「チーズカバオ」さんのページ

総レビュー数: 75レビュー(全て表示) 最終投稿: 2017年07月23日

夏目義徳の個性を活かしつつ、サンデーの読者層にもウケそうな作品を創ろうとしたのだと思う。
低年齢層向け雑誌になっていた当時のサンデーでは藤田や皆川がニーズに合わなくなりつつあったので、ワンチャン狙いで夏目にニッチ且つポップな作品を描かせた結果、どっち付かずの煮え切らない感じで終わってしまった感は否めない。

連載前半はセンターカラーが多かったり、読者プレゼント企画も頻繁に行われていたり、単行本のカバーが当時は特別感のあったサラサラ仕様だったりと、編集部も精力的にプッシュしていたことがうかがえる。
このことから考えると、恐らくニッチ系枠復権の起点に成り得た、割と重要な作品だったと思う。
実際、そのジャンルにおける名作の定石に能力者バトル要素を足した手堅い作りで、そこそこいけそうな雰囲気はあったのだが…

もう少し夏目の持ち味を開放していれば、トガリに匹敵する佳作にはなっていたはず。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-12-17 08:40:00] [修正:2020-12-17 08:51:39] [このレビューのURL]

2点 ONE PIECE

アラバスタまでなら面白いが、その後はどうしたという感じ。
ストーリーも作画もキャラクターもセリフも兎に角グチャグチャに盛り込んだ、ヘンテコで煩雑な漫画になり果てた。
喩えるなら、ヤシの実をくり抜いた器に、オムライスとカレーとラーメンとシチューとハンバーグと唐揚げとアイスクリームとチョコを入れて、その上にマヨネーズをぶちまけて、ポッキーを突き刺して海賊旗を付けたような感じ。


【追記】
最近のワンピースの醜態は目に余るものがある。
もはやつまらないとかそういうレベルではなく、作品としての品性まで失いつつある。

バスターコールプロジェクトや、尾田栄一郎に忖度したであろう鬼滅最終巻の発行部数の件(初版発売前に重版手配済みという、意味不明な状況。仮に印刷のキャパの関係があるとしても、初版分でもう少し刷ることは出来るだろう。)など、
手段を選ばずワンピースをNo.1にしようとするムーブは明らかに異常で醜悪である。

もちろんこれらの件に作者が直接的に関与しているわけではないだろうが、尾田栄一郎が自身の漫画家としての格を勘違いして異常に高いプライドを持っていることも、この状況を生んだ一因と言えるだろう(今のワノ国編を自画自賛しているあたり、作者の感覚は完全に狂っている)。

そしてこのような状況はそもそも、国民的少年漫画が存在しなかったジャンプ暗黒期においてその素質を備えたワンピースが、幸か不幸かポストドラゴンボールとして祭り上げられ、成功してしまった結果だろう。
「売上と発行部数」というある種の絶対的な指標において、鬼滅が大流行するまでは完全な一人勝ち状態が20年近くも続いたのだから、
当然作者は自分の作品に疑問を持つこともなく、誰も尾田栄一郎の作品創りに意見はできなかっただろう。
事実20巻そこそこくらいまでは斬新で高レベルな作品であり、少なくともあの時代の少年漫画界においてはポストドラゴンボールに着くポテンシャルはあったと思う。

だからこそ、終盤に差し掛かってこれほどまでに醜態をさらしまくる現状は、非常にキツイものがある。
発表された時代と、作者の能力や運(アニメが失速した時期ににドラゴンボール改がワンピースとセットで放送され持ち直したり)、編集部のマーケティング、読者層などが奇跡的に噛み合ってしまい、
皆がある種の催眠状態のような感じで本作をNo.1少年漫画に押し上げてしまったために起きた悲劇と言えるだろう。

いずれにしても、日本の漫画史上においてこれほど売上と作品の質や品格が釣り合わない作品は、今後現れることはないと思う。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2017-07-28 10:43:08] [修正:2020-12-06 00:52:10] [このレビューのURL]