「shun」さんのページ

総レビュー数: 60レビュー(全て表示) 最終投稿: 2014年07月14日

プロットはとても良く、エピソード集としてはいくつかとても良い話があったように思う。
しかし主人公の物語との関わり方が物足らなく感じてしまう。
素材は良いのにうまく活かせなかったパターンだ。

画は作風とあってはいるが、感情表現の魅力があればもっと物語を深くできたと思う。

やはりトンデモ設定だが、それによる状況と人々の感情・環境の変化は面白い。
主人公が良い意味でリアル、悪い意味でつまらないため、物語にメリハリがつきにくかった。
最後くらいもっと派手な展開にしても良かったのではないだろうか。
最後の終わらせ方も強引かつ物足りず、もったいないなと思う終盤であった。
終盤の展開が、受け取り方によっては、プロパガンダ的な展開にもなるので、
そこに引っかかる人がいるのもわかるが、特に扇動されるような内容でもない。

展開に粗が多いが、トンデモ世界の出来事として納得できた。
全体的には死を自覚した人々のエピソード集として、飽きずに楽しめた。
期待を大きくしただけに、点数よりは厳し目のコメントになってしまったが、エピソードの平均点は高く、そこは評価したい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-09-13 11:34:09] [修正:2016-09-13 11:34:09] [このレビューのURL]

6点 幽麗塔

[ネタバレあり]

評価することが難しい作品。
終始一貫した敵である死番虫の不気味さや、強敵さを終盤まで構築できたのに、
二話ほどで手放す謎展開。まるで死番虫の正体が消去法で決まってバツが悪いかのような幕引き方。
終盤から性的マイノリティの話にシフトチェンジして誤魔化しているような印象で、
サスペンスとしてかなり物足りない。中盤も必要性を感じないケシ栽培の村の話でダレるし、
週間連載が故のブレなのかなと感じた。

絵は少しだけ癖があるが、全体的に妖艶で迫力のある絵柄。
背景やその他の描写も舞台装置としては十分に機能している。

かなり頻繁にトンデモ展開を混ぜてくるが、全ては状況をつくり上げるためと割り切っている印象。
24時間潜伏する薬物で、時間内に解毒剤を・・・とか、
実は誰々は血が繋がっていて・・・とか、
サスペンスにありがちなストーリーとトンデモなファンタジーを散りばめた世界観に、
いい加減にしろと思わなくもない。
しかし物語を盛り上げるための展開と、キャラクターの変態性と質感たっぷりの絵柄で、
物語に引き込む力がある。
歪ながら風呂敷はたたみきっているし、道中のドキドキ感やテツオの魅力は楽しめた。
読んで損はしない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-02-10 11:34:17] [修正:2016-02-10 11:34:17] [このレビューのURL]

これまで給料を主眼として描いた漫画はなかったように思う。
それも左の中継ぎという、先発転向も抑えも考えられる立ち位置と、
成績も微妙な投手というスタートにすることで、読者にとってリアルな金銭的感覚に落とし込めている。
主人公の周りの成功者と脱落者を描くことで、両方のエピソードを面白おかしく紹介するスタイル。
グラウンドに銭は落ちていると言いつつも、成功者の野球選手の周りには銭はグラウンド外でも銭は落ちているし、
脱落者もグラゼニは拾えなくとも生きていくという両面と、まだグラゼニをつかめる主人公という構成は面白い。

画ははっきり入って、うまくはない。しかしこの漫画はスポーツ漫画ではなく、
ビジネス漫画・もしくは野球職業漫画であり、重くもない若干デフォルメされたキャラ達は
特に問題とは思わなかった。
それでもここ一番の表現力のなさは気になるところではあり、成功時のカタルシスと
絶望感の表現をもっと深くできれば、よりドラマチックに起伏あるストーリーにできると思う。
淡々とした作風は良さの一つでもあるが、もっと作品に入り込みたかった。

一端の結末を迎えたが、次章へ続くという終わり方。
正直、結末の移籍球団の決断までの持って行き方は強引であり、移籍した球団内のいざこざを描きたいのは明白。
その決断に至る土台作りにあと一話欲しかったのが本音。それでも続編には期待する。

