「shun」さんのページ

総レビュー数: 60レビュー(全て表示) 最終投稿: 2014年07月14日

[ネタバレあり]

1巻は確かに面白い展開だったと思う。タイムリープするという設定はよくあるが、
3年前応援団に絡めたifストーリーが展開されそうな所は、先の展開が全く読めず楽しめた。

しかし、主人公の成長の無さと、意味のないタイムリープ体験者の追加とその効果のなさ。
せっかくの題材を自分で台無しにしてしまった印象が強い。
主人公がヘタレなのはよくある話だが、進歩がなく同情もできず怠惰で情けないとあっては、
全く感情移入も出来ず、応援もできない。そして主人公が活躍する場面も説得力がなく、
すべてがご都合主義。ほとんどのキャラが安定しておらず、こちらの思うように話が進まず、
予想がつかない面白さとは違い、悪い意味で期待を裏切るキャラクターたちになってしまっている。

画は話にあっていて問題無いと思うが、主人公の魅力の無さが最後まで響いた。

連載ペースに合っていなかったのか、まったく構成が練られているとは思えず、
前後3話分くらいしか考慮されていないように思う。

主人公は、行動できない→でも認めて欲しい→思い切って行動する→すぐにやる気が無くなる→(無限ループ)となり
葛藤や停滞に共感ができず、とてもストレスの貯まる漫画であった。

読者の期待通り、主人公を覚醒させ、応援団を盛り上げて最悪の結末から逃れられるという展開にしても良かったのでは?
あえて外すにしても、何か意味を持った展開にして欲しかった。
モラトリアムを見せられるだけの漫画はもうたくさんです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-10-01 15:00:25] [修正:2014-10-01 15:00:25] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

序盤は31歳と10歳のお互いの足りない部分を補うような、高めあうような、
二人の成長を見守るストーリーになっており、いかに心を開くか、
依存しあうかの関係性を構築していくさまは面白い。

しかし、ヒロインの同級生達との一方通行ばかりの恋慕は、どうしようもないだけで
進展もなく、ただ心のすれ違いを描くしかなかったように思う。

終盤、ヒロインが中学生・高校生になり、女性として扱うがゆえに
何も出来ないという展開に陥るが、その他の登場人物が真面目すぎて
何も起こらず、そのままヒロインの母の問題を解決することで収束に向かうことになった。

当初ここまで長くするつもりはなかったそうだが、まさにそのとおり
中盤はただ長引かせるだけの展開になっている。
つまらなくはないが、ただこの世界を長く味わっただけという印象。

個人的には、31歳の主人公は現実味が少なく、少し冷めると気持ち悪く感じる。
31歳と10歳の恋というのも、少女期は純粋なものに感じたが、
37歳と16歳の恋となると、別の意味が混在し気持ちが悪くなってくる。
終盤駆け足だったのは正解といえる。

ヒロインはだんだんと成長していくのに対し、主人公はずっと31歳の容姿や中身のままで、
非常に停滞感を感じたが、ヒロインの可愛さで終盤まで読むことが出来た。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-09-30 12:00:00] [修正:2014-09-30 12:00:00] [このレビューのURL]

私の漫画の評価基準だと高評価にはできない。

ロボットの造形はオリジナリティあふれているが、
特異なだけで、私には魅力的には映らなかった。
動きの表現が乏しく、何をしているのか漫画では全くわからない。
攻撃手段の説得力が全くなく、すべての機構がご都合主義のように感じた。

キャラクターの描写にかなり癖があり、みな生気が感じられない。
体型がヤセ型のキャラクターが多く、キャラの書き分けや性格付けがイマイチで、
キャラが立っていない。はっきり言うと、キャラクターデザイン・服飾がダサい。
太っているキャラも、栄養失調のように見える。

家族構成やキャラクターの置かれる環境をベースとして、物語は進行していくが、
それぞれのストーリーは、人によっては感じる所があるかも知れないという内容。
個人的には、単なるショートストーリー集にすぎず、もっと全員のストーリーが絡むような、
壮大な仕掛けを期待していただけに、フィクションでありながら中途半端なように感じた。

