「オカシュー」さんのページ

総レビュー数: 252レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月18日

多くのマンガを読む中でちょくちょく出会うのがスロースターターの作品である。
出だしから中々盛り上がらない。物語が波に乗れてないというか。
しかしそれは逆に「後からぐんぐん面白くなったけどねっ!」という事も言いたい訳である。

つまりそれが「サイレン」なのである。

私的にエンジンのかかりが遅かった作品を挙げるならば「弱虫ペダル」「クレイモア」がそんな感じであった。
しかしそれでも2巻程読めばのめり込ませてくれた。

なのにこ奴は・・・この「サイレン」4巻ぐらいまで微妙だ。

完全に失敗していると思われるメガネっ子ヒロインとか色々言いたい事はあるが最大のネックはタイムスリップの設定を生かしきれずただのバトル物と化しちゃっていた事だ。4巻までは。
5巻以降はもう自信を持って「良い!」と言えるのだがそれにしても下積みが長すぎた。

多分最初から読んでいる人で見切りをつけた人もいるかもしれない。
でもそんな人こそ読み直して欲しい。「サイレン」はこんなに立派に成長しましたよ、と。
現在では子供キャラが成長して魅力も増大、タイムスリップ設定もバトルも生き生きと動き出している。 
ジャンプ3強と比較しても遜色ない、と思わせるほど盛り上がっているのです。パチパチパチ。

ちなみに難産だった1巻から4巻までを私が読み堪えられたのはあるマンガサイトのお薦め記事による。(残念ながら今回はここマンガレビューではない)
そのサイトのおかげで楽しみをこぼれ落とすことなくおいしくいただく事ができている。
そして私もこのレビューで誰かの胸のサイレンをかきならす事ができるかどうか。
この大器晩成、遅咲きの花を一度愛でていただきたい。

そんな事を思いつつジャンプ本誌を見たならば掲載順が最後・・・。
このクオリティでドベ争いとか、ジャンプって厳しいのう。
ヤバいのかな、面白くなってきているのに。まさか打ち切りってことは・・・。

しかし所詮実力の世界、それも良かろう。
崖っぷちから這い上がってこそ真の実力者なのだから。

どんな結果になろうとも私は最後まで読み続けるつもりだ。

「サイレン」

いろんな意味でドキドキする作品だぜ。




ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-26 01:07:57] [修正:2010-05-26 01:37:25] [このレビューのURL]

今はもう影も形も無いのだが小学館「少年ビッグコミック」という少年誌(青年誌ではない)が遠い昔創刊された。
この雑誌の知名度を急上昇させたのはあだち充「みゆき」だった。

そして当時からあだちファンだった私は創刊号からこの雑誌を読んでいたのだが「みゆき」に肩を並べる人気のラブコメ作品が同時期に連載されていた。

それが尾瀬あきら初少年誌連載作「初恋スキャンダル」である。

このサイトでの「夏子の酒」高評価を知り読んでみたところ昔の記憶がジワジワ蘇って来た。ならば昔読んだあの作品をもう一度読みたしと。
その後運よく古本屋でめぐり合えたので即購入、今回のレビューとあいなった。

評すると「夏子の酒」くらい面白い。私的には上でも下でもない。
同列におもしろいと評したい。
初連載作品と青年向け後期作品が同じ。それには理由がある。

尾瀬先生のマンガスタイルは全く新しいモノを開拓していくという感じではない。
例えば伝統行事を守り続けて行く職人さんのような漫画家である。次世代を切り開く若い作家に対し古きを温める旧世代作家、のような位置づけにある方ではないかと考える。


「夏子の酒」と本作を比べるともちろん作画に未熟な点はあるものの違和感を全くと言っていい程感じないのだ。作画、キャラクター共に変わらぬ良さがそこにある。
それ故に「夏子の酒」を読んだ時猛烈にこのマンガをまた読みたくなったのだ。

「みゆき」と比べるならばキャラの魅力ではあだち先生が一枚上手だが内容はいい勝負している。
それを証明するかのようにこの同時期連載作品「みゆき」と「初恋ー」はどちらも小学館漫画賞を受賞しているのも興味深い。

夏子の酒×ラブコメVSみゆき=初恋スキャンダルとなるか。

良作だが古い作品なので読む機会も無いかもしれぬ。
ならば知識として備えておき例えば友人との会話で

「夏子の酒」?あぁ良いマンガだけど尾瀬語るならやっぱ「初スキャ」じゃね?

