「オカシュー」さんのページ

総レビュー数: 252レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月18日

8点 CLAYMORE

ダークファンタジーバトルの傑作。
幼少親しんだ故・月刊少年ジャンプに(現スクエアだが)まさかこのような名作が誕生していようとは。いや不勉強、不覚。

ダークファンタジーという事でベルセルクと(まさに)ガッツり比較させる事がこの漫画を解明する指針となろう。
(そういえば最初の数話盛り上がらず急に面白くなるのも一緒だなぁ)

さてこの2作品、掲載誌の違いが大きな意味を持っている。

ベルセルクはヤングアニマル掲載の青年マンガであり時には成人マンガレベルのギリギリの表現へも踏み入れる事を許された(?)マンガである。
主人公の殺人シーンは日常茶飯事であり倫理を超えた表現描写も含めて高く評価される。
だが例えば女性のレイプシーンを数ページかけて細かく描写するのが本当にこの作品に必要な事なのかという疑問も残る。

対するクレイモアのメイン読者層はコロコロと同じくらいの月刊少年ジャンプである(開始時)。開始から大きな制限があった。
その為主人公は妖魔を殺すというより退治するのであり、一歩譲っても戦う相手は半人半妖。人は殺せないルールを設けていた。

しかしこのクレイモア、ダークファンタジーとしてその制限ハンデをものとせずベルセルクと肩を並べる程評価されるのには訳がある。
無論単純に面白いからなのだが特に大事なポイントを2つ挙げておこう。

1・笑いを一切入れていない。
ギャグシーン等笑いを入れると子供受けし易い半面、作品が幼稚になる。これは月ジャンでは冒険だったが良くやった、と言いたい。
くだらない笑いを事あるごとに入れるという現在の人気作(ナルト、ブリーチ、ワンピース等)の方程式を使わなかった事がこの作品を大人に認められる良作として成立させた。
(ベルセルクはヘタな笑いを入れたばかりに評価を落とした部分があると思う。)

2・実は少年漫画の基本は押さえてある。
整った絵柄や終始シリアスという点で大人向けに創っているかといえばそうとばかりもいえない。
バトル少年マンガの王道はキチンと押さえており美形キャラ、必殺技等を控えめながらも揃えており作品的にブリーチ等と同じ部類に属するのである。
ただクレイモアは設定、展開にいきあたりばったり感がなくしっかりしておりチャチくないのだ。
バトルさえ大人を裏切らない上質さがある。

まとめるとベルセルクはダークファンタジーの世界を「その敷居の高さのまま」表現しようとしているのに対しクレイモアはダークファンタジーの世界を「少年マンガの文法」で表現しようとしているのだ。

もちろんどちらの作品もあなどりがたい漫画であり容易な結論は出せない。
しかし完成度ではクレイモア一歩リードと私は感じている。ベルセルクには不安要素がある。
面白さに波があると感じるのだ。鷹の団、蝕までとそれ以後の物語のアツさに明らかに差があり休載も多い事を考えると心もとないと言わざるを得ない。
それに対しクレイモアは安定した面白さを保っていると感じる。

しかし結論はまだ早い。それは皆さん御承知の通り。

そう「完結」したとき。

これからだ。この作品達の真の評価が明らかになるのはこっからだッ!!







ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-12-05 23:50:05] [修正:2009-12-06 00:51:31] [このレビューのURL]

異質SFアクション漫画とでも云おうか、この「オメガトライブ」。
ただし杉山清貴は出てこない。歌も歌わない。

独特のアイディアを核に据えて中々壮大な物語でたっぷり、しっかり楽しめる。
前半は玄人も唸らせる重厚なストーリー、中盤からB級アクションモノへと変化していく。
その点に多少の違和感を覚えるが総じて良作。読んで損はなし。

私の大好きなキャラクター柴千春(刃牙トーナメントの暴走族)のDNAを受け継いだ梶君のキャラは最高。
彼のおかげで後半は3倍面白い。

ラストが途中終わりな為、そして単純に面白い為続編を読まざるを得なくなる。

ところでウィルの下半身は尻尾と言う事で漫画とか出版物を監視してる倫理委員会みたいな人たちは納得したのだろうか。

絶対無理だろ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-04 01:09:08] [修正:2009-12-04 01:19:58] [このレビューのURL]

