「punpee」さんのページ

総レビュー数: 104レビュー(全て表示) 最終投稿: 2016年02月06日

最近になり、全17巻の新装版セットで購入。

実は手塚治虫先生の作品は読みにくかったり、ギャグのセンスも好きじゃなかったり、
何より過去にこの作品や火の鳥に触れて、「気持ち悪い表現の多い作家だなぁ」という、一種のトラウマに近い不快感を覚えてしまいました。

実はその印象は拭えてなくて、この作品でも下記エピソードは異常というか、倫理的にも表現的にも気持ち悪いものがあります。
1巻 「人間鳥」。これは狂気を感じる異常作。
3巻 「化身」。異常作。

また、ブラックジャックが医者の良心という語られ方も納得がいかない。
中には「それ、人としてどうなの」という行動や判断をしている箇所が多数あります。
それらも結果的に良い結末、解釈になったというだけのものがある。
要するに結構ブレてるんですよね。

ただ、これだけののレビューがありながら、私の上記の様な意見はほとんど無いので、多分私がひねくれてるだけです。。。

ただ、一話完結スタイルでは高クオリティなのは素晴らしいと思います。
下記エピソードは本当に秀逸で、短いページ数でここまで素晴らしいドラマが生めるのかといった感動もあります。

1巻 「海賊の腕」 傑作です。
5巻 「なんという舌」
6巻 「おばあちゃん」 等

ナイスレビュー: 4

[投稿:2016-12-05 21:44:16] [修正:2016-12-05 21:44:16] [このレビューのURL]

10点 神戸在住

神戸の大学に通う女の子の、4年間の日常を切り取って綴られた作品。
とんでもなく平凡な日々の中に、本当に多くのドラマが詰まっている。

震災の様な大きなエピソードはもちろんの事、
父との外食や、弟が一人暮らしを決めた夜という、一見地味だが現実的なエピソードを、読み応えある一話にしてしまう作者の文章力と構成力には脱帽。

特に、大学4年間という時間の流れを非常に巧みに使い、キャラクターの精神的な成長の過程を丁寧に描いています。
身近な人間の死の受容、友人との距離の縮まり方等。
主人公の髪型も、ゆっくりゆっくり伸びていってますからね。笑
「ヨコハマ買い出し紀行」も同様、時間の流れって、それだけで大きなドラマの要素になるんですね。


特筆すべきは、この作者が男性だという点に驚いてしまった程、女性主人公の描写が丁寧です。
それはこの作者の後に続く作品も同様ですが、焼き鳥屋店員なら焼き鳥業界の、ボクサーならボクシングの、柔道部員なら柔道の、
それぞれのテーマに関する知識や技術等の描写、解説が非常に繊細で丁寧な事から、作者の真面目で研究熱心な姿勢が伺えます。

この作品には人種や性、障害等のあらゆる差別もテーマの一つとしてり、メインでないキャラクター達にもそれぞれの葛藤、反省、覚悟が描かれています。
これらの描写も、前述の理由から、いい加減な気持ちでテーマに組み込んでおらず、読み応えがあります。

個人的には素晴らしい良作なのですが、
地味すぎるという点と、キャラクターや世界観に慣れる前の序盤の敷居の高さから、人にお薦めしにくい作品である事も事実です。笑

ナイスレビュー: 3

[投稿:2017-02-27 17:59:13] [修正:2017-02-27 17:59:13] [このレビューのURL]

7点 ONE PIECE

この作者は、自分なりに「少年漫画とはこういうもの」という定義・信念を持っていて、それをブラさずに貫こうとする姿勢は好きです。

絵の描き込み量やカラーの美しさ、細かい遊び心や読者との交流も含め、全然手は抜かないですよね。

ストーリーを作る力も非常に高いものがあると思うのですが、
ロビンの過去エピソード以降は明らかなパワーダウンを感じます。

また、この作品のバトル描写はとんでもなくつまらなく、正直苦痛です。
大きな敵をルフィが最後にやっつけるパターンは、冗長な展開で溜めに溜めたストレスがあるので、多少のカタルシスは感じられるのですが…
バトルに一番大切な「緊張感」が欠如しています。

それでも壮大なストーリー、多く眠る秘密、張り巡らされた複線の行方を考えると、終結に向けての期待はしています。
終わりまで付きまとうであろうバトルシーンの苦痛も覚悟の上です。
なんだかんだ大物キャラは雰囲気や魅力もありますしね。

何より80巻近く所有しているので、こち亀やはじめの一歩の様に、よく考えると惰性だという事に気付き、手放す結果にならない事を祈りつつ。笑

ナイスレビュー: 3

[投稿:2016-02-06 15:43:00] [修正:2016-02-06 15:43:00] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

