「パンダマン」さんのページ

9点 BLAME!

 作者が見せたい世界を読者に見せるのではなく、読者それぞれが想像して世界を作り上げていくという変わった漫画です。

 話にはちゃんと大筋がありますが、他の部分には肉付けする自由なスペースが用意されているので、各人が勝手に脳内補完して想像を膨らませられます。それが新鮮で面白い。小説と漫画のおいしいところをとった感じ。
 だからこの作品には正しい解釈はなく、それぞれが勝手に想像して遊ぶ漫画じゃないかなと思ってます。

 まだ連載中だった当時、話を理解しようとすると脳内にブラムワールドと呼べるようなものが勝手にできあがり、脳内ブラムワールドが想像力を補助してくれるのでアニメーションを見ているような錯覚を覚えました。後半は特にセリフが減っていき、絵だけで表現されるので、その傾向が助長されます。「想像する」から「体感する」に作者がシフトチェンジさせてくれたのかもしれません。

 こんな攻撃的で刺激的な姿勢の作品が成立したのも、SFで凄く重要な背景や色々な小物達で、ずっと想像力を刺激してくれた作者の力量のおかげかもしれません。
 捉え方、見方が自由な新しい漫画を目指したフロンティア精神。想像力をかき立てる世界観。最後まで映像で語る姿勢をつらぬいた作者の精神力と生産力は脱帽モノ

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[投稿:2010-03-25 17:12:34] [修正:2010-03-25 17:12:34]