「頭突き串の寿司」さんのページ

総レビュー数: 99レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年09月14日

「点子はとりわけ駆け上がるのが得意だった」という独白から始まる表題作がお気に入り。

「珍奇・奇天烈 絶滅危惧種 僕の点子」
「僕がなんでも教えてやるさ カナをふろう 辞書をひこうーー」
「あたしのこれまでのボーイフレンド みんなテールランプ派だったの」
「あたしヘッドライトのほうが好き」
「そいで あなたのこたえ聞いて あたしあなたしかいないと思ったわ」

セリフがいちいちツボなんだよなあ。

ドラマみたいな展開に憧れる、独りよがりで愛おしい女の子が頭のなかで思い描いたような、そんなお話たちだ。
売野機子はその絵柄やキャラ造形から、"古き良き少女マンガ"として語られることが多いようだが80〜90年代の少女マンガというものに触れていない私からすると新鮮に感じる。
これってある種、普遍的だっていうことなのではないかな。
作風を古く似せてあるのに(わざわざ似せたわけではないかもしれないが)今の時代においても受け入れられる。
作者の絶妙な感性がなければ不可能なことだ。

収録されている短編には、百合やBL風味、SFっぽかったりするお話も。
本の装丁ひとつをとっても恐ろしいほどかわいい。
抱きしめたくなるような一作。

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[投稿:2013-08-31 01:06:40] [修正:2013-08-31 01:08:34] [このレビューのURL]

幻の島を目指す海洋ロマン、古い家屋、飛行機。
宮崎駿が好きそうだよな。(いや実はジブリそんなに知らないけど…)
主人公の田舎臭さにもジブリっぽさがある、ように思うけど。(見当違いだったらごめんなさい)

相変わらずの画力で、読んでいるとなにもかも忘れて作品世界にトリップしている気分になる。
島の街並み、メカの細部、雲に映る飛行機の影、一コマ一コマに見入ってしまう。
そしてストーリーは続きが気になる王道展開。

こっからはちょっと批判…というか文句。
冒頭の数ページは雑誌掲載時カラーページだったのだろうが、ただでさえ寡作の鶴田氏なのだからそこは惜しまないで単行本でもカラーで再現してほしい。

あとオビに「何度でも、瑞々しい。」っていうアオリが入ってるんだけど…
何度でも、っていうのがちょっと皮肉っぽくて笑ってしまったw
アフタヌーンでちょこちょこ続きを描いていたが単行本として出るかは甚だ怪しい。
もう鶴田謙二は設定だけ変えて新しい女の子を描きまくればいいのでは?とさえ思ってしまう。
…いや、ダメか。

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[投稿:2013-08-31 01:04:51] [修正:2013-08-31 01:04:51] [このレビューのURL]

ソ連を模した架空の国・アゲゾコ大公国の兵站軍を舞台にした物語。
主人公はデスクワークが得意な女性少尉で、「責任問題です!」が口癖のお硬いお役所人間。

前線では戦わず、物資の輸送や補給などの後方支援が任務の兵站軍を主役に据えたところに惹かれた。
コロコロしたかわいらしい絵柄も好み。

作者・速水螺旋人氏の"魂の祖国"であるロシア(ソ連)を舞台としながら、一見マニアックに見える兵站の仕事もコメディチックに描かれていて読みやすい。
しかし読み終わったところで「ふーんこういうのが好きなのね」という感想しか出てこない。
ミリオタ読者の支持は得られるかもしれないが、ミリオタへの入り口にはなりにくいといった感じ。

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[投稿:2013-08-31 01:03:24] [修正:2013-08-31 01:03:24] [このレビューのURL]