前作を読んでいないと楽しさは半減する。要必須。
相変わらず梶君の活躍がこの物語の面白さをパワーアップさせている。
イカス。

ボスキャラが出そろってからも安易なバトル漫画に成り下がらずに踏みとどまっていたのも大きく評価できる。

ラストは大風呂敷を見事にまとめ上げ完成度の高い作品として名を残す事になった。お見事。

杉山清貴は歌わないが大良作。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-12-04 00:58:46] [修正:2009-12-04 00:58:46] [このレビューのURL]

子育てを経験された方なら分かってもらえるだろうが、小さい子供が凄くかわいい愛らしいと思える期間はとても短い。
無論かわいいと思える事はその後も度々あるのだが、それ以上に憎たらしいと思える事が増えるのだ。

子供の見る物全てに感動する期間も幼少のほんのわずかであり、すぐ外で遊ぶのでさえDSやってたりする状態になる。
(DSは買い与えねば友達の輪に入れなかったりするし)

よつばと!は子供が天使に思えるほんのわずかな短い期間を切りだして見せてくれているのだ。
現実ではあっという間に過ぎる一カ月を8巻もの巻数にてこれでもかと描き出してくれる。
よつばが可愛く見えない訳がない。天使の期間だけみせつけてくれるんだから。

癒されるわ、癒されるわ。私もメロメロになりかけた。

もちろん作者あずまきよひこの天賦の才あればこそだ。
季節の変わらない夏だけエピソードを8巻延々描き続けて飽きさせないなんてそんじょそこらの作家じゃ出来ない。
マンネリにならないのは奇跡的手腕だ。

人生の輝ける一瞬を見事にとらえた「よつば」物語。
まさに大きく美しく輝き、すぐに消え去る打ち上げ花火のように。
しかしだからこそ人生は素晴らしいのだ。
アイスクリームが、もらえないお土産が、やんだが、ちょっとおいしい牛乳が・・・

また一つ傑作が生まれた・・俺の中で。





ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-12-02 00:07:52] [修正:2009-12-02 00:20:34] [このレビューのURL]

読みました。むぅ、これがリアリティな描写で話題の「GIANT KILLING」か。

私自身はサッカーも含めスポーツは実際にプレイしないし、観戦もしない。素人中の素人だ。なのでスポーツ漫画はバトル漫画よりの派手な超人プレイと必殺技応酬の方が楽しめる。
よってリアリティあるスポーツ漫画を特に応援したい訳ではないがコノ漫画、素直に面白かった。

しかしリアリティな漫画を描く事は楽な部分もある。
取材を重ねればある程度のモノは出来あがる。人物、チームなどは実在のモノをもじりながら拝借したりする一方で漫画最大の魅力、イマジネーションの割合は低くなりがちだ。

そしてリアリティは地味な展開に陥りがちにもなる。
地味な部分も上手く面白くどれだけ演出できるかが重要であり、その点に関してこの作品はとても優秀であった。
サッカーの知識と物語を創る才能の見事なコラボ、と言えるか。

ただプロサッカーへの造詣の深さの程度で評価の分かれる部分もある。
例えば試合練習以外のエピソードがいくつかあるが恋愛話は一切出てこない。(現在、11巻までは)
明らかに可愛いマネージャー(?)がいて主人公と絡める事が出来るのに、ほったらかし。じゃあ他にどんなエピソード入れているかと言えば、おじさんサポーター達のいざこざとか。(ぬおっ、頑固なまでの地味テイスト!)さらに小学生の応援奮闘記とか。(はわっ、圧倒的な地味テイスト!)

私などはその展開に多少の物足りなさも感じるのだが、青年誌で必殺シュートを打ちまくらないコノ方向性は間違ってはいないと感じる。
そして成功例の一つと言えるであろう。
サッカー観戦した事もない。Jリーグのチーム名も言えないこの私がとても楽しめたのだから。

「GIANT KILLING」

私はリアリティがあるからこの漫画をほめているのではない。
おもしろいからこの漫画をほめているんだ。









ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-30 01:03:02] [修正:2009-11-30 02:03:17] [このレビューのURL]

10点 ONE PIECE

すごく面白い!人間の喜怒哀楽を高レベルで表現した良い漫画だと思います。

嫌いな人もいらっしゃるでしょうが全く問題ありません。
だって人には好みというものがあるのだから!

