫画として成立している。
この手のギャグは、「面白い絵」で表現するのが古典ではあるが、ボケ役の美羽を筆頭に可愛い少女を並べ、日常的な風景で描かれる日常は、却ってシュールですらある。
いかにも今風の萌え要素と、比較的オーソドックスな笑いの構成の落差は、作者の計算のうちかも知れない。微妙に瓢箪鯰な印象を受けるが、それも笑いの要素か。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-21 19:23:21] [修正:2007-11-21 19:23:21] [このレビューのURL]

「ドラえもん」を読んだことのない日本人がどのくらいいるだろうか?現代日本漫画の代表作であることは間違いないだろう。いい歳をした大人の間でも、「ドラえもんの道具で何が欲しい?」といった論議が十分に成立するのはすごいことだと思う。
万人受けするストーリーは感動や爆笑といった類ではないが、あれだけのアイディアをコンスタントに描き続けた才能にはただ敬服するのみである。
余談だが、のび太のママの「なりませぬ」や静香ちゃんの「ヘ長調ね」など、本筋とは関係ない台詞に爆笑のツボがあることが多い。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-03-12 00:33:14] [修正:2007-03-12 00:33:14] [このレビューのURL]

平凡な日常の穏やかな時間を丹念に描いてあるが、決して退屈ではない。コマ運びが絶妙で台詞の端々が活きており、ギャグ漫画としても十分楽しめるが、やはり疲れた時に読みたい作品。
読者の追体験的な読み方を誘うような雰囲気があり、特に季節感の表現がすばらしい。
評価は高いようだが、アニメ化などすると「間」が死んでしまうだろうと思わせる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-02-19 19:27:33] [修正:2007-02-19 19:27:33] [このレビューのURL]

スピーディーかつマニアックなギャグと裏腹に、無意味に過ぎていく日々が語られていく。ちょうど自分自身が高校時代に読んだ漫画であり、実生活の想い出と共に郷愁を伴って記憶している。
同人誌感覚のギャグは好き嫌い分かれるところであろうが、結構好きだった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-02-17 23:51:25] [修正:2007-02-17 23:51:25] [このレビューのURL]

延々と繰り返されるパラノイア的な描写。オムニバス形式で語られる異様な状況がやがて一点に収束されていく。
グロテスクを通り越して滑稽にさえ見える画風は、決して上手いとか美しいとかいうものではないが、淡々とした筆致のせいか、さほど嫌悪感は感じない。
恐怖漫画やSF漫画の趣もあるが、むしろ前衛芸術を目指したような読後感を抱く。惜しむらくは結末が理に落ちすぎてむりやり終わらせたような感じがする点である。いっそ前衛に徹して突き放せば9点以上を献上できたかも。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-02-15 23:52:56] [修正:2007-02-15 23:52:56] [このレビューのURL]