「FSS」さんのページ

総レビュー数: 50レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年12月31日

[ネタバレあり]

個人的に花山は「バキ」の中でも一番好きなキャラなので、本編のインフレのせいで出番が無くなった花山が、外伝とは言え活躍してくれているのは嬉しい限り。

ただ、あのオカマはどうかと思う。本編にいないタイプのボスキャラというコンセプトで考えたのだろうけど、いくらなんでもあの見た目と催眠術はやりすぎ。どの作品でも「完全催眠」系の技が出てくると途端に話がつまらなくなるのは常識(最近では「ブリーチ」の鏡花水月、「ナルト」の万華鏡写輪眼など)。

しかもオカマボスは格闘家ではないので、この手の格闘漫画の最大のタブーである「遠距離からの狙撃」をあっさり敢行する始末。「バキ」の勇次郎でさえ、かつて麻酔銃に遅れを取っているくらいで、本来は「武器でも銃でも何でもアリ」という格闘漫画でも「遠距離狙撃」だけはしないのが暗黙の了解だったはず。

そのタブーをあえて破った英断(暴挙?)は凄いが、やはり、その後の展開には作者本人も大困りのようで、2008年1月現在で三ヶ月連続休載が続いているw。「組織力最大、暗殺OK、完全催眠、超絶パワー」というオカマキャラを、ほとんど死にかけている花山がどうやって倒すのか見当もつかない。実際、万全の花山の全力パンチを二発も喰らっているのにほとんどダメージも無いような化け物である。

また本編でけっこう人気のあったキャラ、マスター国松を、オカマの言う事を聞くだけのただの手下にする有様(おかげでネットではこの展開の批判が非常に多かった。これが休載の遠因になっている可能性もある)。それに完全に花山を殺すために狙撃しているから、「ボスに従ったと見せかけて実は…」みたいな名誉挽回も、これではもう無理。この辺の「キャラの使い方」も下手。

さらにこの作品はスピンオフ企画だから、勝手に花山を殺すわけにもいかない。そのせいで緊張感は無いわ、ストーリーは破綻しかかってるわで八方塞りなのでは?

今後も期待したい漫画ではあるが、どう決着をつけるつもりなのか不安がある。そういう意味で四巻までの地点での評価は6点にしておく。

※ 追記 ※

2008/02/18現在

チャンピオンREDにて、作画担当「山内雪奈生氏の都合により」
連載終了と告知。

「休載」ではなく「終了」w。完全に予想が当たってしまった。

色々と大人の事情もあったのだろうが、やはり上記のように、無理のあるボスキャラと無理のある展開にし過ぎた事が原因になっている可能性は高いだろう。

何にしても残念。板垣氏が引き継ぐ可能性はあるが…。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-02-05 19:11:09] [修正:2008-02-05 19:11:09] [このレビューのURL]

月刊コミックビームに連載されていた、作者が「おさんぽ」と称して出かけていった先の出来事を体験談として漫画にする、ゆるゆるエッセイ漫画。この作者の暖か味のある絵柄が、何とも言えないゆったりとした独特な空気感を醸し出している。

海外旅行に行く時もあるが、基本的に出かける先は都内が多く、作者の住宅近辺という近場ばかり(笑)。

でも、そんな何の変哲もない近所でも、ちょっと視点を変えて観察すれば色々な出会いや発見があり面白い。

自分もおさんぽがてら近所をのんびり散歩してみたくなる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-04 17:20:58] [修正:2008-02-04 17:20:58] [このレビューのURL]

4点 男坂

[ネタバレあり]

車田ファンの自分としても、この作品はさすがにフォローし辛い。

通説では「登場人物が多くなりすぎて収拾が付かなくなった」事が原因と言われているが、そんな事より最大の問題点は、主人公たちの「言っている事とやっている事」にあまりにもギャップがあり過ぎて、さすがに読者が呆れたという事が原因だろう。

と言うか、チ○毛も生え揃ってない、自分で働いて金を稼いでもいない中学生のガキ共に「オレはいずれ日本のドンになる」とか、「人の上に立つ人間のタイプを知っているか」とか言われたところで、「はいはい」としか言い様が無いだろう。しかも、やっている事がひたすら「ケンカ」ときた日には、もう笑うしかない。たぶん大半の読者の突っ込みも「ケンカも良いけど、まず義務教育を卒業しようね」だったはずだ(笑)。実際、作中での「ドン」は明らかに「番長」レベルの話ではなく、将来を見越したもっと大きい意味での「権力者」的なニュアンスで使われていたから滑稽感はなおさらだ。

純粋に格闘漫画として見ても、本来、出し惜しみすべき「ボスキャラ」であるはずの各国の「ドン」を、最初から全員顔出ししてしまったというのも大きなマイナス要因(しかも全員ショボイやっつけデザイン)。