などと通っぽく使うのがよろしかろう。




ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-16 00:28:00] [修正:2010-05-16 00:43:33] [このレビューのURL]

前作「あんたっちゃぶる」より続くゲーム業界ぶった切りマンガ。
多分半分以上ノンフィクション。64、プレステ1,2、時代に描かれたモノであるがその情報は今もって役に立つしおもしろいし再読できる。

家庭用ゲーム機関連で言えばファミ通クロスレビュー問題とかマジコン問題とかを当時既に取り上げているから凄い。
ゲーム以外も世間に騙されない為に知っておきたい大人の裏事情をおもしろおかしく描きなぐっている。

若いゲーム世代の方も当時のソニー陣営の躍進ぶりや任天堂の迷走ぶりを知るのもかなり興味深いハズ。

絶版かどうかは知らないが新品では流通していないだろう。
古本屋で捨て値であればお得感は8点以上か。

全ページカラーでガッツリ読み応えありどすえ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-15 22:19:19] [修正:2010-05-15 22:19:19] [このレビューのURL]

森田まさのり短編集。うん、おもしれ。
ただし作品ごとのページ数の差は激しく5ページ(おい)作品から80ページ作品まである。

「べしゃり暮らし」ひな形と言える「柴犬」の為にある一冊と言っても過言ではないかもしれない。
誰も手を付けない「お笑い業界」テーマの作品に挑戦しヒットさせた実力はこの読みきりでも味わえる。

実は最近になって読み始めた「ROOKIES」にハマりかけている森田まさのり初心者ゆえにちょっと甘めの8点は許してたもれ。

しかし少年誌向きの絵ではないなぁと昔から思っていたのだが、あとがきに「谷口ジローが好き」と書いてあるのを見てかなり納得した。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-05 02:13:13] [修正:2010-05-15 21:33:48] [このレビューのURL]

「ふっふっふ、これは少ないだろう何時レビューしてやろうか」と虎視眈々としていたのですが思ったよりレビューがありちょっとショボン。
他の方のレビューを読ませていただき想像していたより低かった評価にもっとショボン。
「本を買う必要はないのでは?ネットで見られるし」というダメ押しにショボボン、ショボボン、ショボボンボン。(タイムボカンシリーズのノリで)

通常版とさらに新装版も持っている私って一体・・・。

井上マンガはその素晴らしいストーリーに気持ちを持って行かれがちだが絵だけ見ても楽しめる数少ない漫画家の一人だと私は思っている。
それはインタビューでの「前(作)より絵がうまくなってないとイヤなんです」という発言や、「バカボンド」と「リアル」の二作を作画手法を変えながら同時連載しているというこだわり具合でよく分かる。

つまり所有欲をかなりそそられるのであります。

本作は「ネット向け」作品の為絵は雑っぽく見えるがそれさえもB級映画的な躍動感とSFスポーツという異系ジャンルがよく馴染んでる。
本人のあとがきにも「ストーリーや絵のはずむような感じは二度とこれと同じものは描けないだろうなと思わせる」とコメントしている。

コマが大きいのでボリューム的には少年マンガ単行本二冊くらいになるか。
個人的には続きが読みてぇっと思えるいい漫画だった。
本人も「今でも時々読み返しては描いた僕本人が元気をもらっているそんな特別な作品になりました」と語っているくらいだ。

現在の青年誌作品とは違う「スラダン」の甘い香りを色濃く残すこの作品。
多分このマンガの本質は「思い入れマンガ」というべきジャンルなのかもしれない。

読者にとっては突然の事に思えた少年ジャンプ本誌での「スラムダンク」の終焉。
終了後も読者の熱いラブコールは続いていた。バスケ系「リアル」が始まるまでの三年弱。

多くのファンが思っていた。
私ももちろん思っていた。

井上雄彦のバスケット(漫画)が。

読みたかったんだ。

井上のバスケが。

このマンガはそんな「思い入れ」で出来ているのだ。





ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-14 01:32:43] [修正:2010-05-14 01:59:14] [このレビューのURL]