伏線や種明かしのタイミングなど、よく練られているところは散見されるが、
それが物語を盛り上げることにあまり貢献していない。
翻弄される子どもたちのリアクションがとても薄く、心に響かない。

なにより作者の表情乏しい表現力で、全体のメッセージの強さが半減してしまっている。
コエムシなどは、もっと業深い存在にすべきだと思うし、
死にゆく子どもたちの絶望感や虚無感がもっと欲しかったと考えるのは、物語の抑揚を欲しがり過ぎだろうか。

世界観も止まった世界のような印象で、漫画的表現を嫌ったのか、すべてが薄く冷たい。
違う演出家の手で料理されればと思える内容なので、今後アニメを見る価値はありそうだと感じた。

思春期に読むと、もっと心に響いたかもしれない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2014-09-21 14:14:50] [修正:2014-09-21 14:14:50] [このレビューのURL]

5点 LOST MAN

サッカーと、その裏にあるビジネスを扱った作品。
サッカーの試合部分に関しては、問題なく面白くかけている。
しかし、主人公のキャラクターの魅力があまりにもない。
全ポジションをこなせる(GKも含む)、フィジカルが強く決定的なパスも出せる。という
能力的には素晴らしい選手だが、その理由が漫画の都合としか思えず、
しかも実力の裏付けが全くない。記憶喪失という設定に甘え過ぎだと思う。
少なくとも、主人公の成長物語ではない。

この主人公の設定により、サッカー漫画ではなく、
サッカーにまつわる裏社会ビジネス漫画として読むことにしても、
第二の主人公である坂崎の狙いも弱く、悪役もそこまで魅力的ではないため、物語に引き込む力が弱い。
特にイングランドで主人公と袂を分かち別行動となってからは、それが顕著。
淡々と裏社会のやりとりを見せられる気分になった。

作画に関しては、安定した画力でサッカー試合描写はうまく描けている。
試合以外のパートも、ヒロインの女の子を使いそれなりに描けてはいる。
しかし作者の過去の作品にあった、物語の展開とともに盛り上がりを見せた作画と比べ、
すべて手のひらの上で転がしたような、手堅い印象を受けた。

全体的なストーリーは、説得力に欠けご都合主義だが、試合部分が面白いため
ところどころ楽しめるポイントはある。
しかし、キャラクター設定とストーリー構成がもうひとつ足らないため、全体としてはB級。

サッカー部分は面白いので、主人公の成長物語として読みたい欲求が出てくる。
おそらく違う角度からサッカーを書きたかったんだろうと思うので、
一作品まとめあげた努力は認めたい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-09-21 14:05:21] [修正:2014-09-21 14:05:21] [このレビューのURL]

5点 焔の眼

[ネタバレあり]

主人公沙羅がひどい目にあっているところを、クロという怪物のような人物の暴力で
カタルシスを得る漫画。対象がクズのような人間のため、罪悪感は全くない。

その状況を作り出すためだけの構成としか感じられず、正直ストーリーは底が浅い。
主人公が逆境に追い込まれ、クロが登場し、すべてを捻り潰す。その繰り返しであった。
そこに理由も背景もなく、ただそういうキャラクターなのだということを受け取ることしできない。

画は少しクセのある丸みを帯びたホラー調で統一感はある。若干の画の気持ち悪さが世界観とあっている。
全体的に上手いとは言えないが、作者が書きたい破壊の描写は気持ちが入っているように感じた。
作者の書く女性に不思議なエロティックさがあり、魅力的に感じた。

荒れ果てた世界観の中で生きる主人公に、ドキドキさせられた部分はあり、
世界観にのめり込ませる力はあると思う。
あとはクロの強さの裏付けであったり、終盤の主人公の覚醒の説得力などあれば、
読後感がもっと良くなったかと想像する。