1軍2軍を行き来する選手たちのストーリーの面白さと、成功者・脱落者のその後を描き、
スポーツとしての面白さではなく、職業としてのスポーツ選手の面白さの表現は、
野球漫画だけでなく、新しいスポーツ漫画の描き方だと評価できる。

ところどころに入る、主人公の高校時代のエピソード回は冗長であり、単行本のおまけくらいの内容。
もっと簡潔にするか、もっと内容を充実させて欲しかった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-02-09 10:32:51] [修正:2015-02-09 10:32:51] [このレビューのURL]

6点 女帝

[ネタバレあり]

成り上がりストーリーとして、かなりご都合主義といえる内容だが、それぞれの物語に爽快感があり、
痛みを感じつつも、女帝の手柄にという落とし所は、毎回上手いと感じさせられる。
お世話になった人が死んでいくのは、かなりパターン化してきたが、
それで無理やり次のステージへ移行しているので、仕方のないところか。

連載時期よりもさらに古臭く感じる絵柄だが、大人の読み物としては適していると思う。
掲載誌の問題か、見たくもないサービスカットが多々あり、マンネリ感を増している。
女性の描き分けも問題ないが、華やかさは現代の漫画からすると劣る印象を受けた。

後半は物語を進行させるネタがなくなっているのを感じる。
父親関連の話は、さすがにドラマチックすぎてリアリティに欠けたが、
物語を終わらせる為には、あのくらいの山があってよかったと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-12-11 14:07:39] [修正:2014-12-11 14:07:39] [このレビューのURL]

私の漫画の評価基準だと高評価にはできない。

ロボットの造形はオリジナリティあふれているが、
特異なだけで、私には魅力的には映らなかった。
動きの表現が乏しく、何をしているのか漫画では全くわからない。
攻撃手段の説得力が全くなく、すべての機構がご都合主義のように感じた。

キャラクターの描写にかなり癖があり、みな生気が感じられない。
体型がヤセ型のキャラクターが多く、キャラの書き分けや性格付けがイマイチで、
キャラが立っていない。はっきり言うと、キャラクターデザイン・服飾がダサい。
太っているキャラも、栄養失調のように見える。

家族構成やキャラクターの置かれる環境をベースとして、物語は進行していくが、
それぞれのストーリーは、人によっては感じる所があるかも知れないという内容。
個人的には、単なるショートストーリー集にすぎず、もっと全員のストーリーが絡むような、
壮大な仕掛けを期待していただけに、フィクションでありながら中途半端なように感じた。

伏線や種明かしのタイミングなど、よく練られているところは散見されるが、
それが物語を盛り上げることにあまり貢献していない。
翻弄される子どもたちのリアクションがとても薄く、心に響かない。

なにより作者の表情乏しい表現力で、全体のメッセージの強さが半減してしまっている。
コエムシなどは、もっと業深い存在にすべきだと思うし、
死にゆく子どもたちの絶望感や虚無感がもっと欲しかったと考えるのは、物語の抑揚を欲しがり過ぎだろうか。

世界観も止まった世界のような印象で、漫画的表現を嫌ったのか、すべてが薄く冷たい。
違う演出家の手で料理されればと思える内容なので、今後アニメを見る価値はありそうだと感じた。

思春期に読むと、もっと心に響いたかもしれない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2014-09-21 14:14:50] [修正:2014-09-21 14:14:50] [このレビューのURL]

前作燃えろペンに比べ、だいぶファンタジーフィクションに寄せた内容となった。
特に前半は迷走しているのがよく分かる。迷走していながらも一定の面白さを保っているのは作者の実力。
無駄な大ゴマや見開きがあるが、個人的には面白さの一つとなっている。

屁理屈を熱さで突き通す熱量は、作者もホントにそう思っているんじゃないかと感じさせ、作品とは別の角度で面白い。
しかし月間連載ということも有り、1話で起承転結を繰り返す内容は熱さも伴い胸焼けしてくる。
さすがに食傷気味になってきた所にライバルキャラが出てきて、一気に盛り上がりを見せた。

終盤は連載を集結させるために無理やりまとめた感もあり、少し消化不良ではあったが全体として楽しめた。
しかし、激アツ激辛の珍味なようなもので、好き嫌いは分かれると思う。