マイブームで勝手にキャッチフレーズを付けるのが流行った事があった。マンガにも読んだイメージだけで付けていく。
モンキーターンに私が付けたキャッチフレーズは。

「静かに熱い」

河合作品をよく読んでいる方なら多少は賛同してもらえるんじゃあないかと思うのだがどうだろうか。
躍動感は少し足りないかなと思う絵柄ながら熱くなる場面の遭遇率がやけに高いのだ。

実は河合マンガを読みだして日は浅い。2年経っていない。
その読書遍歴は「とめはねっ!」で興味シンシン、「帯をギュッとね!」で自分の中の好きな作家リストに登録、そして今やっとこの「モンキーターン」にたどり着いた訳である。

この作品を先延ばしにしていたのにはわけがある。競艇に興味が無かったからだ。
もちろんそれは今までに何度も繰り返してきた過ちだ。思い込みと偏見。

でも。ああ、読んで良かった。そう思える作品であった。

河合作品には女性ファンも多いと思うがこの作品は主に男性に合っている。
特に20歳以上の方に強くお薦めしたい。

その理由としては。

一、大人のバトルだ。
他作品と比べバトル色が特に強い。競艇バトルの面白さは作家河合克敏だから描けた面白さ。
この徹底的取材の上に紡がれた物語は冨樫作品とはまた違った大人の楽しめるエンターテイメントとして仕上がっている。

二、臭っ!
キャラがとても人間臭い。単純に割り切れぬ人のこころ。そして恋愛も大人の味わい。
青島さんは悲しすぎるし超脇役小林さんのお話を解する事は小中学生じゃムリ。
才能の無い人間があがいてあがいてそれでも前に進もうとする姿に感動できるのは苦渋をなめまくった大人の特権。

三、ギャンブルだもの
もーれつに競艇場に行ってみたくなる。そんな時成人なら問題なし。
舟券を買えばさらにマンガが面白くなる(?)

その他御当地競艇場が出てくるの楽しみの一つ。(我が県にもあります)
またトリビアとして競艇という題材は編集者に薦められての事らしい。自分に無縁だったテーマをこれだけ面白く描ききるのはやっぱ凄い漫画家だよこの人。

まぁ、そんなこんなで最後に一言言わせてくれよ。

競艇は水上の格闘技。

「モンキーターン」は静かに熱い!










ナイスレビュー: 4

[投稿:2010-05-09 01:46:42] [修正:2010-05-09 02:30:33] [このレビューのURL]

短編集。「もやしもん」ファンは楽しめると思います。
チャラい絵のギャグ作家がやるような内容を凄い描き込みの絵でやっているのが最大の特徴。

差はあるけれど大体どれもいい感じでおもしろい。
ただこの作品に限らないが出演キャラの代わる短編の宿命か思い入れはしにくい。

個人的には忍者の話は連載で続きを読みたい。

しかし絵は練習すれば上手くなるものであるがこの人レベルになるのは才能も必要と感じさせられる。

醸(かも)された秀作。









ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-05 00:08:48] [修正:2010-05-05 00:08:48] [このレビューのURL]

珍しい対談マンガ。雑っぽい絵に敬遠しがちになるが充分おもしろい。
なにより作者の芯の通った生き様が感じられ好感触だ。

しかしこの漫画の真の目的である道に迷える若者に一筋の光明を的な部分は決して成功していないと思う。
それはこの漫画自体が悪いというわけではなく表現媒体の問題で。
もう死のうとか生きる目的を見失っているとかの人は普通に漫画なんて読んでないだろう。

あくまで漫画作品として評価できる。
あと漫画で対談やる必要はないかと言えば私はそんなことは無いと思う。対談漫画でしか表現できないモノはあると思うし何より文章と違って読者に手に取って貰いやすい。

全体的にみて良作。ただ密度が濃いので漫喫とかで一気読みはよろしくない。買って読もう。
それに対談相手に井上雄彦とか宮藤官九郎とか出てくるのでそれだけでも買い。

絶望には効かないかもしれないが、ありきたりの漫画に飽きた人には効くと思います。

山田玲司作品を読むとっかかりにいかが。




ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-04 23:07:28] [修正:2010-05-04 23:11:27] [このレビューのURL]

