「パンダマン」さんのページ

 ちょっと前に久々に週刊少年マガジンを読んでみたら、7割以上がスポーツ漫画という異常な状態。しかもどっかで見たことあるテイスト。そのテイストの大本と言っていいのがこの「おおきく振りかぶって」でしょう。この作品は、少なくとも講談社にとってはスポーツ漫画に革命をもたらした金字塔のようです。

 スポーツ漫画の問題はスポーツにはルールがあって、これを読者が知らないと楽しめない事です。
 この漫画以前は複雑なルールやシーンの解説はナレーションが入ったり、説明役の玄人記者なんかを登場させたり、練習試合でも現れる不自然なアナウンサーが定番でした。これらは折角盛り上げた流れを壊してしまう弱点がありました
 この作品は、ルール、ゲーム展開を全部選手達の緻密な心理戦にもって来たことで読者は試合の流れを壊さず、むしろ加速して読んでいく事ができます。しかも野球の深い部分の魅力も感じ取れるというスポーツ漫画の理想型を作り上げました。作者の緻密な心理描写が面白いところにマッチした結果なんでしょう。
 心理描写のうまさは選手をとりまく世界を描く所にも発揮。選手達の親や、友人を丁寧に描く事で、部活の空気感がうまく出ていて、ついつい学生の頃を思い出しました
 ただ、この作者は男の心理は苦手なようです。男からみると乙女回路内蔵された純情選手はちょっと違和感がありますが、まぁそれもこの作品の魅力に比べたら微々たるもの。
 これからもどんな野球の魅力を見せてくれるのか、元祖?だれでも楽しめるスポーツ漫画として楽しみです

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-02-21 00:37:52] [修正:2010-02-21 00:37:52]