「blackbird」さんのページ

総レビュー数: 185レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年03月31日

9点 JIN -仁-

タイムスリップと聞いただけでは、そんな奇想天外な設定をうまくまとめられないだろうと思っていたが、実際読んでみると、そこはさすが村上もとか。

丁寧に、伏線も拾い、ありえないだろうというような歴史上の人物達ともうまいこと絡ませて、最後もきれいにまとめていて、感動、感心しました。

ドラマも見ましたが、第二部をうまくまとめるかで評価が分かれますね。
漫画とドラマではラストも違うとか。
設定として、婚約者の扱いがかなり違うので、どなたかも書かれていましたが、なぜあそこまで必死に医術の発達にかけたか、動機づけがより強くなっていたと思います。

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[投稿:2011-04-16 16:23:43] [修正:2011-04-16 16:23:43] [このレビューのURL]

佳作揃いの短編集。

「黒鳥」は単なるバレエ漫画ではなく、むしろバランシンの女性観、身勝手な芸術家に翻弄される女達の苦悩など、人間の苦悩が鋭く描かれている。
最後に「黒鳥」を踊ったマリアの凛とした姿には、女として拍手を送りたい。

児童虐待という難しい問題を、丁寧に描いた「緘黙(しじま)の底」。
今こそこの作品は広く読まれていくべき作品だと思う。このような問題を描ける作者の力量はさすが。

4作どれもが、人の暗い部分に光を当てたもので、読み応えがあります。

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[投稿:2011-04-14 23:37:40] [修正:2011-04-14 23:37:40] [このレビューのURL]

この作者はたくさんの短編を描いていますが、決してハッピーエンドばかりではないんですよね。
ほわっとした雰囲気、付き合い始めたころの暖かい雰囲気の幸福感に包まれているかと思えば、そこにふっと辛い現実や別れが訪れることも。

「積極」では、辛い現実が主人公に訪れますが、何故か最後には明るい日差しが見えるような結末と感じました。

青林檎に込められた教授の想い。
ところどころにクスリと、かわいらしい笑いを取り入れながらも、最後にぐっと掴まれます。

残り二作は、どたばた、ちょっとコメディっぽく楽しめる作品。

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[投稿:2011-04-14 23:02:51] [修正:2011-04-14 23:02:51] [このレビューのURL]

まさか聖徳太子をこういう風に描くなんて、誰も思わなかったでしょう。発表当時から相当なインパクトを持ち、それから何十年たっても、相当な読みごたえ。強烈な作品です。

ファンタジー、オカルト、同性愛、近親相姦、神に仕える者への愛。
この作者でなければ、まとまらなかったと思います。

また、死や魑魅魍魎を少女マンガでこんな風に描くなんて誰ができたでしょうか。
だんだんと死霊が近づいていって、帝を連れていくところなんて、本当に怖かった・・・。
魑魅魍魎と遊ぶところは結構かわいかったですが。

それにしても、すべてを手に入れた聖徳太子が、一番欲しいものは手に入れられなかった切なさといったら。
完璧な人間などいないのですね。

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[投稿:2011-04-10 16:10:00] [修正:2011-04-10 16:10:00] [このレビューのURL]

前半はノンナがミロノフ先生に才能を見いだされ、若い時から活躍したがゆえに、その作品のイメージに縛られ、亡命(古い!)するかどうか決断するまで。

後半は一転、怪しげな大人の雰囲気をもったピアニスト、ルービツとの関わりから、大人へ成長する悩み、プリマとして一皮むける様子を描く。

全体的に昔の少女マンガ全開。
ただ、バレエのライン、厳しさ、そして、プロとしてバレエを踊っていくものの成長を描いた名作の一つで間違いないでしょう。

後半ではミロノフへの恋愛感情の描き方も大きく変わる。
おそらく連載当時では、こういった恋愛、性的な内容の描写も、また、若干レズっぽい話も、衝撃的だったのではないかと思わせる。そこを思い切り描いたのはやなり山岸凉子ならでは。

ソビエト時代の話なので、ファッション的には何ともいえない前時代的。そこからも当時の世界のことがわかるでしょう。

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[投稿:2011-04-10 16:00:44] [修正:2011-04-10 16:00:44] [このレビューのURL]

きしんちゃん、人気あったなあ。
凍っていたきしんちゃんの心が愛子のピアノで溶けていって、何度涙を流したことか。

冷たいと思っていた愛子のお母さんの本心が見えて、愛子も変わっていく。
子供は愛されていた、と感じるだけで変わる。

この頃の作品は、ところどころ古いなと思いますが、色あせませんね。

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[投稿:2011-04-07 16:56:11] [修正:2011-04-07 16:56:49] [このレビューのURL]

「ド」田舎に都会の男の子が引っ越してきた。
受け入れ側の田舎の子達の反応がいちいち面白い。
都会っぽさに憧れを持ちながらも、何となく見下されたような、自分たちの田舎を否定されたようなそよちゃんの複雑な気持ち。
さすがくらもちふさこですねぇ。

初恋云々もだけど、思春期の頃の親の鬱陶しさとか、面倒臭い友達関係とか、新しい生活環境へ踏み出す勇気とか、すごく上手に丁寧に描かれています。

絵がかなり変わってきた頃の作品なんで、特に後半では微妙ではあるんですが、作品力としてはすごくひきつけられます。

そよちゃんのお母さんの胆のすわり方がすごい!と思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-07 16:51:16] [修正:2011-04-07 16:51:16] [このレビューのURL]

少女マンガだけど、文科系スポコン漫画。
でも、絵がきれいなので、暑苦しさはない。

競技かるたの世界を世に知らしめ、
丸覚えするしかなかったような百人一首の歌の意味を教えてくれて、
もっとかるたの世界を知りたいと思わせる作品。

確かに恋愛は少ないかもしれませんが、そこはそれ、「しのぶれど・・・」のような太一の思いがどうなるか、楽しみにしています。

原田先生、須藤さん、名人、クイーン、女帝など、これまた魅力的で濃いキャラが厚みを持たせています。
コミカルな部分と、セリフもなくぐっと読み手を引き込む場面、
その塩梅や構成がとっても上手くて、掴まれます。

「敗北感」の描写力は圧巻です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-03-31 00:38:47] [修正:2011-04-06 01:06:48] [このレビューのURL]

怖い。

本当に怖い。

話の展開も怖いけど、その恐怖を描き出す山岸凉子の線の細さ。
これを読んだら、しばらく何かの気配を感じて背中がぞっとしてしまう。
「人形」の本来の意味を思い知らされます。

この漫画を処分するのすら怖くて出来なさそう・・・。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-03-31 09:36:00] [修正:2011-03-31 09:36:00] [このレビューのURL]

最初は何も知らなかったお嬢様が、
プロの仕事に触れ、様々な人と出会い、挫折して、大きく成長していきます。

作者の得意な女性の成長物語ですが、わかっていても引き込まれていきます。

千代さん、森さん、多峰さんなど、年配のキャラの厳しくも暖かい言葉が印象的です。
こういう魅力的なサブキャラがいると、物語も絞まります。

大好きな作品ですが、
最初はとっても丁寧に描かれていたのに、
最後はかなり絵が乱れてしまったので、満点にはできませんでした。

暖かい百恵ちゃんのビストロ&織田さんの本格レストランに行ってみたいな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-03-31 00:23:53] [修正:2011-03-31 00:25:03] [このレビューのURL]