「パンダマン」さんのページ

総レビュー数: 134レビュー(全て表示) 最終投稿: 2006年11月22日

3点 黒執事

 「英国」「執事」「女王直属の裏を仕切る貴族」「執事の正体が謎」。キーワードを並べるとすごく面白くできそうなんだけどいまいち。結構設定が適当。話に穴が多いなど読んでるこっちがう〜んとなってちょっとガッカリ。
 たぶんなんとなく英国な雰囲気で、軽めのダークな話でいい男が活躍する漫画を求めている人が対象なのかも

 大体、黒執事以外使えない使用人ばっかり雇っているけど、その理由が5巻現在まで一切語られないまま。なんでクビにしないんだか謎。裏家業やっているから表の仕事は出来なくても裏では凄腕でなのかと思いきや、どうやらただの引き立て役みたいだ。ただの場を和ませるだけの引き立て役なら四人もいらない。女王の番犬というには、実行力が実質、黒執事しか出てこないというのはどうしたものか。
「英国」「執事」という誰かが築いてくれた世界観にのっかてるからかろうじて読めるけど、これの世界観事態はかなり薄い。執事ブームに乗っかっただけの出たとこ勝負はやめて欲しかった。

 正直、これ書いてる時点で執事漫画は他にも結構出てるけど、みんな上辺だけで中身がない執事ばかり。非常にどの執事漫画の執事も浅い。これは絵もうまくて雰囲気あっただけに期待していたんだけど、これもやっぱり浅かった。
 まぁ、この執事がまた特殊というのもあるんだけど、別に特殊にしなくても、英国の貴族というだけでかなり面白い話作れるし、執事の世界というのもかなり歪んでいるから、いくらでも面白くできると思うんだけどなぁ

 メイドものは森薫さんのがあるが執事ものの面白い漫画はしばらく出そうもないなぁ。
 「日の名残り」っていう執事小説を読んでから、その異質な執事の世界に興味を持って調べた自分は執事ものにはちょっと辛口かもしれない。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-02-18 07:54:00] [修正:2009-02-18 07:54:00] [このレビューのURL]

8点 MONSTER

 この漫画は浦沢直樹以外では極少数の作者にしか描けない作品だと思う
 ちょっと変わった話の流れで、まぁ普通の一本道のストーリー漫画なら、きれいに起承転結という流れが普通です。しかし、これは起起起と続いたり起承起承たまに転でまた起承といった、まぁ非常にテンポが悪くなりそうな作りになっている。だけど、グイグイ読者を引き込む謎が謎を呼ぶ展開や、ちゃんとその謎を解いた時に納得のいく答えを持ってきてくれるので、テンションは下がらず逆にテンポは上がる一方で一気に読んでしまう力を持っている。

 まぁ手法としてはホラーで使われいるのをサスペンスに持ってきているだけなんだけど、問題は謎解き部分に持ってくるコマの絵。
ホラーのように気持ち悪い絵や非日常的な絵でインパクトのある絵をバーンッ!っと持ってこれるならまだしも、サスペンスなので現実の世界でキャラクターなり背景なりに納得のいく絵をバーンッ!とかける人っていうのはそうそういない。
画力とか表現力、想像力とかがトップレベルでその力をフルに出さないと読者が納得いくレベルのものは出せないだろうし、そもそもそこまで期待させるような話作りや組み立てだけで非常に難しい。そういう芸当ができる漫画は、そう何人もいるわけじゃない。手法がわかってもマネできる人が非常に少ないと思う

 そんな意味でもこのモンスターは意欲的だったし、緊張感のある良い絵が一杯ある。まぁ、この後にこの手法で味をしめて20世紀少年、PLUTOへと続き、今では「浦沢節」とかいわれてるけど、他にマネできないから「浦沢節」なんて言葉もあるんだろうね。非常に高度な漫画なんだなぁーと改めて読んで思いました

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-02-17 11:02:56] [修正:2009-02-17 11:02:56] [このレビューのURL]

