「blackbird」さんのページ

総レビュー数: 185レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年03月31日

5点 ONE PIECE

今更書くまでもない「世界中で読まれている」漫画。
読まれているから名作、名作だから多く読まれる訳ではないのだろう。
でもここまで大きくなったら、この路線で突き進むしかないでしょう。

多くで語られるように、これからありとあらゆる布石を拾っていくそうですが、それにしてもあまりに長い。拾いきるまで、何年かかるのかなあ。

人物も、突っ込みどころも多い。
絵は込み入り過ぎて疲れてしまいますが、キャラがたってて、ところどころ笑える。
仲間というキーワードがくどいほど出てくるのは、そういう仲間が希薄な世の中だから?

感動しまくる人がこんなにいるのかと思うと、やはり今は安っぽい話で涙を流せるんだなあと思う。簡単なものだなと正直思ってしまう。

ごちゃごちゃした絵の書き込みも、キャラの多さも、いかにそういうのが好きな読者にいろいろ探させてあれこれと推理させたりするため、と思ってしまう。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2011-04-14 23:15:39] [修正:2011-06-18 12:17:10] [このレビューのURL]

少女マンガ系、スポ根サクセスストーリーの王道。

バレエをいつの間にかやめてしまった高校生の愛子が、神崎の踊りに賭ける情熱に触れ、踊る楽しさを思い出す所から始まる。
さらに本場NYでダンスに触れ、その魅力に憑りつかれ、やがてただ楽しいだけでなく、プロとして認められたいという強い思いを抱くようになる。

その間に、友情や仲間といった「青春」ぽさや、同じ道を目指しながら才能を意識しあう嫉妬という醜い感情、挫折、そして恋愛などが程よく混ざり合う。
都合よく成功の階段を駆け上るだけではなく、色々な思いが交錯し涙を流しながら踊り続ける愛子の姿に引き込まれてしまう。

執筆当時のディスコや、ダンスチームなど、古いところがあるのはご愛嬌。
ただ、結末がわかっていても何度も読み返しては、若さや才能がある事への羨ましさを改めて感じられる、きらきらした作品。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2011-04-10 23:02:52] [修正:2011-05-07 23:15:39] [このレビューのURL]

数々の幕末漫画・小説を読んできたにも関わらず、小栗上野介という人が何をしたのか全くと知らなかったが、本作品を読んで、正直恥ずかしくなりましたね。
こんな人物がいたなんて、あまりにも扱われなさすぎでしょう!
・・・と、急に小栗ファンになったりして・・・

竜馬や新撰組と、分かりやすく強いキャラばかりにスポットが当たり、数々の優秀な人物が、幕末の時代に埋もれてきたのは確か。
最近になってようやく、幕臣側にも見直されるべき優秀な人材がいたと取り上げられるようになったが、それにしてもまだまだ埋もれてる感がある。

小栗が最初から最後まで、しっかりと時代を見つめ、世界の中で日本の進むべき姿を考え続け、お役御免を繰り返しても、出来る事を淡々とこなす姿は、この時代にあって、何て冷静なのだろう。
身分も関係なく、経済を重視して、先を見る目は、立場こそ違うが竜馬と重なる自由なもの。

自分がいなくなっても、幕府が無くなっても、やった事は受け継がれると信じて、最後まで自分の運命を粛々と受け止める。

・・・泣けます。男です。

正直、薩摩薩摩ととらわれ過ぎていた西郷がもともと好かなかった私。
かなり悪役に描かれているので、西郷好きには耐えられないと思うが、個人的にはすごく納得。
立ち位置が変わるだけで、こんなにも歴史観が変わるんだなと感じました。

架空の人物は一人のみ。史実に基づき見事に著した作者の力量も素晴らしい。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2011-04-18 17:13:26] [修正:2011-04-18 17:13:26] [このレビューのURL]

同じ屋根の下にいても、お互い別の事をしたり、
話しかけないってことは当たり前にある。
それなのに、ほんの2,3時間見なかっただけの間に、
パートナーが亡くなってしまうなんて・・・やりきれない。

日常の中で、その人「だけ」がいない。
その違和感。
きっと、ずっと、慣れないだろう。

この物語は、まだ彼女が風景に溶け込んでいってしまう前の、
失った悲しみにもがく、作者の姿。
がむしゃらに仕事をしたり、普通に歩いたりしている時に
フラッシュバックのように襲ってくる、得も言われぬ感情。
闇に飲まれてしまいそうなコマ。
哀しいというよりも、何でいないのか感情がついていけなくて
気持ち悪くなりそうな思いが伝わってくる。

どうしてここまで、こんな苦しい時期に描かなければ
いけなかったのか。
自分の人生を切り売りするとか、商売上手とか、
言われることもあるだろうが、本人もこの状況下でも
「おいしいネタ」と自覚しながら書いたほどの確信犯。

他の作品を読んだことがないが、根が漫画家なんですね。
やっぱり表現者、そして、全てを細部に渡って記録する
ことによって、自分の記憶にとどめ、彼女を遺したんですね。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-06-27 22:31:47] [修正:2011-07-25 22:53:22] [このレビューのURL]

9点 石の花

名作の名高いこの作品を読むのは、なかなか覚悟がいりました。
日本人にはよくわからない、複雑な民族・宗教・言語の入り混じったユーゴ。その近代史、内戦に至る事情と、そこに巻き込まれる国民、
とりわけ若者の苦しい心情を、よくここまで描いたなと感心します。

話としては、前半の丁寧さに比べ、後半なぜナチスの勢いが失速し、
解放されたのかというところがざっくりしているのが残念でした。
でも、多民族国家の複雑さと、それを悪用したナチスの狡猾さは良くわかり、読んでいてため息が出ます。