また主人公にケンカの秘訣を教えるためだけに出てきた「喧嘩鬼」もご都合主義以前に意味不明な存在。教えてる事も「相手から目をそらすな」とか「敵の攻撃は紙一重でよけろ」とか、当たり前な心得ばかり。おまけに特訓期間はわずか十日間だけ(笑)。それで一気に仁義が強くなり、人間的にもデカくなるというのはあまりにも杜撰だろう。戦闘力なんてよほど実戦経験を積まなくては身につかないものだし、まして人間的な成長はそれ以上に長い人生経験を必要とするもののはずだ。そしてそんな仁義を一目見ただけで各地の硬派(笑)が会ったその日に軍門に下るという展開のご都合主義。この辺のいい加減な展開のせいでより人物像が薄っぺらくなっていったのだろう。

終了間際の怒涛のやっつけ展開と、ラストの「未完」の文字はもはや伝説。違う意味で楽しめる漫画ではあるが…。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-02-03 16:54:21] [修正:2008-02-03 16:54:21] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

<8巻までのレビュー>

トレパネーションという設定や幻覚の視覚的演出は非常に斬新なんだけど、結局、それ以外の事を考えないまま連載を始めちゃった感じ。

序盤、頭蓋骨に穴を開けて幻覚が見えるようになり、ヤクザの親分の心の闇を払う件までは、時間を忘れて読みふけってしまうくらい面白かったが、女子高生の話あたりから展開が行き当たりばったりで、ダラダラと続けているだけになってしまっている。多分、主人公が出会った人々の「心の闇」の象徴であるホムンクルスを取り除いていく、という話をやりたかったのだと思うけど、その辺が上手く描けていない。

これは(意図的かどうかは微妙なところだが)、主人公のキャラ付けを中途半端なままにしてある事に起因している。まさに作中で主人公自身が自分の人生の進退について迷っているがゆえに、作品自体も迷走しているのだと思われる。

最近の展開も、どう決着をつけたら良いか方向の見当が付かず、明らかに作者が迷走しているのが丸分かり。下手したら「作者急病のため休載します」とか言って、未完のまま終わる可能性すらある。

それでもまだ今後に期待したい気持ちはあるだけに、何とか盛り返して欲しいところ。

とは言え、現代人の病理を表象するホムンクルスと、それを取り払うというアイデアは評価できるので、まあ、6〜7点前後が妥当なところだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-03 16:35:57] [修正:2008-02-03 16:35:57] [このレビューのURL]

かわいい絵柄に似合っているのか似合ってないのか。それはともかく、実にアホらしく、バカバカしい下ネタ満載のほのぼのエロバカ漫画。主人公たちの「おっぱい」と「ぱんつ」への執着は、ある意味、清々しさすら感じてしまう。と言っても、成年指定ではなく、あくまでギャグ漫画。戦闘力ならぬ「エロ数値」が出てくるのも面白い。

基本的には同人誌のようなノリであるが、エロいことに命を掛けるランジェリータウンの人々の日常は、良い意味でアホなことに徹底している作者の真剣な創作姿勢そのもの。

ダウンタウンの松本も言うように、「バカな事をやるにも真剣にやらないといけない」というギャグの基本が理解できていないと、この漫画の「計算されたバカさ」ゆえに醸し出される魅力には気付かないだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-03 11:27:13] [修正:2008-02-03 11:27:13] [このレビューのURL]

<二巻目で挫折>

この作品もどこでも割りと高評価だけど、個人的にはいまいち。つまらなくはないけど、緊張感に欠ける作品。

最大の難点は、やはり基本的にシリアスな内容なのに、下ネタ絡みのギャグがあまりにも多すぎるからだろう。その配分バランスが悪い。ギャグ:シリアスの割合で言えば3:7でギャグが入るので、どうしても緊張感が持続しないのだ。ギャグを入れるのも良いが、「息抜き」というには余りにもTPOを考えていない下ネタが多すぎる。そのせいで作品全体の印象まで真剣味に欠けた中途半端なものになってしまっている。

その辺がこの作者の個性というか魅力でもあるのだろうが、クセのある濃い目の絵柄共々、合わない人にはかなり拒絶反応が出る作品と思われる。どうせなら一切ギャグを入れずに、とことん真面目にやった作品が見たかった。

また「不老不死の吸血鬼とその謎を追う組織」という基本設定もありがちで目新しい部分が無く、ストーリー展開もいまいち盛り上がり所が無い。そのため読んでいて先が気にならなかった。結果、二巻目で挫折。

この作者の絵柄やギャグに抵抗が無い人にならお奨め出来るかも。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-02 20:33:07] [修正:2008-02-02 20:33:07] [このレビューのURL]

8点 DEATH NOTE

[ネタバレあり]

やはり日本の漫画はナメたらいかん。

私の知る限り、ここまで天才同士の複雑な心理戦を描いたサスペンス作品は、古今東西のミステリー小説やハリウッド映画にも無いだろう。

あえてジャンプ誌上で完全にアクション要素を廃し、頭脳戦にのみ特化した点を評価すべき作品。1巻目から話の規模が大きく、テンポも良い。ふたりの天才同士の騙し合い、知恵比べが面白すぎ。

