「パンダマン」さんのページ

総レビュー数: 134レビュー(全て表示) 最終投稿: 2006年11月22日

 3年前にタイムリープしてしまった主人公が潰れるはずだった応援団を建て直す為に奮闘するというのが話の大筋。しかし、そこに行き着くまでの過程が全然予想出来ない。普通は着地点がわかる物語は魅力が半減するけど、これは着地点は見えるけど、そこまでの過程が全然わからないのが面白い。毎話クレイジーな展開でよくそこに着地したなぁっと感心してしまう。

 大体、主人公が普通の少年漫画と違う。思考はネガティブ。得意技は逆ギレ。普通だとウザすぎて見てられないけど、ネガティブ思考の末の逆ギレで超ポジティブ行動へと転身した時の行動力は見ていて気持ちいい。応援団を変えていくことで、周りの人を変えてゆき自分も知らない間に変わっていく少年漫画らしい成長物語な部分も含んでいます。
メインヒロインの団長は頭が固いが段々とその残念かわいい所を見せてくれるし、一緒にタイムリープした女の子もなんだかんだで主人公を助けてるのが見ていてかわいい。主人公を好きになっていく成績優秀な優等生は見ていて癒やされるし、出てくるヒロイン達はみんな面白いのばかり

これは自分みたいなおじさんが読んでも面白い。いやむしろ高校3年間を経験してるほうが色々うなずけるシーンが多いので面白いかもしれない。けど作者が読んで欲しいのは多分今青春まっさかりな中学・高校生達。この作品の根本的な部分には作者から学生生活を送っている学生への、大分屈折してはいるがエールが込められている。色々なキャラクター達のセリフには3年間の学生生活を後悔せずに送るための数々の名言が出てくるが、それらからその思いを感じる事ができる。ここでいくつか紹介すると

「誤解や勘違いで悩む時間がこの世で一番無駄だ」
「好きとか嫌いとかもっと人間関係を透明化すべき」
「女の為に頑張る男は総じてクズだ!!」

最後の「女の為に頑張る男は総じてクズだ!!」は衝撃的。ヒロインの為に頑張るありがちな少年漫画の主人公を全否定です。この格言は一見間違ってそうに見えるけど、大きな落とし穴があるのは大体想像が付くと思います。この名言を無視するとどうなるか。実際にこの漫画の中で実例が出てくるので、実際に読んで確認してみてください

大分変則的で、先ほど少年漫画的な部分もあると書きましたが上の格言を見てもわかるようにギリギリ少年漫画といったポジションです。すごい感動するシーンとかはないけど、あまり他の漫画では見たことないほどの青春ドタバタ劇は毎回ハラハラドキドキして面白いです。
まだまだ話は続きそうですが、今現在出ている5巻で一応の起承転結の流れが出来ていますので、読むなら5巻まで一気に読むのがおすすめです

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-08-03 20:55:15] [修正:2012-08-03 20:55:15] [このレビューのURL]

8点 Landreaall

 のほほんとしているが頭も切れて仲間思い、実行力も備えてる王位継承者の主人公とその仲間達のお話。なんでもなさそうな会話シーンが多くて、漫画自体に動きは少ないのに読ませる。これも作者の言葉選びのセンスが優れていて、会話だけで十分面白いから・・・なのかな?

 はっきり申しまして実は自分はこの漫画は面白ことは面白いのだけど厳密にはどこが面白いのかはっきりとはわかりませんでした
 世界観はどこでもありそうなファンタジー世界だし、話は劇的に盛り上がるわけでもないし、会話が面白いと書いておきながら心に残るほど熱いセリフが出てくるわけでもない。でも、この漫画は他の漫画にはないなんだか光るものがあるのは確か

 ファンタジー世界といっても、大魔法とかは出てこず中世より少し進んだ世界で現実世界に沿った世界観は色々へぇーっという所もあり面白いと思う(騎士のしきたりとか、傭兵の心得とか)。多分作者はきちっとした性格で、物事を正確に捉えて正確に伝えたいタイプの人といった感じです。だから多少正確じゃなくても許されるファンタジー世界を選んだ気がする。
 そう思ったのは話に軍馬が出てくるのだけど、大抵の漫画家は足の細いサラブレットを描いてしまうところ、この作者はしっかりとした体格で足の太い軍馬っぽいのを描いてるのだ。こんな誰にもわからないようなこだわりに作者の性格が出ていると思う
 世界観への肉付けは恐ろしく肉厚で正確です
 
