「チーズカバオ」さんのページ

総レビュー数: 75レビュー(全て表示) 最終投稿: 2017年07月23日

タイトルに嘘偽りなし。
雰囲気漫画に属すると思うが、作者の技術とセンスにより極めて高い完成度に仕上がっている。
構成や描写力が超ハイレベルなので、この手の作品が好きな人にとってはバイブルになり得る。
雰囲気漫画では屈指の「すごい漫画」。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-28 08:03:38] [修正:2020-11-28 08:06:53] [このレビューのURL]

藤子不二雄をリスペクトしたであろう作風に高度なオタク要素を混ぜ合わせたことで奇跡的な相乗効果が生まれ、唯一無二の面白味が引き出されている。
ケロロ軍曹(と、その部下たち)という珍妙なキャラクターはその滑稽さで絶妙にオタクの笑いのツボを付きまくってくるし、日向家等のメイン人間キャラも笑いに萌えにと八面六臂の活躍を見せる。
ただし、それも10巻くらいまでの話である。

20巻近くなったあたりからは長期連載によるネタ切れと、アニメ化により獲得した低年齢層読者への考慮か、話のクオリティーがガタ落ちしてしまっている。
さらに、尺稼ぎなのか作者の趣味なのかはわからないが、大長編ドラえもんを意識して失敗したかのようなしょうもないエピソードが大半を占め、読むことが苦痛になってしまっている。

今でもたまに面白い回はあるが、それらは基本的に序盤のノリに準じたものであり、中盤以降生まれた要素はことごとく作品の面白さを損なわせていると言わざるを得ない。

基本的にはケロロ小隊と日向家やその友人たちの間で繰り広げられるミニマムな侵略闘争をやっていれば、それだけで充分に面白いんじゃないだろうか。
それが描けなくなってきているのだとすれば、終盤のブラック・ジャックみたいに不定期掲載にするのも手だと思う(不思議と、あまり終わってほしいとは思わない)。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-24 12:24:32] [修正:2020-11-24 13:10:15] [このレビューのURL]

何度でも、一生読める漫画。
ふとした時に、自然に手に取って一話読んでしまう。
「生きること」そのものが漫画という形になっていて、根源的な本能にすっと寄り添ってくれる感じ。
文字でこの感覚は伝えられない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-11-13 08:09:24] [修正:2020-11-18 12:07:51] [このレビューのURL]

7点 D-LIVE!!

皆川亮二の超画力を極めてシンプルなコンセプトで楽しめる。
バトルを描ける漫画家はたくさんいるが、リアルなアクションをこんなに格好良く描ける漫画家はそうはいない。
「漫画の面白さに重要なのは画力でなくストーリー」という人をたまに見かけるが、ストーリーがいかに優れていても画力(コマ割り等の演出技術含む)が高くなければ描けない面白さも確実に存在することを、本作を読めばお分かり頂けるのではないだろうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-11-17 23:32:42] [修正:2020-11-18 11:54:17] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

サンデー55周年記念として「55作品新連載させる」とかいう編集部のゴミのような舵取りのせいで、ゴミのような最終章を迎えた残念な漫画。

最終章に入るまでは本当に面白い漫画で、サンデーが毎週待ち遠しくなるほどだった。
50巻を超えてもまだまだ読みたいと思えた作品は、サンデーでは初めてだったと思う。

ストーリーのテンポは良いし、アクションは派手だし、ギャグもキレがある。登場人物も達人・弟子問わずキャラが立っていて、戦闘パートも日常(修行含む)パートもまるっと楽しめた。
凡作以下の作品が誌面の大半を占めるようになっていった21世紀のサンデーにおいては屈指の良作であり、特にバトル漫画としてはサンデーの最後の良心と言っても過言ではなかっただろう。

ところがどうだ。冒頭に述べたふざけた企画に伴い、サンデー編集部は松江名にケンイチを終らせて新たな作品を創るように打診したのだ。
そして、なんと松江名はそれを承諾して、そこまで丁寧に積み上げてきたきたものを全てぶん投げて、近年稀に見る酷い話の畳み方で無理矢理本作を完結させてしまったのである。

後のコメントによると、この選択は松江名にとっても苦渋の選択だったらしく、職業漫画家としては賞賛されるべきところもあったのは事実である。
だが、1〜2年だけ連載したような作品と、12年連載した本作では、話を唐突に打ち切ることの重みが全く違う。
50巻以上のコミックスを買い続けてきた20万人近くの読者を、60巻近くになって突然裏切ることを作者も了承したことが、個人的には何より許せない。
正直、ラスト数冊は本当に買う気が起こらなかった。

ここまで最後の打ち切りについての怒りを綴ったが、本音を言えば相変わらずまだまだ続きが読みたい気持ちは残っている。
この漫画は、あんなところで終わらせてしまうのは勿体ないほど魅力的なのだ。
ジュナザード戦あたりまでなら、7点以上は堅いと思う。
いつか松江名が続編を執筆してくれることを、今も期待している。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2020-11-17 23:00:20] [修正:2020-11-18 07:14:48] [このレビューのURL]

7点 トガリ

出す時代が早すぎた、又は遅すぎた不運な名作。

本作は藤田和日郎や師匠である皆川亮二の作品に通じる、90年代前半のサンデーの名作アクション漫画に近い趣きがあった。そして、そういった作品を好む読者からは一定以上に評価された、硬派な王道ピカレスクアクション作品だった。
特に魅せゴマの作り方や、主人公の葛藤の描写は秀逸で、ところによっては師匠以上のセンスを発揮していた。