普通「ノートに名前を書いた人間を好きなように殺せる」という設定だと、いじめや自殺をテーマにして、ノートを巡る学園内でのドロドロとした人間ドラマが中心になりそうだけど、この作品はノートを使って人類浄化を始めた主人公「月」と、それを追う謎の名探偵「L」との心理的な駆け引きが見所の頭脳戦をメインに描いているのが斬新。

ノートも好き勝手に殺せるわけではなく、相手の本名と顔を知っていなければならないし、物理的に無理な死に方はさせられないという制約がある。それに対して、「L」は警察やCIAなどと連携を組みつつ、天才的な推理力で「月」に迫ろうとする展開は非常にスリリング&サスペンスフル。

特に感心したのは、序盤で「L」が「月」の目的や住んでいる地域などを早々と特定していく過程。思わず「なるほど〜」と膝を打ってしまったw。

確かに「L」死亡後の展開はいまいちだし、何度も読み返したくなるタイプの内容ではないが、少年漫画でここまでサスペンスに特化した作品を描いた事は高く評価すべきだと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-02 20:04:23] [修正:2008-02-02 20:04:23] [このレビューのURL]

一巻を読んだだけでは伝わらないかも知れないが、メイン以外にも登場キャラの描写が丁寧なので、その地道な造形の積み重ねのおかげで、巻を重ねる毎に確実に物語に血が通ってきている。

歴史上の実在の人物の絡め方など、虚実入り混じった物語構築も上手い。そして、彼らとセスタスの邂逅がより物語を重厚なものにしている。

戦いに派手さは無いが、各キャラに個性があり、彼らの生き様や考え方が、そのまま戦いの勝敗にも影響するというシビアな描写がリアル。まさに人生とは戦いって感じで、誰にでも等しく感情移入が出来る。

ただ、残念なのは、基本的に戦闘シーンが売りの格闘漫画としては、ちょっと地味という事。原因は作者の絵柄が丁寧すぎる事と、カメラワークに工夫が無い点。いつもほとんど同じ位置(目線)や距離であるため、画面にメリハリが無く、迫力も感じられない。こういうのを見ると、やはり「バキ」の戦闘シーンの迫力の凄さが分かる(物語はともかくw)。

まあそれでも十分面白いので読んで損は無い作品。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-02 19:04:54] [修正:2008-02-02 19:04:54] [このレビューのURL]

今見ても絵やギャグにほとんど古さが感じられない。これが80年代の初頭に描かれたものなのだから、やはりこのセンスはズバ抜けている。漫才ブームとほぼ同時期と言うことを考えれば、当時の漫才がすでに古臭くなってしまっているのに対して、「ひばりくん」の世界はまったく色褪せていないのだから、いかに普遍的かつ不変的なセンスを持っていたかが分かるというもの。

作者が文庫版のあとがきで、「時代の意志とか気分とか、何か大きな力で動かされた。自分の力だけで創られたものじゃない」というような事を書いているが、まさにそんな評価がふさわしい。

「マカロニほうれん荘」や「うる星やつら」もそうだが、計算だけじゃなく、その時代の雰囲気とか価値感、作者の年齢といったものの相乗効果による化学変化があって始めて作り出される奇跡的な作品のひとつなのだと思う。80年代という時代の中だからこそ創られた漫画と言える。

今でも続編希望の声は多いだろうが、たぶん、今、作者がやる気を出しても、若さや青さを含んだ「未完成であるがゆえの勢い」とか、当時の「空気感」まで再現することは不可能だろう。

以下、作者あとがきからの引用。

ひばりくんはそんな僕を見下しもせず、買いかぶりもせず、いつも超然とそこにいて「描けるんだったら描けば。ボクはいつでもいいよ」。ひばりくんはいつも僕にそう言って、凛とした笑顔をたたえているのです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-02-02 17:29:53] [修正:2008-02-02 17:29:53] [このレビューのURL]

いかにも古賀氏らしい、キャラとギャグ、世界観で、個人的に一番親しみが持てる作品だっただけに、もう読めないのは寂しい限り。

ギャグの発想が独特な方向で先鋭化されつつも、プロの作品として決して独りよがりやオタク受けだけにならない、良い意味での万人向けのバランス感覚と客観性がある。

バカバカしい台詞回しにも、作者の持つセンスと経験、そして計算が浸透しているからこそ、あの独特な面白さが醸し出されると思う。

そう言う意味でも、ギャグ漫画として完成度の高い作品。

ただ、あえて苦言を呈すると、作者の個性や資質の問題なんだろうけれど、話に「広がり」を出すのは苦手な人みたい。その場その場の「お祭り騒ぎ」は楽しいものの、後にも先にも話が続かないと言うか、こういう作風は下手をするとひたすらグダグダな展開になりがち(事実、この4巻では既にその兆候が…)。

続けようと思えば永遠に続けられるタイプの漫画だが、ダラダラと続けるよりは、面白いところで終わって、また次回作に向けて充電してくれた方が作者にとっても読者にとっても良い結果を生むと思う。

PS.あとがきで「くのいちが、きゃっきゃ、ウフフしている漫画が描きたかった」と作者が語っているのを読んで、さすがだと思ったw。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-02 17:17:57] [修正:2008-02-02 17:17:57] [このレビューのURL]