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夏休み。 とある喫茶店で起こるファンタジー。 夏の間の思い出か、それとも夢か幻か。
暑さと、儚さと、どこか懐かしいノスタルジックさが同居した作品。

登場人物の多くが戦中の淑女だからでしょうか、会話が全般的に落ち着いた雰囲気でなされ、
そのために作品自体もどこか落ち着いた印象を受けます。
やっていることはドタバタなんですけどね。
現在と過去とを行き来する話なのですが、この手の話には必ずついてまわるタイムパラドックスに
関しても、工夫してうまく折り合いをつけていると思います。

現在から過去に行った時、あるいは過去から現在に戻って来た時、読者も一緒に時代のギャップを
感じてしまうような、絵柄の差異、感覚の差異、雰囲気の差異の付け方が秀逸です。
差異を意識しすぎているのか、最近は過去の描写がちょっとオーバーな気もしますが。

作中のところどころで「死」という漢字の使用を敢えて避けている場面があります。
その使い方は、読んでいて違和感を感じてしまうほど。
死が遠いところにあると思っている現代人たち。 既に死を経験してしまった彼女たち。
「死ぬ」 ではなく 「しぬ」 と柔らかい表現を使うことで示されるのは、「死」への実感の無さか、
「死」をもう二度と思い出したくない深層心理の表れか。

主人公の少年たちがひと夏の間にどんどん成長していくのも好感が持てます。
対して、彼女たちの人生は止まってしまった。 人生を謳歌する前に幽霊になってしまった。

「実は私 恋愛を経験する前に 空襲で死んじゃったのよ」
「私達が生きられるのは 夏の間だけなんだもの ……そんなの切ないじゃん」

「命短し 恋せよ乙女」 ですか…。
これほどこの言葉が似合う作品もないのかな。

「だから 生きてるあなたは 恋をしなよ!」
 

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-15 01:34:07] [修正:2010-09-15 01:37:00] [このレビューのURL]

現代でも世界各国でそれぞれ言葉、法律、慣習、常識、ありとあらゆるものが違います。
日本だって「日本全国」なんていう言葉が今でも残っているぐらいなので、
昔はいろいろな国の集合体だったんですよね。
東北の人と九州の人とでは会話すらもままならなかったらしいので、
そのぐらいに言葉や文化が各地域で異なっていたということなのでしょう。

それぞれの国、それぞれのムラで行われていた独自の風習。
そこで浮き彫りになるのは、皆でやれば怖くない、というのと、皆と同じことをしなければならない、
という二つの考えに支配された、排他的な発想。 集団意識の恐ろしさ。
掟を破ったものに対する「村八分」がそこに暮らす者にとってどれほど致命的か。

ただその風習も、そこで生活する人たちが必要に迫られたから始めたわけであって、
それを外部の人が見て「正しくない」なんて言っても余計なお世話なんですよね。
そもそも、正しい、正しくない、っていうのも、見た人の風習に則って判断しているわけですし。

「大切なのは そこに住んでる者が それで幸せかどーかだっぺ」

この作品に話を戻しますと、そんな日本の伝統を軸に、古来からの風習の恐ろしさを感じさせながら、
同時にしっかりジュブナイルもやっています。
漫画的な面白さを追求しながらも、作品としてのリアリティを崩さず、すっきり読みやすく、
展開の速いサスペンスとして読者を引き付ける構成の上手さ。
仲間として認められたとき、禁忌に触れたときの、村人の手のひらを返したような態度が印象的です。

まぁ小難しく考えなくても、町に生きる相浦とムラに生きる澄子との純愛物語として読むのもありです。

ラストがすごく良いですね。
一方で、こうやってまた日本からムラが無くなっていくんだな、なんてしみじみ考えてしまいました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-15 01:26:32] [修正:2010-09-15 01:27:07] [このレビューのURL]

10点 寄生獣

最初、グロいマンガのように思えたが、非常におもしろかった。
ストーリーもおもしろかったが、メッセージ性が強いマンガで、読み終わった後にちょっと考えさせられた。
主人公は常に我々と同じような普通の日常の環境におかれており、その中で話が進んでいくところもよかった。話が飛躍していき、スケールだけ大きくなって話の収集がつかないといったこともなくよかった。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-15 00:46:08] [修正:2010-09-15 00:46:08] [このレビューのURL]

8点 BIOMEGA

これぞSF。物語と共に広がっていく世界にぶっ飛ばされた。
地球上でのバイオハザードな展開だけでも十分楽しめたのに
紐状の48億キロメートルの構造物って…。

私見を述べれば、この作者の現時点の最高傑作は「BLAME!」だと思う。
真にエポックメイキングな作品である。
だが、それゆえに敷居が高いと感じる人もいるかもしれない。
もし、どちらもまだ読まれていない方がいるのなら
「バイオメガ」で肩慣らしをしてから「BLAME!」を読むことをオススメする。

本作自体は6巻構成のシンプルな作品だ。
しかし、そこに展開される世界はスピーディーで濃密。
エンディングの切なさも良い。(連載時に読んだ時は、一瞬頭が?マークになったけど)
作中で使われる「東亜重工」「CEU」などロゴデザインも
ロゴデザイナーもびっくりな繊細な感覚が反映されている。
とにかく見るべき点が多い。

センスがあってスタイリッシュってこういう作品のことを言うのだと思います。
某死神漫画の作者の方、聞いていますか?

