「パンダマン」さんのページ

8点 MONSTER

 この漫画は浦沢直樹以外では極少数の作者にしか描けない作品だと思う
 ちょっと変わった話の流れで、まぁ普通の一本道のストーリー漫画なら、きれいに起承転結という流れが普通です。しかし、これは起起起と続いたり起承起承たまに転でまた起承といった、まぁ非常にテンポが悪くなりそうな作りになっている。だけど、グイグイ読者を引き込む謎が謎を呼ぶ展開や、ちゃんとその謎を解いた時に納得のいく答えを持ってきてくれるので、テンションは下がらず逆にテンポは上がる一方で一気に読んでしまう力を持っている。

 まぁ手法としてはホラーで使われいるのをサスペンスに持ってきているだけなんだけど、問題は謎解き部分に持ってくるコマの絵。
ホラーのように気持ち悪い絵や非日常的な絵でインパクトのある絵をバーンッ!っと持ってこれるならまだしも、サスペンスなので現実の世界でキャラクターなり背景なりに納得のいく絵をバーンッ!とかける人っていうのはそうそういない。
画力とか表現力、想像力とかがトップレベルでその力をフルに出さないと読者が納得いくレベルのものは出せないだろうし、そもそもそこまで期待させるような話作りや組み立てだけで非常に難しい。そういう芸当ができる漫画は、そう何人もいるわけじゃない。手法がわかってもマネできる人が非常に少ないと思う

 そんな意味でもこのモンスターは意欲的だったし、緊張感のある良い絵が一杯ある。まぁ、この後にこの手法で味をしめて20世紀少年、PLUTOへと続き、今では「浦沢節」とかいわれてるけど、他にマネできないから「浦沢節」なんて言葉もあるんだろうね。非常に高度な漫画なんだなぁーと改めて読んで思いました

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-02-17 11:02:56] [修正:2009-02-17 11:02:56]