今、人気の王道少年マンガを挙げるならば「ワンピース」「ナルト」「ブリーチ」辺りであろうか。
しかし王道イコール、ワンパターンでもある。それ系バトルは巷に溢れている為高校生くらいになると批判的な目で見てしまう諸氏も多かろう。

そんな時は「ハンタ」の出番だがそれ以外にお薦めしたいのがこの「覚悟のススメ」だ。
一癖も二癖もある内容はドリアン的漫画といえる。味にハマると癖になる。
 
作者は「シグルイ」で人気作家の地位を確立した山口貴由。しかしここは作品「シグルイ」は忘れていただきたい。シリアスのみの「シグルイ」の作風とは明らかに違うからだ。
原作無しの山口貴由の本質はなかなかのぶっ飛び具合なのだ。

1994年に開始された本作品、編集部が求めたのは「北斗の拳」タイプの漫画であったように思う。
事実、初巻では北斗の拳ばりの悲鳴シーンもでたりする。壊滅した近未来の地球が舞台であり主人公と悪の構図や兄弟どうしの戦いなどモチーフは非常に近しい。

しかしそれだけだ。
上記のかなりのかぶり具合をもってしてもそれだけだと言いきれる程の突き抜けたオリジナリティがそこにある。

いくつか挙げるとするならば。

一、名シーン、名セリフの数々
本当にもう名セリフのオンパレードだ。この辺は「シグルイ」を読まれた方には分かってもらえるのではないだろうか。
エピソード「後方支援」は最高傑作。

二、ちょいエログロ
「シグルイ」レベルはある。男性のイチモツとか下の毛とか妙に強調されているのでちびっ子は大きくなってから見よう。

三、完結してる。
流れるようにキレイに終わっている。最近の漫画に「だらだら引き延ばすなよ」と不満を漏らしている人にはピッタリあうはず。
ラストのオチのぶっ飛び具合もそうとうではなかろうか。

以上まとめるならば異色変身ヒーロー物。ただ異色の度合いがハンパないだけだ。
よって賛否両論なのはこのサイトの評価でも充分承知。しかし最近マンガを貸し続けていた知人に「薦めてくれた漫画の中で一番おもしろかった」との感想を聞きレビューを書く気になった次第だ。

ぜひ山口貴由の本気具合を一度確かめてみてもらいたい。

おっと、そうこうしているうちに「パソコン使わせろ」と我が家の戦術鬼(息子)がやってきた。
最後に名セリフの一つを引用してこのレビューを締めくくりたい。

負けるのが恥なのではない!
戦わぬのが恥なのだ!

そんなセリフを胸に秘め、また一つ稚拙なレビューを書きなぐる。




ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-04 03:23:59] [修正:2010-05-04 03:45:49] [このレビューのURL]

我が家の一部屋がえらい事になっている。
マンガ倉庫になっている。(マンガ部屋ではない、もはや部屋として機能しなくなっている。)

それは人の居住区を脅かす存在となっている。

しかしロクに整理していないのだが読み返そうと思った時に意外と取り出しやすい。
なぜならよく読み返すマンガは上に上に、前に前に、そして読み返さないマンガは下に下に、奥に奥になるという上手い事できた自然の法則(?)があるからだ。

それでこのケンカ漫画「カフス」、残念ながら下に下に、となりそうだ。

いや実は面白くだれる事無く読めた。つまらない訳ではなかった。
ただ心に残る名シーン名セリフを見つけられず再読とまで思えなかったのが惜しい。

マンガは暇つぶしアイテムとしての側面を持つ。
その観点からすれば充分合格点であり娯楽作品として途中で投げ出したくなるようなマンガではない。

そーゆー作品もマンガ好きとしては愛してゆきたい。

いいんじゃない。「カフス」。

ラーメン屋の待ち時間に威力を発揮する、あとくされなく読める一冊だ。

まさに5点中の5点。(ほめ・・・てる・・・?)



ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-03 01:14:17] [修正:2010-05-03 01:17:43] [このレビューのURL]