「十歩神拳」さんのページ

総レビュー数: 76レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年11月30日

冬目先生の作品は基本的には好きですが、本作は冬目作品では一番微妙でした(lUNOを除く)。
序盤は「何か起こりそうだ」という雰囲気やかなり謎に包まれた設定が魅力的で期待感を募らせましたが、結局全部小さくまとまってしまい、オチも「ふーん・・・」って感じです。

なんか全編通して他人事っぽいというか、「こういう出来事があったんだよ」ということを第三者視点で淡々と語られている感じがしました。

登場人物にも感情移入できなかったし、「羊のうた」や「イエスタデイをうたって」のように心の奥底に届くものもなく、いまいち心に響かない作品でした。

とはいえ、いつも通り、冬目作品特有の雰囲気は堪能できるので、新刊が出なくて冬目成分が不足してきたときの臨時補給なんかには打って付けかと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-30 11:30:27] [修正:2010-01-30 11:49:32] [このレビューのURL]

絶滅危惧種的なジャンルの漫画です。そしてサンデー本誌での連載も打ち切られそうでこの漫画自体の絶滅を本気で危惧しています。

もはや極めて珍しい、90年代の少年漫画香がする作品ですが、ジョジョとかと違い、本能的に作者の感性が染み出してこうなったというよりは、ノリを理解したうえで考えて書いているという気がしないでもありません。

とは言え、常人の思考では考え出せ得ない、正気とは思えないようなトンデモ展開が繰り広げられるので、鈴木先生は本当に良いセンスを持っていると思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-30 11:45:07] [修正:2010-01-30 11:45:52] [このレビューのURL]

9点 寄生獣

内容の素晴らしさは既に語りつくされていると思うので、ここはあえて本筋とは関係のないレビューをさせていただきます。

まず、本作はかの名作「デビルマン」をリスペクトし大きな影響を受けていることは、岩明先生が「ネオデビルマン」に一編を寄せていることからも間違いないかと思います。

もし本作が中途半端な作品であれば、「パクリ漫画」と叩かれた可能性も否定はできませんが、いまだ本作は名作と語り継がれています。
その理由は、多くのデビルマンファンが感じた「デビルマン」の本質や真髄を理解し、汲み取っているからではないでしょうか。

永井豪先生がもとより明確な理念を持った上で計算して「デビルマン」を創り上げたかどうかはわかりませんし、偶然により誕生した悪魔的な名作であったかもわかりません。

しかし岩明先生はその「デビルマン」から何かを感じ取り、それを滋養分として漫画家になり、他のクリエイターが成し得なかった「完全版デビルマン」とも言える作品を見事に完成させることで、「デビルマン」の凄さをデビルマンファンの代表として知らしめたのだと思います。

そしてそれと同時に人間の優しさや温かさ、冷酷さを独自の感性で奥深く描いたり、類まれな構成力を見せ付けることで自身の漫画家としての実力や存在感も明確なものにしました。

自分の好きな作品を礎としながらも、自分だけのセンスも100%発揮した作品なのだから、これは間違いなく名作とよべるのではないでしょうか。

ナイスレビュー: 11

[投稿:2010-01-30 11:12:01] [修正:2010-01-30 11:12:01] [このレビューのURL]

藤田和日朗先生は常に変化を遂げる漫画家だと私は思っています。

全タイトルを通して「藤田節」は失われていないものの、彼の作品は常に新らしく、それぞれの作品が全て異なるテイストに仕上げられています。
そして、全ての作品が読者に圧倒的な衝撃を与える魅力をそれぞれ秘めていると思います。

そのため、読者は最初にリアルタイムで最初に触れた藤田作品にあまりにも感動してしまい、その後に読んだ作品と最初の作品を無意識に比較して、後に読んだ作品が劣っていると感じてしまうのではないでしょうか。

私がサンデーを買っていた時には既に「からくりサーカス」が始まっていたので、本作には複線の面や渋さ、緊張感などの点にどうしても物足りなさを感じてしまいました。

リアルタイムで読んでいれば評価も変わったのかもしれませんが、からくり世代の私には高得点をつけることはできませんでした。

そういう意味では、私のような読者には藤田先生の作品にまっとうな評価を下すことが出来ないのかもしれないと思いました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-08 12:00:00] [修正:2010-01-08 12:00:00] [このレビューのURL]

ストーリー自体は割と王道でさほど新鮮さは感じないものの、雰囲気も相まって独特の作風を確立していると思います。

他のレビュアーの方々も仰っているとおり、誰がいつ死ぬかわからない緊張感と、日常の緩い雰囲気をバランスよく持ち合わせているため、物語に緩急がつき、メリハリがあります。

欠点を挙げるとすれば、絵に迫力がないように感じられるのが個人的には気になってしまいました。仮にもバトル漫画であるのだから、戦闘シーンに迫力がないのは致命的だと思います。少なくとも私はこの漫画で鳥肌の立つような戦闘シーンはありませんでした。

また、ストーリー上、登場人物たちの心の変化や成長というものにも重点を置いていると思うのですが、その割には心理描写や演出が拙いと感じました。これではキャラクターたちが薄っぺらく見えてしまいます。

これらの点を考慮して、若干厳しめの6点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-08 10:51:08] [修正:2010-01-08 10:51:08] [このレビューのURL]