だが、不運にも発表された時代が悪かった。
当時はサンデー誌面のカラーが低年齢層化する過渡期であり(固定ファンの多い藤田や皆川作品の読者も年齢層が高まり単行本派にシフトしていった時期で、本誌では基本的に後ろの方に掲載されていた。本誌のメイン読者層にはバイオレンスアクションより、ガッシュやうえきの法則等の、低年齢層向けのポップなバトル漫画がウケていく時期だった)、本作の優れた部分が当時のサンデー読者にイマイチ評価されないまま打ち切りという憂き目を見ることとなった。

もし発表される時期が、進撃の巨人等のヒットを受け漫画のアプローチが多様化した現在であれば、もしくは藤田や皆川等が最前線でブイブイいわせていた90年代前半から中頃であれば、世間での評価は大きく異なったのではないかと思ってしまう。

なお、打ち切りの約10年後にフラッパーに連載の場を移し無事に完結しているのだが、その頃には夏目義徳が漫画界の荒波にもまれてセンスが衰えてしまったように思える。
個人的にはやはり打ち切られずに、当時の勢いのまま完結させてほしかったという無念が残った(それでもラストは非の打ち所のない、完璧なものだったが)。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-11-13 09:56:38] [修正:2020-11-17 13:00:36] [このレビューのURL]

序盤は傑作だったが、アニメ化が決まった石版編前くらいから児童向け路線に寄せすぎたせいで、ガッシュ周りの展開が幼稚になりすぎた(小学館との訴訟トラブル当時の雷句のブログによると、編集からそのような矯正を強いられたらしい)。

実際、この矯正は商業的には成功したし、アニメ放送頃には作風の移行は完了していたため、アニメ化決定後に本作を読み始めた層は違和感に気付きづらかったと思う。
これが、今作が完結まであまり評価を落とすことなく、いまだに名作扱いされている理由の一つではないだろうか。
だが、この流れが雷句のポテンシャルを潰してしまい、業界内における小学館(とりわけ当時のサンデー編集部)へのイメージが悪化する一因となったことは間違いないだろう。

ただ、個人的には本作の真価はガッシュサイドではなく、ブラゴ側のストーリーで見られると思っている。師匠の藤田和日郎から受け継いだケレン味や渋さ等の魅力は、ブラゴ側のエピソードに集中されているように感じる。
特に最後の最期、ブラゴとシェリーのやり取りはガッシュと清麿では出せない渋い感動がある。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2020-11-16 13:31:08] [修正:2020-11-16 14:58:21] [このレビューのURL]

読む前は血生臭い硬派なミリタリーアクションかと思っていたが、読んでみたら馬鹿丸出しのボンクラ漫画だった。もちろん褒めてます。

しかし、第1部の後半あたりからは読む前のイメージに近い作風になり、描く側も読む側も相応の気力が必要になっていった。
そして、作者が大病を患い体力が落ちてからは、描く側の気力が目に見えて下がっていったように思う。
そうなってからはストーリー展開も作画も残念な感じに…

最後は正直なところ不満が残るが、こればかりは致し方ないか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-16 13:37:13] [修正:2020-11-16 13:37:13] [このレビューのURL]

デビルマンとかヘルシングとかドロヘドロとか進撃の巨人といった、特定の層が好みそうな作品群のエッセンスを踏襲しているような作風に思えるが、辛うじてジャンプ漫画感も備えている。

アクションシーンを描くセンスは抜群。奇抜な描写の連続する戦闘場面はかなり魅せてくれる。必殺技ドーンって感じでキメる作風ではないが、その分バトル系青年漫画のようなアプローチとなっており、非常にスタイリッシュである。

何より、デンジが変身するまでの展開が毎回秀逸で、絶妙に溜めた上でチェンソー化する場面のカタルシスには目を見張るものがある。

現状で少し足りなく感じてしまう点は、作者のセンスの高さに技術が及んでいないように思えてしまうところか。
恐らく、作者の脳内ではもっと壮絶なイメージが広がっているが、その破壊力を充分に描き切れていないような気がする。
描写する技術がイメージ力に完全に追いつくことができれば、さらに凶悪な伝説的怪作になり得ると思う。
この点は今後の伸び代として期待したい。
そんなに長く続けないかもしれないけど。


余談ではあるが、本作といい最近のジャンプは昔のジャンプと比べると準看板以下の主力作品のカラーや運用が実験的になってきていると思う。
もしかすると、過去にジャンプ編集部に諌山創が漫画を持ってきた時に、彼の作風を認めずに追い返したという件の反省が活かされているのかもしれない。
ずっと看板でいるが故に驕りが出てきてしまう作品に刺激を与える為にも、このスタンスは突き詰めてほしい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-10-22 15:24:22] [修正:2020-11-13 07:51:06] [このレビューのURL]

前作同様少し特殊な嗜好のボーイミーツガールであるが、今作はヒロインがやたら躍動したり、夜の街並みを上空から描く描写が度々あったりするので、作者の画力や演出力の高さがより伝わりやすい。
叙情的な表現が多く、感性を刺激してくる作風なのが個人的に好印象。

物語が若干の連続性を帯びてきたが、現状ではこの流れが吉と出るか凶と出るか五分五分な印象。
今後の展開次第で良作にも駄作にもなり得ると思う。

登場キャラクターがどいつもこいつもさかっているのは作品の性質上仕方がないのだろうが、若干胸焼けしてしまう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-12 13:15:28] [修正:2020-11-12 13:19:39] [このレビューのURL]