とにかく深い意味は考えず、少女が危ない目にあいかけるところを楽しめ、
破壊の描写でカタルシスを得れるようであれば、楽しめる作品なのではないか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-09-03 13:58:25] [修正:2014-09-03 13:58:25] [このレビューのURL]

前作燃えろペンに比べ、だいぶファンタジーフィクションに寄せた内容となった。
特に前半は迷走しているのがよく分かる。迷走していながらも一定の面白さを保っているのは作者の実力。
無駄な大ゴマや見開きがあるが、個人的には面白さの一つとなっている。

屁理屈を熱さで突き通す熱量は、作者もホントにそう思っているんじゃないかと感じさせ、作品とは別の角度で面白い。
しかし月間連載ということも有り、1話で起承転結を繰り返す内容は熱さも伴い胸焼けしてくる。
さすがに食傷気味になってきた所にライバルキャラが出てきて、一気に盛り上がりを見せた。

終盤は連載を集結させるために無理やりまとめた感もあり、少し消化不良ではあったが全体として楽しめた。
しかし、激アツ激辛の珍味なようなもので、好き嫌いは分かれると思う。

画は現在では珍しい入り抜きしっかりした書き筋で、筆や効果を巧みに使っており非常に濃い。
多少古臭さは感じるものの、デフォルメから写実的まで幅広く描写ができて漫画が上手い。
漫画の描き方が理論派で、色々計算して書いてあるのが作中からも画からも読み取れる。

作者の漫画への愛が大いに感じられるこの作品は、漫画読みとして感慨深いものがあった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-08-29 16:59:31] [修正:2014-08-29 16:59:31] [このレビューのURL]

9点 青い花

単純に同性愛を扱った漫画というには失礼なほど、感情の動きを描写で繊細に表現されており、
ただ単に同性愛を許容し、女性が好きになりました、と言うだけの展開ではなく、
一個人の女性を好きになっていく、という表現が大切に描写されている。

細いのに迷いのない画のタッチが、透明感のある世界観を作り上げている。
必要なものだけを描いた綺麗な世界だが、仰々しい綺麗ではなく、
精神的な観点で、綺麗として受け取れる内容になっている。
漫画の中ながら、演技臭くないという印象。

「好き」と、それとは違う意味の「好き」の間で揺れる少女達の、
見てはいけない世界を覗いているような気がしてくる。

完全に内向的でもなく、一般社会における「そういう人」の位置を隠さず表現し、
「気持ち悪く思わないで」、「怖い」等のネガティブな印象も受け止めながら、
少女の成長とともに、女性が女性に恋をするという感覚を少し味わえる。
性別を超えて、作品世界にのめり込ませる力が素晴らしい。

画も作風とあっていてよいし、お嬢様学校の雰囲気を違和感なく描写できている。
キャラの書き分けがうまく、髪型を変えてもキャラの同一性を保てている。

いろいろなエピソードを織り交ぜているが、長くもなく短くもない調度良くまとめられている。
非常に完成度が高い作品といえる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2014-08-25 15:03:13] [修正:2014-08-25 15:03:13] [このレビューのURL]

「この物語はフィクションだが、全ての漫画家がこうであると思って欲しい!」
真実を書いたが、あくまでフィクションと言い切るいわゆる「漫画家漫画」

炎尾燃シリーズのスタートであるこの作品は、作者が当時主張したかった事が表現されており、とても熱い。
その上、熱すぎて面白いというこの作者特有のジャンルを踏襲し、今でも変わらず笑える内容となっている。

正直に言って絵柄や表現は古い。しかし読みにくいことはなく、荒削りな熱血漫画家表現を楽しめる。
何より熱い内容と表現が合っているので良い。

全編にわたって作者の主張が展開されるが説教臭くはなく、作者はこういうつもりで書いている、他の作者もそのハズだ。
と思わせる書き方なので、押し付けがましくはない。作者の偏見は面白いが、こんなのはこの作者だけだと思えるムチャが面白い。
フィクションは交えてるはずだが、ほとんど真実だと信じたくなる、清々しい熱さを感じる。