個人的に生き生きしている頃の荒木先生の作品です。

ただ、作者自身も語っている様に、基本的にはアイデアは長編(連載)用に取っておくので、
そこから外れたしょぼいアイデアを、持ち前の勢いと演出力で膨らませた様な短編ばかりです。笑

それだけのネタでそこそこの読み応えにしてしまう辺りは流石です。
何て事ないテーマを色んな角度から膨らましながら一つのネタにしてしまう、ガキ使フリートークの松本人志の様な感動はあります。

褒めてるのか褒めてないのか分からないレビューになりましたが、
「岸辺露伴は動かない」は傑作だと思っています。
ジョジョ4部でたかがジャンケン描写を異様に盛り上げた様に、ポップコーン食べにここまで緊迫感を持たせるのか。。。と、当時の衝撃が忘れられません。


装丁も凝っていて素敵です。
カラーページも再現してますし、良い買い物でした。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-07-31 19:58:17] [修正:2017-07-31 19:58:17] [このレビューのURL]

この作品は、大人になってからもう一度読みたくなって、藤子F不二雄完全版コレクションの中の、「大長編ドラえもんシリーズ」セットをまとめて購入しました。

分厚い完全版で、一冊に3作入り、全6巻で藤子F先生が携わった17作品が入っています。
紙質も良く、カラーページも再現、藤子F先生の意向を尊重しての加筆修正も反映されており、素晴らしい買い物になりました。

キャラクターの掛け合いが本当に面白い。
ドラえもんはよくのび太を馬鹿にするし、のび太はのび太でドラえもんをよく馬鹿にする。
スネ夫がたまにジャイアンに生意気な口を聞いていたり、ドラえもんはたまにママに敬語だったり、キャラブレのラフさも面白い。笑

また、原始時代、宇宙、魔境、海底、魔界、動物の惑星、雲の上、絵本の中、
あらゆる世界観を表現しているという点でも、表現力の幅を感じます。

私のベストは雲の上の王国です。
子供向け映画なのに、環境問題を訴え、ラストはバトルではなく、ディベートで終わらすというお見事な締め括り。
また、中盤からドラえもんが故障して完全にポンコツになり、人間サイドのみでの主張だったので、良かった。
終始ドラえもんを守り、介護したのび太。二人の友情にも胸が熱くなりました。

ちないに、ねじ巻きはF先生の逝去もあり、明らかに絵柄が変わっていたので、読んでいません。。。


とにかく、漫画好きな人はもう一度藤子Fに立ち返ってみましょう。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-02-27 18:01:31] [修正:2017-02-27 18:01:31] [このレビューのURL]

ダメ人間やタチの悪いDQNがいっぱい出てくるという点に、エンターテイメント性を感じます。
バトル漫画における「次はどんな新しい敵が出てくるんだろう」という感覚で、
「次はどんなダメ人間orDQNが出てくるんだろう」というワクワク感があります。

読み手の日常がこういう世界から遠ければ遠いほど、
家のベランダから遠くの花火を見る感覚で楽しめるのではないかと思います。

たまにまったく無関係の一般カップル等がDQNにレイプされたり、電車内で遊び半分で唾を垂らされたり、
理不尽なシーンがあると不快にはなります。。。


なので基本的には上記以上でも以下でもない、暇潰しには良い作品だと思います。
しかし、コナンと一緒で、全体のストーリーに影響がある展開になると、緊張感が走ります。
特に主役のウシジマは結構ブレが無く、3部の空条承太郎に近いクールさと情熱、無敵チートを備えているキャラなので、
ピンチのシーンは見応えがあります。

また個人的に、この作品に出てくるC級グルメは、試したくなります。笑
あと、単行本のカバー絵が毎回似ているので、重複の購入には注意して下さい。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-12-05 21:32:30] [修正:2016-12-05 21:32:30] [このレビューのURL]

元祖・漫画家漫画。バクマン。の二人は、計算高すぎて鼻に付きますが、
まんが道は言わずもがな両藤子不二雄がモデルになっており、キャラクターへの不快感ゼロ。
不快感があるとしたら、武藤と初期の日上のみ!