 芸能界復讐奮闘記?みたいな話
 色々なやっかいごとをガッツで乗り切る主人公は見ていて気持ちいい

 これを読んでいて菅野美穂を思い出した。菅野美穂を初めてはっきり覚えたのは「エコエコアザラク」というホラー映画。ラストの豹変する演技はもう言葉で表現できないくらい衝撃的で、主人公達だけでなく映画丸ごと喰ってしまう位パワフル。まぁ、それから売れっ子になるには時間がかからなかったのはあの映像をみれば納得せざるおえなかった。
 菅野美穂の見事な悪役っぷりなどついついこの漫画の主人公と感じが似ているのでついつい重ねてしまった。現実の女優と比べられるくらいこの主人公は生き生きしてる

 一応復讐の為に主人公は動いているという設定だから話が暗くなりそうなんだけど、ほんとどのシーンがおちゃらけているので話が暗くならず、ケラケラ笑いながら読めて読後もスッキリ。怨念が取り付いたブラック主人公には愛嬌すら感じる。笑うとこは笑うとこ。シリアスなところはシリアスなところと、ちゃんとメリハリもあって漫画にテンポがある

 難しい演技のシーンでも、コロコロ変わる表情を読んでいる側が「おおー」っと思うレベルのものに仕上げてくるあたり、この作者のレベルの高さが出ている。漫画って自分の想像したキャラクターには既に演技させてるわけだけど、それに更に演技させて、大根演技、ベテラン演技とか描き分けるのってすごい高度だと思う。読者を納得させる表情をかくとなると、もうなんか想像するだけで胃がキリキリしてくるな。
 主人公がどういう選択をしていくのか先が気になるね〜

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-02-17 10:21:06] [修正:2009-02-17 10:21:06] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

 子供の頃の廃館探検や小さな穴蔵探検の不安とドキドキ。あの暗闇の先にはなにがあるんだろう、あの扉の先は・・・。
そんな子供時代に描く未来も似たような感覚だった。不安とドキドキであふれ、先は全く見えない暗闇。
 しかし探検ゴッコや自分の未来も、先に待っているのは、大抵ガッカリとした現実。不安どころか、ドキドキなんか待っていやしない。それは大人になるほどにリアルになっていくものだ。

 でも、もしも、もしもそれが不安ばっかりでできた未来だとしたら?
 30過ぎてガッカリの現実だったとしても、ドキドキがどんどん減っていく世界だとわかっても、そんな自分でも不安が待ってる世界なら立ち向かわないといけないんじゃないか?
 どんなに先が真っ暗でも。絶望的だとしても
 友の為に。子供の為に。どこかの知らない誰かの為に
 少しでもドキドキが待っている世界に変えようとしなければいけないんじゃないか?

 ドキドキを仲間と共有できる場所、「秘密基地」。自分たちの聖域は絶対に守らなければならない。自分たちのすべてはそこから始まっているのだから

 これは主人公のケンジの心境でもあるけど、作者の漫画に対する心境でもあるのだろう
 珍しく自分臭をださない作者が、叫び続けた作品は個人的には好きだった
 話の展開とか言いたいことは山ほどあるが、作者の叫びが感じることができた良い作品だと思った。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-02-13 23:46:32] [修正:2009-02-13 23:46:32] [このレビューのURL]

 命があるものならだれでも恐れ認めざるを得ない程強力で、原始的で残酷な力
それが暴力だ。

 日本では、未成年法のおかげで若者の将来を守る為の甘やかな法は同時に喧嘩レベルの暴力ならば容認される世界。
その世界は弱者には、時に残酷なまでの生物としての無力差を味わう世界となる

 この漫画の主人公がまさにその弱者であり、生物としての危機感ともいうべきところから、暴力の力を求め、自らの道を切り開いていく話。
 未成年であるからこそ存在が許される、残酷で甘やかで原始的な世界は一人の人間としてというよりも、一つの生物としてかなり興味深くて面白かった。

 暴力で切り開く世界、その先はどうなるのか、最後まで読み切る力があった。

 人によっては、意見のわかれる格闘ウンチクは個人敵に大好きでしたよ
 

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-12-02 03:52:39] [修正:2009-02-13 22:38:35] [このレビューのURL]