「十歩神拳」さんのページ

総レビュー数: 76レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年11月30日

良くも悪くもアニメ化による読者層の変化に影響を受けて徐々に丸くなっていった作品。

個人的にはアニメの影響を受けずフリーダムに展開していた、序盤の「不気味な5歳児」なしんちゃんや、やたら無表情なシロ、脇に徹するひろし、むやみなオカマ率の高さや書店の人のブロックサインが特に大好きですが、ひまわり誕生後の「兄としての自覚」が芽生え始めたあたりのしんちゃんの変化も見てて面白いです。

アニメ版が原作に及ぼした影響として、アニメの人気の上昇に伴い原作の下ネタやギャグの過激度をセーブさせてしまった気がする一方、アニメのスタッフ(特に初期のスタッフ)のこだわりとセンスで、原作に劣らない面白さを保ったまま超人気作にしてくれたのはまさに偉業としか言いようがないと思います。

というかアニメを放映してくてくれなければ私を含めてこの作品の面白さに触れることすらできなかった人もたくさんいたことでしょう。

そもそもアクション仮面やカンタムロボに対してのイメージって半分以上はアニメ版によって植えつけられたものだと思うし、ぶりぶりざえもんは真っ先にあの声と無駄な動きが思い浮かびますし・・・

そんな素晴らしいアニメだったからこそ、劇場版では臼井犠人自らが出演し熱唱するほど、原作とアニメが良い関係にあったのでしょう(映像化した自分の作品に不満を持つ原作者も結構多いみたいですし)。

そう考えるとクレヨンしんちゃんってアニメと漫画が二人三脚で作り上げた作品だと思いますし、あの時間帯で人気を獲得した以上、PTAの苦情やアニメの規制の影響で原作がパワーダウンするのも致し方ないのかななんて思います(これらが作品のパワーを奪うほどの影響量があるということ自体は腹立たしいですが)。

ただ、ここ数年のアニメ版スタッフからは原作を面白く映像化する気が感じられず、原作者や声優陣のやる気を根こそぎ奪い取っている気がするのは私だけでしょうか。

現在の漫画版の作者にはこの流れを断ち切ってほしいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-06-22 02:59:45] [修正:2011-06-22 03:14:34] [このレビューのURL]

この作品以上に面白い漫画や、凄みのある漫画はたくさんありますが、これ以上に「良い漫画」を私は読んだことがありません。

直球の王道的展開にして、努力・友情・愛・勝利・冒険などの少年漫画の重要要素をほとんど兼ね備えて、しかも全く押しつけがましくないという、少年漫画の教科書の様な作品。
個人的には小学生の内に読むべき漫画第1位と言っても過言ではないと思っています。

特にポップを通して描写された「勇気」は本当に奥深く描かれていて、今読み直しても感動できます。
まさに勇気をくれる漫画でした。


欠点を挙げるとすれば、作中での時間経過が余りにも短いことはが少し気になりました。
マァムの修行期間がたったの2週間だったり、ヒュンケルは5日間しか山にこもってなかったり、デルムリン島を旅立ってから最終決戦までの日数が3ヶ月足らずだったりする事を考えると萎えてしまうのが残念なところ。

それを差し引いても、まさしく名作といえる漫画でしょう。


余談ですが、「閃光のように」の陰に隠れがちであまり話題に挙がりませんが、個人的に「その瞬間、世界が輝いた」がこの漫画の最大の盛り上がりだと思っています。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-11-28 12:41:26] [修正:2011-06-15 04:30:19] [このレビューのURL]

世界観やキャラ、セリフに至るまで全てにどす黒い印象を受けました。
とにかくエグくて泥臭く、混沌とした得体の知れない世界なのに登場人物は皆嬉々としてその世界を生きているため、読者も読んでいて妙に楽しくなるのではないでしょうか。一種の雰囲気漫画としても読めると思います。

とはいえ、物語の進行に伴いじわじわと謎が解けていく構成はよく練られていて、決して雰囲気だけの漫画ではありません。

ただ、物語が修羅場を迎えているせいだとは思いますが、最近は登場人物が軒並みネガティブになってきている印象を受けるので、読んでいて若干息苦しく感じます。
個人的には前半の飄々としたキャラクターたちが好きです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-08 12:07:04] [修正:2011-06-15 04:03:20] [このレビューのURL]

少年漫画においての総力戦は、敵・味方ともに多数の戦力を持っていても、いざ衝突すると一人一倒のタイマン勝負になってしまうことが多かったり、主人公の独壇場になってしまうことが多いように思えます。
しかし、本作での基本的な流れは主人公勢力全体で敵勢力を打ち破った後に、敵のボス×味方勢力というスタイルが多かったのではないでしょうか。

そのため、ボス戦には味方サイドが全戦力を持って臨んでいる感がして、主人公以外も上手い具合に活躍するので、読んでいて面白かったです。

登場キャラクターも敵味方問わずキャラが立っており、それぞれの見せ場が丁寧に描かれているのもグッド。
そのため、いつだれが退場するかわからない緊張感が輪をかけて高まり、この作品の特徴の一つとなっているように思えます。

ただ、序盤は次々に新キャラクターを出す割にはそれぞれに対する掘り下げが浅いというか、個人的には登場人物のポジションやキャラ付けを把握出来ないまま次々にレギュラー化していったような感じがしたのが多少引っかかりました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-06-10 03:11:43] [修正:2011-06-10 03:17:13] [このレビューのURL]