幸福を求めることがすでにいけないことなのか?と、そんな哀しいことを問いかけなくてはいけない世界が、すでに哀しすぎます。

そんなに絵が際立って上手いわけでもないのかと思っていましたが、そんなことはありませんでした。
ところどころ本当に動き出しそうな場面があったり、自然の中に吸い込まれそうになったり。
コマを見ただけで涙が出そうになったところもあります。

朦朧とした中で森をさまようクリロや、一人死を迎えた老人、
収容所でのフィー、理想を語るマイスナー。
そんな描写に引き込まれました。

簡単に手に取ることはできないけど、一度は読むといい名作と思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-06-02 11:07:18] [修正:2011-06-02 11:07:18] [このレビューのURL]

同じアパートに小さい頃から住んでいる幼馴染。
近すぎて好きと言えない、女として見ることができない、
家族のような存在になってしまうんでしょうね。

親を失ったクンちゃんの悲しみを、何とか受け止めてやわらげてあげたいと抱きしめる優しいチャコ。
それを暖かく見守る達ちゃん。
カッコ良すぎです。

達ちゃんが理想の男の子、というのは、くらもちファンの中でもかなり多いのでは。

古い作品ですが、くらもちふさこの絵柄としてはこの作品が一番好きで、何度も読み返します。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-03-31 23:35:03] [修正:2011-05-07 23:13:21] [このレビューのURL]

70年代の作品というのに色あせない名作。もう30年以上経っているなんて信じられない。

中学、高校、浪人時代、いろいろな悩みにぶつかり、人間関係に悩み、恋に悩む等身大の女の子に、どれだけの子が共感して泣いただろうか。

無口で、でも本質を見抜いてて、やることはちゃんとやる線のかっこ良さ。
くらもちファンの間では、この作品の線と「いろはにこんぺいと」の達と、どっちがかっこいいかって、1,2を争ったものです。
くらもちさんが描く男の子ってなんでこんないい奴が多いんでしょう・・って、女の子の理想だから現実的にはいないんですがね。

でもこの作品の人物で忘れてはいけないのは立川先生です。
嫌われ者だけど、悩む加南に、さりげなく「自信のあるところと無いところがバランスよくある人間がいい」、という「てんびんばかり」の話をしてくれます。多感な頃に、こういう話をしてくれる先生に出会えるなんて幸せなことだと思いますね。

蛇足ですが、登場人物の名前が、都内の駅や電車にまつわるのが面白い。
大体「線」だし。
他にも国分寺やら立川やら荻窪、四谷・・・こういうちょっとしたところもいいですね。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-04-12 18:39:46] [修正:2011-04-12 18:39:46] [このレビューのURL]

不倫やら略奪愛やら、傷つく恋愛ばかりしてきたつぐみ。

一人で生きていくと田舎に引っ込んだ割には、ぐずぐずと過去に引きずられ、目の前にきた幸せを見ようとせず、いつまでも自分の事ばかり考えてしまう。仕事は出来るのに・・・ちょっと自分中心すぎてイライラする。

物語のクライマックスで言われた「あなたは自分がなんでも持っているから、人からもらうものを大事にできない」というセリフに、つぐみの不幸の原因が集約されている。

一方で、つぐみの祖母への思慕もかなわず、これまた一人で生きていくだろうと思っていた51歳の教授。思いがけずつぐみに恋することとなる。

しかし・・・パンツ一丁でうろうろする、図々しいただのおっさんです。
すごい枯れているようで(実際老眼鏡だし、体の線もおっさんくささばりばり)、結構枯れてない。いや、むしろ今の草食男子なんかよりもずっと生ぐさい。
自分の残り時間を思うと、突っ走れるものなのか。
突っ走っては照れたりひねくれたりして、その塩梅が面白い。

哲学者だからなのか、生きてきた年輪のせいなのか、親に捨てられたという過去をしょっているからなのか、ところどころでさらっと教授が吐くセリフが重い。これが過去にとらわれるつぐみの殻を、ゆっくりと一つ一つ割って行って、最後はぐいっと強引に。

なかなかやるじゃん、オヤジ。
今までにあまりなかったタイプの漫画でした。枯れセンにはたまるまい。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-04-11 23:01:30] [修正:2011-04-11 23:01:30] [このレビューのURL]

バレエの技術的なこと、指導法、勉強との両立、女の世界の嫉妬やねたみ、
そして、エリートとして周りの期待を背負って歩む者の孤独など、
今までのバレエ漫画とは一線を画す作品。

同じ山岸先生の昔のバレエ漫画、「アラベスク」とは、まったく違います。

また子供に対する衝撃的な描写があったり、
いじめなどの、中学生位が当たり前に接する問題を描いたり、
さすが山岸先生、そう突っ込んできますか!と、驚きを隠せませんでした。

日本でバレエのプロを目指すことの現実がぎっしり詰まっていて、
涙なくしては読めません。

特に伝説となっている10巻は、わかっていても何度も泣きます。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-03-31 00:56:37] [修正:2011-04-04 23:48:26] [このレビューのURL]

「寄生獣」よりずっと前に読んだ、初めての岩明作品。

なんでもない日常、普通にいそうな女子高生(ちょっと人付き合いに悩みがあるが)、少しずつ成長する話は、取り立てて盛り上がりはないかもしれない。

でも、普通の人が生きるって、そんなことだと思うし、
真面目に生活してるって、普通のこと。
普通、人には劇的なことはなく、周りには「何か変わったの?」と思われるような、ゆっくりした成長をしていくんじゃないかな。

それを漫画にしても面白くないという人もいるかもしれないけど、
風子のゆっくりした成長を、暖かく見守りたくなりました。

たまにふと読み返したくなる作品です。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-03-31 09:21:05] [修正:2011-03-31 09:21:05] [このレビューのURL]

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