「クランベリー」さんのページ
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自分でも忘れた頃に現れます。
気が付けば私も随分と古株のレビュワーになってしまったようです。
私がレビューし始めた頃に活躍されていたレビュワーさんたちは今頃どうされているんでしょうね。
特に好きだったレビュワーさんは、とろっちさん、橙木犀さん、白い犬さん、ヨノナカさん、いーらびさん。皆さんまたこのサイトに戻ってきてくれるといいな。

がんばって読んでみた。
ここのレビューに限らず、「彼女の作品の面白さを理解できない人は漫画好きとしてどうかと思う」みたいなメッセージが暗に込められた論調が各所でまかり通っていて、読む前から息苦しくてやだなーって思ってた。
で、がんばって読んでみた結果は点数のとおり。
前作「虫と歌」は私には全然ダメだった。「作者のセンス」なんていう言葉でうまく誤魔化されてはいるものの突拍子もない素材を並べ立てているだけで、結局は作者と共感すること、しかも読者の方から歩み寄って作者のいる高みまで登り詰めていかなければいけないような作品に思えた。
そんな私だったので、この作品が私にとって作者への適合性を問う試金石のような形で読んでみた。そしたら、あらなかなか面白いじゃないの。
前作よりもずっと読みやすかった。と同時に、前作ではさっぱり見えてこなかった作者の特徴がやっと私にも見えた気がする。
この作者、すごく照れ屋なんじゃないのかな。だって、全3篇のうちちょっと趣向の違った真ん中の話は置いといて、他の2篇はすごくシンプルなお話だったから。
根幹にあるのがすごくシンプルでストレートなお話で、でもそれをストレートに表現するのがこっぱずかしくて、「貝殻になった女」とか「皮膚に穴が開く奇病にかかった月の王子様」とかそういう突拍子もない設定でカモフラージュしているだけなんじゃないかって。
だから世間ではそういう突拍子もない設定、すなわち「作者のセンス」を喜んで評価している人が多くて、それはそれでいいと思うんだけど、私はそれを剥がしていった中にある根幹のお話が面白かった。
姉と弟のそれぞれちょっとベクトルの違った優しさだとか、姉の偏屈な愛情とそれを受け止める弟の大きさとか。
「虫と歌」では根幹のお話を覆う殻が分厚すぎて話がさっぱり見えなかったのに。
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[投稿:2012-05-04 23:00:50] [修正:2012-05-04 23:00:50] [このレビューのURL]