それにしても主役2人が非常に愛らしいキャラクターでたまりません。
彼らは真っ向から、王道を愚直に描き続けます。
友でありライバルだという関係性が2人を強くしたのですね。

また、当時お二人が描かれた作品がそのまま掲載されており、当時の漫画文化を感じて面白いです。
決して当時の漫画自体が面白い訳ではないので、悪しからず。笑
やはり時代性があるのでね。。。

昔から藤子F先生は夢のある作品を描き、A先生はコンプレックスをぶつけたり、現実主義な作品を描いている風潮が伺えるので、興味深いです。
特にF先生の、ライオンと子鹿の作品はめちゃくちゃ優しい。笑

手塚治虫や寺田博雄、当時まんが道を真剣に目指した仲間との出会いが、本当にドラマティックです。
つくづくこの時代の漫画家は純粋に、真剣に漫画に臨んでた事が分かります。
「邪道漫画を目指す」なんて発言したら、テラさんに「ばかっ!!」と一蹴されますからね。

とにかく、過去の漫画家さんにリスペクトのある方、
漫画通(を名乗りたい)という方は必ず通るべき道でしょう。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-06-28 21:55:28] [修正:2016-06-28 21:55:28] [このレビューのURL]

最凶最悪の道徳の教科書。
これでもかというリアリティ溢れる痛みの表現に、読み手も想像力を働かさずにはいられない(はず…)。

おそらく、まともな方はこの作品に多少なりとも嫌悪感を抱くのではないでしょうか。
残酷性だけでなく、ゴチャゴチャして情報量が多く、癖がありスロースターターな作風も相まって、作品に入り込む敷居はかなり高めになっていると思います。

しかし、これは例えば「殺し屋1」の様な、娯楽暴力漫画等とは性質そのものが違います。
作者のメッセージや問題提起は、キャラクターによってきっちり代弁されています。

めちゃくちゃ当たり前の事を言いますが、読み手がまず敷居を跨げるか、
そしてこの物語やメッセージをどの様に想像、解釈出来るかで評価が分かれてくると思います。
「そんなに小難しく漫画を読みたくない」という方はスルーしていい作品です。

また、低評価を付けられている方を軽んじている訳では決してありません。
(私も、世間的に評価されている「風の谷のナウシカ」を、前述のゴチャゴチャした読みにくさという点で、思考停止してしまったクチなので。)


色々書きましたが、作品そのものの性質としては、「寄生獣」とも変わらない気もする、崇高なテーマの作品だと思っています。
そして特筆すべきは、この作者は時代の先見性に優れ、キャラクターやセリフが洗練されています。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-06-28 21:49:46] [修正:2016-06-28 21:49:46] [このレビューのURL]

こんなに面白い漫画、今の今まで見逃してたんだ…ってくらい、出会えて良かった作品。


バレエがテーマではあるけど、心理描写やキャラの成長の過程が非常に丁寧。
初っ端からドロドロしてたのが、良い掴みになっている様に思います。

所見こそ、淡白な絵や、セリフやリアクションから古臭さを感じたのが正直なところですが、
主人公の魅力やストーリーに夢中にさせられたので、2巻くらいからはまったく気にならずに読めました。
キャリアが長いだけあって、本当に実力のある作家さんだと感じました。(偉そうにすいません。)

色々衝撃的な展開だという前情報だけあったのも影響してか、最後まで緊張感持ちながら見れました。

この作者を一気に信頼しちゃって、日出処の天子やアラベスク、テレプシコーラ2部等、主要作品を買い揃えちゃったのですが、
絶版されているものも多く、ネット以外での入手難易度が高かったです。。笑

じっくり読んでレビューを増やしていきたいと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-06-21 22:43:51] [修正:2016-06-21 22:43:51] [このレビューのURL]

漫画から派生してアニメ、映画、ゲーム、ガシャポン、カードダス、様々な媒体で熱狂してきた思い出補正が強く、最も評価が難しい作品です。

絵の上手さ、
シンプルな設定、
コマ割りのセンス、
カラーの美しさ、
キャラの分かりやすさ(裏表が無く、悪く言うと思考の浅さ。笑)、

何よりこの作品は、フォルム(デザイン)の格好良さが半端無いですよね。

ドラゴンボールの美しさ、
超サイヤ人のデザイン(個人的には3が至高)、
ナメック星の世界観(色合いもなんか凄い)、
ナメック星での戦闘服、
漠然としてますがピッコロのデザイン(色やターバンやマント)、
フリーザ、セルのデザイン、

それらが時間、国境、文化を超えて人々を魅了している原因の一つだと思います。

個人的に、フリーザ編以降は惰性です。

あと、この点数は、
カラーの美しさやサイズが大きい事での迫力アップ等を踏まえた、完全版での点数です。

通常版なら6点。まぁどうでもいい事ですが。笑

ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-02-20 22:18:26] [修正:2016-02-20 22:18:26] [このレビューのURL]

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