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-14 23:34:51] [修正:2010-09-14 23:42:25] [このレビューのURL]

23巻まで続いていますが展開がめまぐるしく、全然衰えないですね。
唯一残念だったのは、霧島の性格が変わりすぎなのか、ミキの妄想だったのか、と思わせるような設定。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-14 22:13:12] [修正:2010-09-14 22:13:12] [このレビューのURL]

9点 寄生獣

日々、当たり前に感じている事に疑問を抱かされる作品。
生存とは?命とは?正義とは?人間とは?
パラサイト側の人間に対する認識がそれらを考えさせてくれる。

当たり前を当たり前に生きる人間、当たり前に人間を捕食するパラサイト、パラサイトに感性が近づく自分に苦悩する人間、人間の感性に疑問を抱きつつも次第に寄生した人間に対し友情を感じるパラサイト、人間を研究しパラサイトがどう生きるべきか思考するパラサイト、人間に絶望しパラサイトに与する人間etc・・・。作品に登場する様々な価値観はいずれも正しいわけでもなく、間違ってもいない。

色々と考えさせる事のある作品だが、ストーリーはよくまとまっているし何気に戦闘シーンも緊張感や絶望感を上手く演出している。

俺程度の分析力では大したレビューを書けないことが残念。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-14 20:49:23] [修正:2010-09-14 20:49:23] [このレビューのURL]

この作品はよく、同様に子供の無邪気な日常生活を扱った「よつばと!」と比較される部分があります。
確かに同じ年頃の、ちょっと変わった子供の日常を描いているという点だけみると同じように聞こえるのですが
2作品を読み比べてみると分かると思いますが、決定的に違う場所があります。
それは『誰の視点で話を描いてるか』ということです。

よつばと!の場合は、主人公のよつばにフォーカスしつつも、基本は周りの大人や友人等の、客観的視点から見たよつばの行動が描かれています。
一方、この作品では主人公のリューシカ自身から世界を見た、主観的視点で描かれることが多いです。

上の二つの違いを、ちょっと自分の子供時代の体験談で例えてみます。
子供のころ親と電車に乗っていたとき、自分の電車が停車しているすぐ横のホームから電車が発進したとき、親に「(ホーム側を指して)こっちの窓は止まってるのに、反対側(発進中の電車が見える方)は発進してる!どうして!?列車が分裂してるの?」と真剣に尋ねたらしいです。親は最初、何を言ってるのか理解できなかったそうですが、自分の言わんとしてることを理解して大爆笑したとか。
大人にとっては当たり前の常識が、子供の知識の上ではまだ理解できなかったんですね。

つまり、上の例でいう「子供時代の自分が、窓からの眺めだけで自分の列車が走っている」と思い込んでる部分が、『リューシカ・リューシカ』で用いられる視点。それを聞いて親が?と疑問に思ったり、話を聞いてツッコミをいれるのが『よつばと!』でよく用いられる視点です。

ですので、どちらの話が面白いか、ということではなく、『よつばと!』が楽しめる方ならば『リューシカ・リューシカ』も楽しめると思います。2つの視点両方から見るというのもなかなか面白いです。


それと、実はこの漫画、全ページフルカラーです。昨今フルカラーの漫画は非常に珍しいです。これだけのフルカラーで上質な紙を用いた印刷物を650円で出してしまうというのですから・・・非常にお買い得でもあると思います。
美術的な観点からみてもお勧めの一冊です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-12 18:13:55] [修正:2010-09-14 19:13:16] [このレビューのURL]

フォルムが鳥にしか見えない少年プンプンの成長を描いた作品。

上記の通り主人公とその家族はヘンテコな外見をしていますが、
それは彼らが物語の主人公であることの象徴のようです。
一見独創的なデザインのようにも思えますが、
それはむしろ絵は上手いものの、主人公足り得るキャラクター、
つまりドラゴンボールで言えば悟空や、スラムダンクで言えば桜木花道。
そう言った魅力あるキャラクターとそれ以外のキャラクターの差別化が苦手な作者の
上手な描き分け方法なのかな、とも思います。

そんなキャラクターが小学校から始まって
恋や挫折などを味わいながら成長していくリアルな作品です。
本当にリアルな分、人生の残酷さもリアルに描いています。

個人的には、小学校時代の物語は凄く好きだったのですが、
プンプンが成長するに連れてだんだんと暗くなっていった辺りから
微妙な印象になってしまいました。
昨今言われるような、所謂「深い話」「鬱」というやつです。
最終的にどんな落とし方をするのかにもよって、評価は大きく変わると思うのですが。

デザインは独創的ですが、絵が綺麗なので読みやすいです。
作者の色々な信念、考えなどがギュッと詰まった作品だと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-14 13:47:17] [修正:2010-09-14 13:49:03] [このレビューのURL]

ほのぼのまったり、そして時々クスッっと笑える漫画です。
あまり難しいことを考えずに読むととても楽しめると思います。

ただ大体のキャラクターの顔が同じなので、若干読みにくかったりもします。
巻数を重ねるごとにネタが尽きていくのか、新キャラがどんどん登場してくるので上記の欠点が浮き彫りになってきてしまっています。

それでもこの独特の雰囲気漂う漫画は是非御一読あれ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-09-18 02:01:46] [修正:2010-09-14 13:10:19] [このレビューのURL]

寿司を題材にした漫画で職人世界や寿司ネタに関する記述が濃い。これだけでも読む価値はあろう。
ストーリーは一話完結、時折数話続くことがある。
一話完結は人情物が多い。説教臭さが鼻につく。まれに理不尽と思われる展開もある。ありえないほど偶然が重なる展開が非常に多い。
作画はかなりくどい。旬や親父などは激しく熱血漢であるが、中年女性は押並べてバケモノじみていて苦手である。
可も不可も多、といったところ読んでて辛い部分がやや勝ってるので4点。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-14 02:54:02] [修正:2010-09-14 02:54:02] [このレビューのURL]

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