画は現在では珍しい入り抜きしっかりした書き筋で、筆や効果を巧みに使っており非常に濃い。
多少古臭さは感じるものの、デフォルメから写実的まで幅広く描写ができて漫画が上手い。
漫画の描き方が理論派で、色々計算して書いてあるのが作中からも画からも読み取れる。

作者の漫画への愛が大いに感じられるこの作品は、漫画読みとして感慨深いものがあった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-08-29 16:59:31] [修正:2014-08-29 16:59:31] [このレビューのURL]

ヤンキー漫画は普通の漫画を見る回路とは違う回路で見なければいけない。

すべて、「ヤンキー漫画の中では」という前文句がつくが、
画は最先端を行っていて、見やすさ迫力では申し分ない。世の不良が憧れるのもわかる。
キャラクターの魅力や世界観も、作者の思うカッコイイ像が一貫しているためブレがない。
話が進むごとに、周りのキャラクターの魅力が出てきて、話に厚みが出てきた。
作者イチオシのバンドのアピールには辟易したが、それも慣れれば暖かい目で見れた。

作中のキャラの強さには裏付けは全くないが、根性と覚悟で全て納得させる
作者の思いの強さを受け入れる事ができれば、素直に楽しめると思う。
ある意味これも雰囲気漫画か、熱さや不良的なカッコよさを感じるには十分な作品。

しかし決して冷静になってはいけない。カッコイイ言葉や人物が一気にスカした言葉や野郎に成り下がる。
どれだけこの世界に入り込めるかの想像力か、素直に受け入れられる空っぽの頭があれば、楽しんで読めるはず。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-08-06 11:48:13] [修正:2014-08-06 11:48:13] [このレビューのURL]

6点 結界師

全体としてはまとまっているが、設定の面白さに作者の器が応えきれなかった印象。
前半、だんだんと面白くなる展開に読者のハードルが上がったのかもしれない。
主人公の凄さの表現が、「淡々とやっているけど、実はスゴイ」で留まり、
誰が見てももの凄い実力。という表現ができなかったのが残念。
能力の性質上難しかったと思うが、わかりやすい必殺技的なものが欲しかったところ。

キャラクターデザインも地味で、ヒロインも少しは可愛いが、落ち着きすぎて物足りない。
動きや構成は問題ないし、話だけがまとまっていて、あとは画力と迫力さえあれば、というところ。
中盤から終盤にかけて、大きく盛り上げることができれば、名作になりえたかも知れない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-08-06 11:08:50] [修正:2014-08-06 11:08:50] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

主人公が競艇を知らないところから、読者とともに競艇を学んでいく流れは秀逸。
序盤は主人公がスーパーマンすぎず、中盤からかなり主人公が目立っていくが、
モーターの当たり外れや、ベラグループの師弟関係で、競艇の難しさがわかり、
怪我の展開を入れることで、競艇選手の奥深さをうまく表現できたと思う。

終盤、賛否両論の恋愛要素が混ざるが、メインヒロインの魅力をうまく表現できてないので批判は必至。
しかし青島とくっつけても遺恨が残る。
エピソードが少なすぎて、思い入れが少なくなってしまった。
あのラストにするには、最後のレースの役者を揃えるために蒲生のくだりを入れるよりは
メインヒロインの深堀りを入れても良かったのでは。

しかし競艇をこの漫画で知り、実際の競艇に興味が出た人も多いはず。
それだけでもこの漫画を評価する価値がある。
盛り上がり箇所も度々あり、全体として楽しめる競技漫画であった。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2014-08-06 10:55:12] [修正:2014-08-06 10:55:12] [このレビューのURL]

ジャンプの低迷期の入口を支えた屋台骨的な作品。
わかりやすい必殺技、オーバーリアクションや動きのわかる構図など、
少年漫画としては京都編までは、熱さを伴った良い作品。

その後も要所要所で盛り上がりは作るが、敵キャラの魅力が無いため、
もったいない仕上がりになってしまった。

キャラクターモチーフをモチーフ元に寄せすぎてしまうのはいかがなものか。
モチーフというよりもパロディに近く、緊迫した世界観を悪い意味で壊す存在になっている。
物語終盤は、正直お遊びが過ぎたという印象。

しかし、引き伸ばしすぎずよく書ききったと、最近のジャンプ漫画を読んで再評価したくなった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-07-28 17:15:25] [修正:2014-07-28 17:15:25] [このレビューのURL]

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