この作品以降、炎尾燃シリーズは続いていくが、より詳細化、キャラクター化されて延命されていく。
一番温度が高く、濃度が濃いこの作品を読んで、まだこの世界を楽しみたいのであれば、吼えろシリーズに手を出してみては。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-08-22 14:07:31] [修正:2014-08-22 14:07:31] [このレビューのURL]

作者の自伝というか1980年台描写漫画と言える。
当時の芸大の雰囲気や、当時のオタクの雰囲気を、作者のフィルターを通してみることが出来て面白い。

面白さの一つは、作者の分身である主人公を通してオタクの観点を解説するところにあると思う。
現代のビデオやインターネット等の、情報があふれた時代では考えられない情報への渇望が、
熱すぎるほど伝わってくる。もちろん特殊な観点なのかもしれないが、熱すぎて面白い。

あだち充や高橋留美子や原秀則などの才能を開花させ始めた漫画家たちに、自分がやりたかったことを先取られたと落胆するが、
面白さの分析を交えた賞賛と、第三者の未熟者ならではの見下しの観点により、卑屈ではあるが嫌味に感じない。

「俺だけはわかるが実は作者はこういう事を考えているのだ。しかも楽だ。俺にもできる!」(しかしやらない)
基本的にこの流れで話は進んでいくが、今や様式美となっている漫画のテクニックを、
主人公を通して、それを最初にやった素晴らしさがよく分かる内容になっている。

主人公だけだと、落胆→賞賛→見下し→やらない のループで単調になりがちだが、
主人公と錯綜するGAINAX設立メンバーが時代を掴むまでのストーリーを交えて、
2つのストーリーが同時進行し、単調にならないようになっている。
こちらもまた、キャラクターが生きていて面白い。

なかなか前に進まないもどかしさが大きくなってくるが、展開が遅いというよりも
当時の時間を大切に(濃度を濃く)進めていると感じた。

漫画の方程式を崩し始めたニューウェーブ達を、今も楽しめる良い作品になってきた。
当時をリアルタイムに味わっていない私でも、十分に楽しめた。1980年台以前の生まれの方は、なお一層楽しめるだろう。
吼えろシリーズとは違った面白さがある良作です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-08-21 10:59:24] [修正:2014-08-21 10:59:24] [このレビューのURL]

無断使用の件で休載となったので、漫画としての評価を今の時点で評価します。

私は格闘ゲームに傾倒したわけではないが、リアルタイムにゲーム隆盛期を味わった世代であり、
ゲームセンターが大いに賑わったあの時代を生きたので、ノスタルジーを覚えるとともに
ゲームが発展していく時のあの熱さを思い出し、胸が暑くなった。
この時代以降に産まれた世代でも、かつてあった時代を利用した群像劇として、十分に楽しめると想像する。

主人公の自問自答はゲームのキャラクターが主人公に話しかけるという演出で、効果的に行われており、
ゲームで育った世代にはたまらない演出。
主人公はヒロインの代弁者でもあり当時の時代の解説役だが、その瞬間だけ自我が現れ、
非常にドラマチックになり、物語を盛り上げている。

画はホラーチックで歪な造形だが、ゲームにのめり込む無邪気さと感じ取れて逆に良い。
なんといっても眼が印象的で、眼で女性のミステリアスさを表現することに成功してると思う。
女性は未知で不可解なものという、男子目線の世界観があの眼力に現れている。

個人的に、
この作品がきっかけで格闘ゲームやアーケード筐体を再評価されることになれば嬉しい限り。

余談だが、
一部無断使用になってしまったが、例の会社の作品の存在なしにあの時代は語れない。
なんとか良い方向に動いて、作品が存続できるようになることを祈る。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2014-08-15 11:57:37] [修正:2014-08-15 11:57:37] [このレビューのURL]