 とても魅力がある漫画ですが、上手く伝えられなくて申し訳ないです。こんなつたないレビューでその魅力が少しでも伝わっているといいんですが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-08 14:10:22] [修正:2011-10-08 15:32:00] [このレビューのURL]

8点 トリコ

 生きているならどんな生物でも興味ある「食」。それとバトル漫画をあわせて緊張感を出し、ついでに自然では普通の「生死」まで考させる。簡単そうで結構難しい合わせ技ができる作者の高い漫画力が光る。
 
 映画でもアニメでも漫画でも一番難しいのは食べるシーンなんだそうで、ただ「おいし?!!」で済んでいたのは昔の話。眼が肥えてきた読者にも「うまそう?」「そんなにうまいの?!」と思わせる色々な食べるシーンは必見。わけわからないやばそうな食品なのになんだか食いたくなってくる

 食材への感謝の気持ちも、狩猟民族だった日本人には普通の考え方だったけど今では忘れられてしまってる現在。こういうトリコの狩った食材への気持ちも上手く表現してて正直感心してしまった。
 海岸に打ち上げられたクジラの死体をかわいそうだから埋葬するとかわけわからないニュースが一年に一回くらいあるが、日本人ならこの漫画を読んで感謝する気持ちを忘れずにガッツリ全部おいしく食べてもらいたいものです

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-30 01:27:45] [修正:2010-11-30 01:27:45] [このレビューのURL]

 実はベタネタが大好きそうな作者が、自分が作り上げた世界観でどこまでのベタが許されるのか、そのギリギリを見極めようとしているかのような漫画です。巨大ロボ、宇宙、謎の巨大生物、学園モノ、ベタベタ恋愛、なんか凄そうな未来兵器用語などなど数々のベタ要素が入ってます。
 作者の世界観で加味されているせいか、巨大生物から逃げまわっている宇宙生活には妙に緊張感があります。同時に、これだけベタネタ入れて世界観が壊れないのかという別の緊張感もはらんでいてそっちにも注目です

 相変わらず、想像力かき立てる重厚な背景とSF的な小物は健在。ついでに漫☆画太郎バリのツッコミもひそかに復活。
 今回はなにも知らないベタ主人公のために、この世界の簡単な説明が入るので理解しやすいです。BLAME!みたく想像する必要はありません。ベタだけに万人向けかもしれない緊張感あふれる巨大ロボットSF漫画

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-25 17:20:57] [修正:2010-03-25 17:20:57] [このレビューのURL]

 自由なとらえ方ができるBLAME!でこんなとらえ方も面白いよーという遊び心があふれてます
BLAME!1巻のEX-Logを読んだ時、なんてベタなギャグが好きな作者かと思ったけど、まぁよくここまで自分で作った世界をぶっ壊すほどのベタな話をやっちゃったもんだ
 同時に漫☆画太郎先生へのオマージュ作品みたいな一面もあります
おまえどんだけ漫☆画太郎好きなんだよ!!!って全力でツッコミたくなります
他に収録されてるハードSF短編とのギャップがたまりません

巻末の本田透さんの解説もカオスがかっていて秀逸
ローOンかよ!!!って全力でツっこみたくなります

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-25 17:15:59] [修正:2010-03-25 17:15:59] [このレビューのURL]

 野生生物のたくましさ、神秘さ、偉大さとか感じたい人におすすめの漫画

 話の中で嘘っぽいほどの動物達の能力解説とかウンチクが入るんだけど、これが凄い面白い。しかも事実に裏打ちされた情報だったりするから後でビックリすることも結構ある。
 例えば、狩りをして肉を食うシマウマが出てくるが、これも本当にいたりする。狩りをして生肉食う映像見るまで信じられなかったけど事実を元にしてたのにはビックリした。

 もちろん過剰表現や他の種だったり、フィクションの事もあるだろうからまるっきり信じるのはダメだけど、それでも作者の生物知識の奥深さには驚かされる。どこまで本当なんだろうとか考えるのも結構面白いです

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-24 12:15:16] [修正:2010-03-24 12:15:16] [このレビューのURL]

 一クセも二クセもある音楽家達が、謎のジジイに廃工場に集められてオーケストラを始めるところまで読んだ瞬間「これは面白いんじゃ・・・」という当初の予感以上に面白かった。

 謎のジジイがマエストロとしての力を序々に見せつけ、オーケストラを作り上げていく行程は見事。
オーケストラのなんたるかや各パートの難しいところなど読んでいるだけでオーケストラの知識が付き、その世界を垣間見れる瞬間はかなりエキサイティング。