あと長期連載はダメ、長すぎるというのも違うと思います。
面白さに長い短いは関係ないですから!
もしつまらないと感じたならきっと別の原因があるはずです。
 
単純に好き嫌いで漫画の評価は出来ないなぁと他のレビューを
読んでいてつくづく思いました。

だって本当に本当につまらない作品はレビューされないから!
読者に相手にもされないですから・・・

こんな数のレビューを書かれるのは幸せなことと思います。
まだまだ続いて欲しい、ワンピース!!

(追記)
先日、単行本56巻にて初版最高記録285万部をたたき出したそうです。

いやはや、なんてぇ作品ですか。
56巻も続いたら読者は増えるどころか減るのが普通なのに。
(これは「長すぎる」という否定的な意見が実は少数派と言う事でしょうか。)

自分自身の事で言えば単行本派だったのに次が待ちきれなくなってジャンプを読むようになってしまいました。

そしていくらかの人が誤解していると思われる事をここで一つ挙げておきたいと思います。
大好きな私が言うのもなんですがワンピースにはいくつかの欠点があります。
それに関しては他の方の鋭いレビューが射抜いています。ただ嫌いなのはしょうがないとしても評価となるとまた話が違ってきます。

大事なことは欠点の無い作品がかならずしも面白い作品ではないという事です。
マイナス点が無くてもプラス点が30点ならば、その作品の合計点は30点です。ワンピースはマイナスが10点あったとしてもプラスは100点くらいの作品なんです。

つまりそれが初版285万部です。

漫画喫茶が立ち並び本が売れないといわれるこのご時世に単行本を買いたいと思わせる魅力!
これだけの長期連載を高い水準で維持し続けるのは今までのどんな一流漫画家も成し得なかった事です。

もう才能だけの問題じゃない気がします。
世界で一番マンガ好きなのは尾田先生なのかもしれません。

所持巻数 54巻







ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-07-16 23:48:37] [修正:2009-11-29 16:18:08] [このレビューのURL]

10点 鈴木先生

私は自分が面白いと思ったものを多少強引でも他人に紹介したい、読んでもらいたいと考える人間だ。(レビュー投稿されている方ならいくらか分かってもらえると思うが。)
今も多くの面白い漫画に日々出会っているが、その中でも特に紹介したい漫画にはいくつかの条件がある。

1自分が凄く面白いと思ったモノ(当たり前)。
2世間的に広く認知されているとは言い難く大ヒットとは呼べないモノ。
3ありきたりの型にハマったものではなく何か一つでも飛びぬけた異質なモノを持っている。

なんか(そりゃそうだろ)的な事を書いてしまったのは大声で薦めたい「異質」モノが、そりゃあもう「異質漫画」がここにあるからだ。
前フリ長くて申し訳ない、それがこの「鈴木先生」だ。

熱血教師の学園モノとして第一話は完璧に近いと思う。
「金八」ドラマの漫画版的内容は大人をも唸らせる事請け合いだ。
しかしそこまでだ。母校の図書館に寄贈したいと思うような内容はそこまでだ。

二話以降「異質、異質ウゥゥゥゥ!!」と叫びたくなる異次元ストーリーが展開される事となる。
次々と明かされる鈴木先生のキャラクター。

「セックスは生派だ。」と恋人どころか生徒にまで断言する鈴木先生。
自分の好きな教え子を「仏さま」と名づけ心の中で神格化する鈴木先生。
その生徒を思い出しては自分を慰める鈴木先生。
体から霊魂が飛び出し恋人を監視する鈴木先生の彼女。

いやいやいや。

そして次々と壊れて行く同僚の先生達。
中二とは思えない話術が繰り広げられるクラス討論会。

「ありえない!」「いや、ありえる!?」などと読者の心は大きく揺さぶられながら異次元に飲み込まれる。

まさに異質。この「鈴木先生」ワールド、ぜひ一度体験してもらいたい。

破壊力、ハンパねぇ!!













ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-11-23 03:28:24] [修正:2009-11-27 05:18:00] [このレビューのURL]

水島プロ野球漫画。
水島漫画のプロ野球編は実在の球団を多く扱う場合が多いのですがこれは日本プロ野球すべてを創作した大意欲作です。

作者のまさに脂の乗り切っている時期だからこそ生まれえた作品だと思います。
球団の思惑や選手、監督にもスポットを当てながら主人公が追い求める「光のボール」完成までの道のりを描いています。

ただ水島野球漫画の最大の楽しみである試合やライバルとの盛り上がりは少なめな感じです。
球団、選手のすべてがオリジナル設定という所でコアなファンの為の水島ワールドを楽しむコレクションと言えるのかも・・・

しかしながら昭和50年代の水島作品はどれも秀逸な為、普通に面白く読む事ができるのでつまらなくて投げ出す事はないでしょう。

所持巻数 16巻

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-07-27 22:50:54] [修正:2009-11-26 03:14:43] [このレビューのURL]

思えば80年代はラブコメが燃えていた時代であった。
サンデーが異常に元気よく「タッチ」「みゆき」等、火付け役の1人は確かにあだち先生であった。
その後あだち(系)ラブコメ漫画を描く漫画家が大量生産されブームは大爆発。そして時代は流れた。

あれから30年が過ぎた。ブームはとうに去ったものの少年誌にラブコメは手堅く一定枠を確保している。
しかしそのラブコメ形態は様変わりしていた。1話に3回以上パンツ見せるか、いやいやそれ以上くんずほぐれつかという次世代型(エロ合体型?)が主流のようだ。それは「青春モノ」とは言いにくい作品群となりはて、もはや「性春モノ」と呼ぶ方がふさわしいジャンルとなった気がする。

そんな中、あくまで青春モノを貫く先生はどうしているのか。「クロスゲーム」。・・・よしっ。
今だに週刊連載で作品を発表しつづけ、人気作の証としてアニメ化もつかみ取っている。

似たキャラ、話しと言いつつもあきないんだよなぁ。
くすっと笑えて少し心が温かくなる、そんな感じ。
あの雨後のタケノコのように生えてきた二番煎じがほとんど見られなくなってもオリジナルはやはり健在。

あだち充は一時のブームではなかった。本物でしょう。

少年漫画ラブコメにおける青春モノはもはや少数派なのかもしれませんが。 

乳首もパンツも話題にならない。そんな漫画もあっていい。



ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-11-18 23:59:15] [修正:2009-11-26 00:57:09] [このレビューのURL]

農大キャンパス漫画。
主人公は肉眼で菌がみえる能力を持つが、この漫画の最大の特徴はそんな所には無い。

襲ってくる。菌と共に大量の「うんちく」が襲ってくるのだ。

覚えたら明日友人に自慢できる雑学とかのレベルではない。
時には数ページにのぼる「うんちく」のコマ数とセリフ量は凄まじい。
夜中に読んでいると睡魔との闘いになったりする。

通常編集者がみたらまずネームの段階でボツにする文字数なのであえて狙ったと思われる。
つまり多くの読者が読み飛ばす(!)事を前提でのセリフ作りをしている。
専門書から切り貼りされたような説明群を読み飛ばしながら確かに頭のよさそうな漫画にみえる気もした。

新しいギミックの漫画と考えるのが妥当なのか。
ちなみにその他の部分はクオリティが高くとても楽しめた。
それゆえの話題作なのであろうが巻を重ねる度に読み飛ばす部分が激増しなんだかとても腹立たしいのは私だけなのか。

読み切れない「うんちく」のばらまき。これを肯定するか否定するかが「もやしもん」の評価を左右する、そんな気がする。
しかし絵をながめて楽しめる漫画はよくあるが、大量の文字をながめて楽しませようという漫画が台頭してくるとは。

日本マンガ文化恐るべしだ。



ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-21 00:42:59] [修正:2009-11-21 00:42:59] [このレビューのURL]