 残念なのは画力。下手じゃないんだけど表情が硬すぎる。脚本も演出も一流だけど役者が大根な映画を見ている感じ。ほったゆみ先生みたいにネームだけ書いて絵が描ける人にかかせたら漫画史に残る作品になっていたと思うだけに少し残念。まぁ味がある絵なので気にならなければ、この作品は至高の音楽漫画となりえる作品だと思います

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-23 21:17:08] [修正:2010-03-23 21:17:08] [このレビューのURL]

 愛すべきバカ愛にあふれた漫画。バカな人達以外もいい味でてるけど愛すべきバカ達のほうが頭一つ分抜けている気がします。

 冒頭のセリフどおり、「力強い躍動」を感じられる作品で、非常にテンポがよくフットワークが軽い。ムダのないコマ割りに精一杯のムダを詰めた感じがたまらない。最初の方は特に絵が雑に見えるが画力が低いわけじゃなくむしろ高いほう。話に勢いを付けるために書き殴った結果じゃないかと思う。

 作者はこれが長期連載初めてっぽいんだけど、「もうこれで10年以上メシ食ってます」ってくらい成熟した漫画力がある。特に話の構成力が非常に高い。自然すぎて気付かなかったけど1巻と3巻の各話の配置はベテランジョッキー並の手綱さばき。引き締め方やゆるめ方のタイミング、力の強弱は絶妙で、読者心理を良く考えている。
 
 重くなりすぎず軽くなりすぎず、突っ走る時はとことん突っ走る。読者は何も考えず笑える疾走感を楽しめる漫画。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-23 20:29:32] [修正:2010-03-23 20:29:32] [このレビューのURL]

 ちょっと前に久々に週刊少年マガジンを読んでみたら、7割以上がスポーツ漫画という異常な状態。しかもどっかで見たことあるテイスト。そのテイストの大本と言っていいのがこの「おおきく振りかぶって」でしょう。この作品は、少なくとも講談社にとってはスポーツ漫画に革命をもたらした金字塔のようです。

 スポーツ漫画の問題はスポーツにはルールがあって、これを読者が知らないと楽しめない事です。
 この漫画以前は複雑なルールやシーンの解説はナレーションが入ったり、説明役の玄人記者なんかを登場させたり、練習試合でも現れる不自然なアナウンサーが定番でした。これらは折角盛り上げた流れを壊してしまう弱点がありました
 この作品は、ルール、ゲーム展開を全部選手達の緻密な心理戦にもって来たことで読者は試合の流れを壊さず、むしろ加速して読んでいく事ができます。しかも野球の深い部分の魅力も感じ取れるというスポーツ漫画の理想型を作り上げました。作者の緻密な心理描写が面白いところにマッチした結果なんでしょう。
 心理描写のうまさは選手をとりまく世界を描く所にも発揮。選手達の親や、友人を丁寧に描く事で、部活の空気感がうまく出ていて、ついつい学生の頃を思い出しました
 ただ、この作者は男の心理は苦手なようです。男からみると乙女回路内蔵された純情選手はちょっと違和感がありますが、まぁそれもこの作品の魅力に比べたら微々たるもの。
 これからもどんな野球の魅力を見せてくれるのか、元祖?だれでも楽しめるスポーツ漫画として楽しみです

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-02-21 00:37:52] [修正:2010-02-21 00:37:52] [このレビューのURL]

 元々職人系の番組なんかが好きでよくみるんですが、元溶接工という異色の経歴を持つ作者。その作者が描く溶接工漫画。興味が出ないわけがない。
 そしてそこには、地味ながらもびっくりな溶接工ワールドが待っていた!。・・・なんだか陳腐なキャッチコピーみたいになっちゃったけど、本当にそんな感じです。溶接を知ってる人にはなんでも無いことも知らない自分には、ヘェーと思う体験談が多数ありました。

 でも一番のこの作品の魅力は、全部にわたって作者の愛情が詰まってること。作者の溶接工の仕事やキャラクターへの愛情が読んでいるだけで伝わってきます。特に女性キャラは愛らしいというか、出てくるだけでなんだか話がなごみます。絵柄も作品と非常に合ってて良い世界観をかもし出してます。

 これを読んだ後、自分の変化に気づきました。日常にある溶接部分を見ると、その裏で戦っている溶接工の日々をなんだか想像している事を。地味だけど、なんだか世界が広がった気分です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-04-28 00:44:53] [修正:2009-04-28 00:44:53] [このレビューのURL]

<<前の10件
1234